37 / 84
双花蹂躙 二
しおりを挟む
「はぁっ……!」
白い、剥きだしの臀部が頭より上になるように強いられ、ダリクにもサイラスが歯ぎしりしているのがうかがい知れる。
「なに、ぼーっとしているの? おまえも手伝いなさいよ」
マーメイに焦れたように言われ、ダリクは先ほどジャハギルがそうしていたように、サイラスの方足をひっぱりあげ、彼の羞恥をあおった。
「あ、いやだ、よせ、はなせ!」
「サイラス様、大人しくしてください。いくら昔はお貴族様で将軍様だったとはいえ、今のサイラス様は男娼なんですから、お客様に逆らってはいけませんよ」
芝居に出てくる悪党のような口調で笑みを浮かべてそんなことを言う自分は、さぞ下劣な顔をしているだろうと、ダリクは言葉とは裏腹に内心で冷静に自覚していた。
「ほう? サイラスは将軍だったのか?」
イハウが意外そうに濃い眉を上げる。
「ええ。かつてはアルディオリアの誇る美将、国王陛下の覚えもめでたく、国民の信頼あつい国一番の勇将サイラス=デルビィアス伯爵将軍ですよ」
以前のサイラスの立場を説明するダリクの口調は、悲しい詩をつぶやくようなものになっていた。
「ほほう。そのサイラス=デルビィアス伯爵将軍様が、今では娼館で客のまえに足を広げておられるのか? それも二形の。わはははは」
うっ……! こらえきれないサイラスの嗚咽の声がダリクの耳を刺すが、ダリクは無表情をよそおった。
「これこれ、泣くな。……しかし、二形でも将軍になれるものなのか?」
イハウの素朴な疑問にダリクは苦笑するしかない。
「誰もサイラス様が二形だとは気づきませんでしたよ。ご当人も隠していらしたようだし。まぁ、当たり前ですがね……。以前はもっと身体付きもしっかしりて、ちゃんと男に見えていたんですよ」
そう。細身とはいえサイラスは立派な男性に見えていた。誰ひとりサイラスの身体が半分は女だとは想像すらしなかったろう。
「剣も弓もかなりの使い手だったんです。馬術もすばらしくて。俺は……、かつてはこの人の指揮のもとで戦に行ったこともありました」
国境沿いでの敵国との小競り合いだったが、指示を出すサイラスの勇姿は今でも記憶にのこっている。その戦がかたづいた早朝、兜を取って戦死者に祈りをささげるサイラスの横顔は美神のようだった。曙光に照らされてかがやく白い肌、風になびく黄金の髪、甲冑につつまれてはいてもすらりとした肢体。世に勇将、知将は数多くあれども、これほど美しい将はいないだろう、と兵卒同士ささやきあったものだ。さらにサイラスはその類まれな美貌のうえ勇気も知性も兼ね備えていたのだ。そのうえ家柄も財もある。天はこの人をどれだけ深く愛したのか……、と祖国の詩人が歌にうたったほどだ。
だが、その天も神も、彼サイラスに与えた幸運の分だけの不幸を、充分に与えたようだ。
ダリクは皮肉な想いで、うつ伏せにされ惨めに腰をあげさせられているサイラスの白い肉体を見つめた。恥辱から逃れたくとも、肩をディリオスにおさえこまれ、片足はダリクに引き上げられ、生き恥を晒されつづけている。時折りジャハギルが面白がって、つややかな臀部を撫でまわしたり、ぴしゃり、と打ったりしている。
「ああ……、本当にきれいなお尻ねぇ。すべすべよ。あの人といい、この人といい、どうして天の神様っていうものはこうも不公平なのかしらねぇ。いっつも、限られた人ばかりえこひいきして。ああ、憎らしい。どうしてやろうかしら」
「あっ……」
ジャハギルがサイラスの臀部にふざけたように音をたてて接吻し、彼に困惑の声をあげさせる。
ジャハギルの言う〝あの人〟というのが誰のことかはダリクには見当もつかないが、その当事者が果たして本当に神にえこひいきされたのかどうかは判断のつかないところだ。
「さ、サイラス、そろそろ尻に入れられたものを出すがよい。ずっとそのままにしておくと遊びにくかろう?」
「い、いやだ! ……た、たのむから、こ、ここでは……」
人に見られて異物を出すというのが辛いのだろう。排泄行為にも似た動作をせねばならないのだから、無理もない。
だが、いずれも加虐の嗜好の強い面々と、その手下ばかりである。止めようとする者などなく、それどころか、この、見るからに気品があり、その分気位も高そうで、やや高慢な表情を見せていたサイラスの陥落を、今か今かと皆待ちのぞんでいるのだ。しかも、サイラスが祖国では将軍だったと聞いてから、イハウの細い目はいっそうねっとりと熱い情欲に燃えてきている。
「しょうのない子じゃ。では、出したくなるように手伝ってやろう。ダリクといったか? おまえ、以前はサイラスの部下だったのであろう? かつての上官の尻を揉んでやるがよい」
白い、剥きだしの臀部が頭より上になるように強いられ、ダリクにもサイラスが歯ぎしりしているのがうかがい知れる。
「なに、ぼーっとしているの? おまえも手伝いなさいよ」
マーメイに焦れたように言われ、ダリクは先ほどジャハギルがそうしていたように、サイラスの方足をひっぱりあげ、彼の羞恥をあおった。
「あ、いやだ、よせ、はなせ!」
「サイラス様、大人しくしてください。いくら昔はお貴族様で将軍様だったとはいえ、今のサイラス様は男娼なんですから、お客様に逆らってはいけませんよ」
芝居に出てくる悪党のような口調で笑みを浮かべてそんなことを言う自分は、さぞ下劣な顔をしているだろうと、ダリクは言葉とは裏腹に内心で冷静に自覚していた。
「ほう? サイラスは将軍だったのか?」
イハウが意外そうに濃い眉を上げる。
「ええ。かつてはアルディオリアの誇る美将、国王陛下の覚えもめでたく、国民の信頼あつい国一番の勇将サイラス=デルビィアス伯爵将軍ですよ」
以前のサイラスの立場を説明するダリクの口調は、悲しい詩をつぶやくようなものになっていた。
「ほほう。そのサイラス=デルビィアス伯爵将軍様が、今では娼館で客のまえに足を広げておられるのか? それも二形の。わはははは」
うっ……! こらえきれないサイラスの嗚咽の声がダリクの耳を刺すが、ダリクは無表情をよそおった。
「これこれ、泣くな。……しかし、二形でも将軍になれるものなのか?」
イハウの素朴な疑問にダリクは苦笑するしかない。
「誰もサイラス様が二形だとは気づきませんでしたよ。ご当人も隠していらしたようだし。まぁ、当たり前ですがね……。以前はもっと身体付きもしっかしりて、ちゃんと男に見えていたんですよ」
そう。細身とはいえサイラスは立派な男性に見えていた。誰ひとりサイラスの身体が半分は女だとは想像すらしなかったろう。
「剣も弓もかなりの使い手だったんです。馬術もすばらしくて。俺は……、かつてはこの人の指揮のもとで戦に行ったこともありました」
国境沿いでの敵国との小競り合いだったが、指示を出すサイラスの勇姿は今でも記憶にのこっている。その戦がかたづいた早朝、兜を取って戦死者に祈りをささげるサイラスの横顔は美神のようだった。曙光に照らされてかがやく白い肌、風になびく黄金の髪、甲冑につつまれてはいてもすらりとした肢体。世に勇将、知将は数多くあれども、これほど美しい将はいないだろう、と兵卒同士ささやきあったものだ。さらにサイラスはその類まれな美貌のうえ勇気も知性も兼ね備えていたのだ。そのうえ家柄も財もある。天はこの人をどれだけ深く愛したのか……、と祖国の詩人が歌にうたったほどだ。
だが、その天も神も、彼サイラスに与えた幸運の分だけの不幸を、充分に与えたようだ。
ダリクは皮肉な想いで、うつ伏せにされ惨めに腰をあげさせられているサイラスの白い肉体を見つめた。恥辱から逃れたくとも、肩をディリオスにおさえこまれ、片足はダリクに引き上げられ、生き恥を晒されつづけている。時折りジャハギルが面白がって、つややかな臀部を撫でまわしたり、ぴしゃり、と打ったりしている。
「ああ……、本当にきれいなお尻ねぇ。すべすべよ。あの人といい、この人といい、どうして天の神様っていうものはこうも不公平なのかしらねぇ。いっつも、限られた人ばかりえこひいきして。ああ、憎らしい。どうしてやろうかしら」
「あっ……」
ジャハギルがサイラスの臀部にふざけたように音をたてて接吻し、彼に困惑の声をあげさせる。
ジャハギルの言う〝あの人〟というのが誰のことかはダリクには見当もつかないが、その当事者が果たして本当に神にえこひいきされたのかどうかは判断のつかないところだ。
「さ、サイラス、そろそろ尻に入れられたものを出すがよい。ずっとそのままにしておくと遊びにくかろう?」
「い、いやだ! ……た、たのむから、こ、ここでは……」
人に見られて異物を出すというのが辛いのだろう。排泄行為にも似た動作をせねばならないのだから、無理もない。
だが、いずれも加虐の嗜好の強い面々と、その手下ばかりである。止めようとする者などなく、それどころか、この、見るからに気品があり、その分気位も高そうで、やや高慢な表情を見せていたサイラスの陥落を、今か今かと皆待ちのぞんでいるのだ。しかも、サイラスが祖国では将軍だったと聞いてから、イハウの細い目はいっそうねっとりと熱い情欲に燃えてきている。
「しょうのない子じゃ。では、出したくなるように手伝ってやろう。ダリクといったか? おまえ、以前はサイラスの部下だったのであろう? かつての上官の尻を揉んでやるがよい」
1
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる