315 / 360
二
しおりを挟む
「そうだよ。僕はずっと昔から狂っていたんだ。でも、その理由は……僕を狂わせた一番の原因は、あんただよ、リイゥス兄さん。あんたが、僕をこんなふうに追い詰めたんだ」
「な、なぜ……」
一瞬、ナルキッソスの碧の双眼に翳が見えたが、それはすぐに消え、代わりに淫蕩そうな熱が弾けた。
「さぁ、兄さん、楽しそうだけれど、そろそろお馬乗りは終わりだよ。そんな悲しそうな顔をしないで、僕がすぐ、もっと気持ちよくしてあげるからね」
「よ、よせ! さ、触るな!」
激しく身体をゆさぶったせいで、リィウスの頭にかざられていた花冠が落ちてしまう。散らばった薔薇の花弁を、故意か偶然かナルキッソスが踏みにじる。
「ああ……」
どれほど身をよじっても、伸びてきた細い手からリィウスはこれ以上逃げることはできなかった。
「うっ……!」
胸の敏感な先端に、熱いねっとりとしたものが触れてきたのを感じて、リィウスは悲鳴をあげた。
「よ、よせ! やめろ、ナルキッソス! やめないか!」
ナルキッソスの手で身体をおさえつけられ、そのまま燃えるような赤い舌の愛撫を身に受けることになった。
「ああ……」
今の、この現状がどうしても現のことだと思えず、リィウスは眩暈に襲われながら必死に首を振った。
(嘘だ……、こんなこと……あっていいわけがない)
柘榴荘で娼婦たちに調教を受けたときよりも、ディオメデスに抱かれた初夜の晩のときよりも、木馬乗りを強制されたときよりも、トュラクスの背に乗らされたときよりも、リィウスは絶望し、激しい恐怖と屈辱、怒りと羞恥に絶叫しそうになった。
そのあいだにも、ナルキッソスの舌は遠慮なく兄の身体を這う。
しかも、いまだにトュラクスの背に乗ったままだ。体内に食い込んでいる道具の存在もリィウスを追いつめる。
「な、なぜ……」
一瞬、ナルキッソスの碧の双眼に翳が見えたが、それはすぐに消え、代わりに淫蕩そうな熱が弾けた。
「さぁ、兄さん、楽しそうだけれど、そろそろお馬乗りは終わりだよ。そんな悲しそうな顔をしないで、僕がすぐ、もっと気持ちよくしてあげるからね」
「よ、よせ! さ、触るな!」
激しく身体をゆさぶったせいで、リィウスの頭にかざられていた花冠が落ちてしまう。散らばった薔薇の花弁を、故意か偶然かナルキッソスが踏みにじる。
「ああ……」
どれほど身をよじっても、伸びてきた細い手からリィウスはこれ以上逃げることはできなかった。
「うっ……!」
胸の敏感な先端に、熱いねっとりとしたものが触れてきたのを感じて、リィウスは悲鳴をあげた。
「よ、よせ! やめろ、ナルキッソス! やめないか!」
ナルキッソスの手で身体をおさえつけられ、そのまま燃えるような赤い舌の愛撫を身に受けることになった。
「ああ……」
今の、この現状がどうしても現のことだと思えず、リィウスは眩暈に襲われながら必死に首を振った。
(嘘だ……、こんなこと……あっていいわけがない)
柘榴荘で娼婦たちに調教を受けたときよりも、ディオメデスに抱かれた初夜の晩のときよりも、木馬乗りを強制されたときよりも、トュラクスの背に乗らされたときよりも、リィウスは絶望し、激しい恐怖と屈辱、怒りと羞恥に絶叫しそうになった。
そのあいだにも、ナルキッソスの舌は遠慮なく兄の身体を這う。
しかも、いまだにトュラクスの背に乗ったままだ。体内に食い込んでいる道具の存在もリィウスを追いつめる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる