燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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(こんな……、こんなこと……起こっていいわけがない)
 傍目はために見れば、どれほど滑稽で残酷で異常な光景だろう。
 そば近くで見ているエリニュスやウリュクセスの視線の刃がリィウスをつらぬく。さらに、距離を置いて見ている観客たちの無数の視線の針が全身を刺す。
 いっそ、気をうしなえればまだ幸せだったろう。だが、頭がぼんやりしてきても、かすかな意識は冴えて、自分が何をされているかリィウスはうつろながらも知覚していた。
「慎重に、そっとだぞ」
 響いてきたのはウリュクセスの声だったか。男二人がかりで身体をかかえあげられ、長く両手をしばっていた戒めがやっとほどかれ、一瞬だけ腕が楽になったことははっきりと記憶にある。そのあとトュラクスの背から離れたことも覚えている。
「はぁ……っ」
 体内を占領していた異物が、そっと離れていったときに、そんななまめかしい声を放ってしまい、ナルキッソスの嘲笑を買ったことも、忘れたくとも忘れられない。
「すぐ、もっとよくしてあげるからね、兄さん」
 これは夢だ、悪い夢なのだ、と幾度となく己に言い聞かせた。あれほどいつくしみ可愛がった弟に、血のつながりこそなくとも家族として慣れ親しんだ年下の少年に、脚を広げられることなど、悪夢以外のなんであろう。
 そう。リィウスは気づけば、四つん這いにされ、背後から脚を広げられていたのだ。誰にも見られたくない後ろの花園を、遠慮もなく覗き込まれていた。
「うわ……やっぱり綺麗な肌だね。綺麗な色……憎らしいぐらい」
「あっ!」
 いきなり指を入れられ、リィウスは声をあげてしまう。
「ここで……、兄さん、何人の男をくわえ込んだのさ?」
 ナルキッソスの声は怒りをふくんでいた。
「五人、六人? 十人、二十人?」
 リィウスは首を横にふるのが精一杯だった。
「言ってみてよ。今さら貞淑ぶってもしょうがないだろう?」
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