燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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「あっ、ああっ、だ、駄目だ!」
 あまりのことにリィウスは狼狽うろたえることしかできないが、そんなリィウスを宥めるように腰をさすり、ゆっくりと、リィウスが戸惑うほどに丁寧な手つきで左右の兵士たちがリィウスの身体を持ち上げた。
「はっ……、ふぅ……」
 リィウスを凌辱し支配していた淫らな道具が、抜かれる。
 完全に体内からそれが出たとき、リィウスは涙ぐんだ。
「あぁ……。うぅ……ん」
 いやいや、と首を振る仕草は絶品である。その幼稚な動作を見ていた者はどう取ったのか、かすかに失笑や、吐息の音が響いて来る。
「さぁ、今度は背中に縛り付けるのよ」
 エリニュスが冷酷な口調で命じ、リィウスの左右の男たちはそれに従った。
「はっ、ああっ……」
 トュラクスの逞しい背。見れば、ところどころにいくつもの傷跡がある。昔のものもあれば、つい最近受けたらしいまだ赤く腫れた傷跡もある。その背にリィウスはしがみつくようにして手足を縛りつけられていく。
(あ、熱い……)
 トュラクスの体熱を感じながら、リィウスは困惑し、とまどいつづけた。まるで子どものように彼におぶさっている自分がひどく恥ずかしい。
「ほほほほほ。まるで亀ね。面白いわぁ。そうだわ、尻尾をつけてあげるわ」
 その言葉にリィウスの全身から血が引いた。
「よ、よせ! 馬鹿な真似はよせ!」
「何を言っているのよ? 本当は尻尾を垂らしたくて仕方ないくせに。大人しくしていなさい、今すぐ可愛い尻尾をつけてあげるわ」
「やめろ!」
 エリニュスのしようとすることがわかって、苦しい態勢で、リィウスは無我夢中で抗ったが、手足はきつくトュラクスの肩や脚に縛りつけられているので、傍目にはひどく珍妙な動作に見えたろう。
 エリニュスが言ったように、小亀を乗せた亀のようだ。リィウスは恥ずかしさ惨めさに女のように啜り泣いた。 
 次の瞬間、耳にかすかな声が聞こえた気がした。
 泣くな……と。
 下のトュラクスの心の声がリィウスの耳にだけ響いてきたようだ。 
「うう……」
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