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終幕 【青薔薇の献身】マイラ視点
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─夜会の夜。
王都でも屈指の大広間。高い天井から吊るされた幾重ものシャンデリアが、まるで宝石を散りばめたように光を投げていた。
女たちのドレスは花のように咲き乱れ、男たちの燕尾服は闇に溶ける群れのように揺れ動く。音楽と笑い声、そして人々のざわめきが渦を巻く中、私はゆっくりとその場に足を踏み入れた。
今夜は──舞台の千秋楽。
何週間もかけて仕込んだ筋書きの結末を、目の前で演じる時が来た。
視線を上げれば、そこにアルベルト王子とリリカが並び立っていた。
二人の距離は近く、互いの存在を意識しすぎているのが、遠目にも分かる。計算どおりだ。
王子の目は彼女の笑みに吸い寄せられ、リリカは小首をかしげ、わざとらしいまでの愛らしさで応じている。
私が席を外すたび、二人の間に芽生えた火は、今日までに燃え広がっていた。
そして──王子の口が開いた。
「ミレーヌ、私は……真実の愛を見つけたんだ。長く婚約者として共にいたが、婚約を破棄したい」
大広間の空気が、わずかに張り詰める。
予定通りの台詞。それでも、何度も脳内で繰り返してきたこの場面を生で聞くと、胸の奥にわずかなざらつきが走った。
横でリリカが、申し訳なさそうに言葉を添える。
「ミレーヌ様、すみません……わたくし、ただアルベルト様をお慕いしていただけで……」
芝居がかった声色。頬に添えられた手。
あぁ、あんた、舞台女優になれるよ──心の中で苦笑する。
この場面を見ている誰もが、私を哀れむように感じているだろう。
それでいい。むしろ、そう思わせるためにここまで演じてきたのだ。
私は静かに裾を持ち、深くカーテシーを取った。
「アルベルト様、婚約破棄……承りました。長らくお側にいさせていただきましたが、本日が最後となります。お別れの一言を申し上げてもよろしいでしょうか」
周囲の耳がこちらに傾くのが分かる。
きっと今、誰もが「鉄仮面のミレーヌが、何を言うのか」と息を潜めている。
王子は短く答えた。「……許す」
……いい返事だ、王子様。
私は頭を下げたまま、声を落とす。
「ありがとうございます。わたくし、ミレーヌ=サーラインは──幼き頃より、アルベルト様をお慕い申し上げておりました。それでは、御前を下がらせていただきます」
そして、顔を上げた。
頬に、一筋の涙が滑り落ちる。
その涙は、舞台の終幕の合図。
大広間はざわめきに包まれる。
鉄仮面が、泣いた──と。
私はその視線をすべて背中で受け止め、振り返らずに大広間を出た。
扉の向こうには、夜風と静寂だけが待っている。
---
馬車の中、私は深く息を吐いた。
これで終わり。サーライン公爵家は面子を保ち、王子との婚約は破談。
きっと近いうちに、アルベルトはリリカを正式に迎えるだろう。
窓の外、王宮の明かりが遠ざかっていく。
どこかで音楽がまだ鳴っていた。
それは祝福の曲か、それとも哀歌か──私にはもう、どうでもよかった。
だが、不思議と胸の奥に、かすかな虚しさが残った。
役は終えた。舞台は成功した。
それでも、仮面を外した瞬間に残るのは、誰にも見せないため息だけだった。
私は目を閉じ、ただ静かに呟いた。
「……さて、後は幕引きだ」
そして馬車は、闇の中へと溶けていった。
-----
今回の役割は、実際のミレーヌは出奔でいないため、ミレーヌの死を偽装する必要があった。ミレーヌの「家族」を、完璧なまでに悲劇の中に置くこと。
婚約破棄された娘を持つ家族、ではなく──若くして命を散らした愛娘、妹を悼む家族として、人々の記憶に刻むこと。
私はエリーザ夫人とナターシャに言った。
「誰が、どこから見ているか分かりません。窓の外から覗かれてもいいように、今は“喪に沈む家族”を演じきってください」
ナターシャは頷き、エリーザは口元を押さえて肩を震わせた。
涙は、最初の一滴こそ本物だったかもしれない。だが、二滴目からは演技だった。
---
葬儀は家族だけの密葬。
家族の慟哭とすすり泣く音が、教会内に響く。
棺に寄り添うエリーザの肩は、小刻みに震えている。
ナターシャはハンカチを握り締め、視線を落としていた。
その姿を目にした者は、きっとこう思うだろう──なんと哀れで、なんと健気な家族か、と。
---
まだ、この屋敷に来て間もない頃、ミレーヌの部屋を整理する中で、机の奥から革表紙の日記帳が見つかった。
中には、彼女が日々書き連ねた、控えめで淡々とした記録があった。
──これは、使えるな。
このままでは、ただの生活記録。読む者の胸を打たない。
私はペンを取り、新しい日記帳にミレーヌの生活記録から取り出した情報と創作した文章を加えた。
そこには、幼き日の思い出、初めて出会った時のときめき、王子の笑顔に救われた夜の記憶、王子への想い、婚約者としての日々の努力、病に伏せった孤独、そして愛されぬ苦しみ……どの頁にも、言葉にし尽くせぬ愛を綴った。
一行ずつ、静かに感情を染み込ませ、あたかもミレーヌ自身が心の奥を吐露したかのように。
そう、鉄仮面であったからこその、この文章から受けるインパクトが大きい。
最後のページには、遺書を書いた。
──《お父様、お母様。先に逝くこと、深くお詫び申し上げます。
わたくしは、未来に希望を見出すことができませんでした。
アルベルト様の隣に在る未来だけが、わたくしの生きる理由でございました》
その文を閉じた瞬間、私は日記帳を静かに閉じた。
これで、この物語は“悲劇”として完成する。
---
ミレーヌの葬儀から数日後、私は報酬の支払いに来たサーライン公爵に提案した。
「この日記を、書籍にしましょう。印税は、ミレーヌ様のご遺志として孤児院へ寄付したと発表するのです」
孤児院──それは私たちの原点だ。
美談として広まれば、誰も彼女を「婚約破棄され、自害した女」とは呼ばない。
公爵は深くうなずき、日記は出版された。
表紙には、青薔薇が一輪──“青薔薇の献身”という題が添えられた。
発売されるや否や、人々は涙し、書店の棚はすぐに空になった。
劇作家が舞台化を申し出、観客たちは上演のたびに嗚咽を漏らした。
それはただの悲恋ではなく、「純粋な愛の物語」として語られるようになった。
舞台の幕は下りた。
残されたのは、演じきった者たちと、それを信じる観客だけ。
そして私は、静かにその場を去った。
──仮面を外せば、そこにはただの役者マイラがいるだけだった。
王都でも屈指の大広間。高い天井から吊るされた幾重ものシャンデリアが、まるで宝石を散りばめたように光を投げていた。
女たちのドレスは花のように咲き乱れ、男たちの燕尾服は闇に溶ける群れのように揺れ動く。音楽と笑い声、そして人々のざわめきが渦を巻く中、私はゆっくりとその場に足を踏み入れた。
今夜は──舞台の千秋楽。
何週間もかけて仕込んだ筋書きの結末を、目の前で演じる時が来た。
視線を上げれば、そこにアルベルト王子とリリカが並び立っていた。
二人の距離は近く、互いの存在を意識しすぎているのが、遠目にも分かる。計算どおりだ。
王子の目は彼女の笑みに吸い寄せられ、リリカは小首をかしげ、わざとらしいまでの愛らしさで応じている。
私が席を外すたび、二人の間に芽生えた火は、今日までに燃え広がっていた。
そして──王子の口が開いた。
「ミレーヌ、私は……真実の愛を見つけたんだ。長く婚約者として共にいたが、婚約を破棄したい」
大広間の空気が、わずかに張り詰める。
予定通りの台詞。それでも、何度も脳内で繰り返してきたこの場面を生で聞くと、胸の奥にわずかなざらつきが走った。
横でリリカが、申し訳なさそうに言葉を添える。
「ミレーヌ様、すみません……わたくし、ただアルベルト様をお慕いしていただけで……」
芝居がかった声色。頬に添えられた手。
あぁ、あんた、舞台女優になれるよ──心の中で苦笑する。
この場面を見ている誰もが、私を哀れむように感じているだろう。
それでいい。むしろ、そう思わせるためにここまで演じてきたのだ。
私は静かに裾を持ち、深くカーテシーを取った。
「アルベルト様、婚約破棄……承りました。長らくお側にいさせていただきましたが、本日が最後となります。お別れの一言を申し上げてもよろしいでしょうか」
周囲の耳がこちらに傾くのが分かる。
きっと今、誰もが「鉄仮面のミレーヌが、何を言うのか」と息を潜めている。
王子は短く答えた。「……許す」
……いい返事だ、王子様。
私は頭を下げたまま、声を落とす。
「ありがとうございます。わたくし、ミレーヌ=サーラインは──幼き頃より、アルベルト様をお慕い申し上げておりました。それでは、御前を下がらせていただきます」
そして、顔を上げた。
頬に、一筋の涙が滑り落ちる。
その涙は、舞台の終幕の合図。
大広間はざわめきに包まれる。
鉄仮面が、泣いた──と。
私はその視線をすべて背中で受け止め、振り返らずに大広間を出た。
扉の向こうには、夜風と静寂だけが待っている。
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馬車の中、私は深く息を吐いた。
これで終わり。サーライン公爵家は面子を保ち、王子との婚約は破談。
きっと近いうちに、アルベルトはリリカを正式に迎えるだろう。
窓の外、王宮の明かりが遠ざかっていく。
どこかで音楽がまだ鳴っていた。
それは祝福の曲か、それとも哀歌か──私にはもう、どうでもよかった。
だが、不思議と胸の奥に、かすかな虚しさが残った。
役は終えた。舞台は成功した。
それでも、仮面を外した瞬間に残るのは、誰にも見せないため息だけだった。
私は目を閉じ、ただ静かに呟いた。
「……さて、後は幕引きだ」
そして馬車は、闇の中へと溶けていった。
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今回の役割は、実際のミレーヌは出奔でいないため、ミレーヌの死を偽装する必要があった。ミレーヌの「家族」を、完璧なまでに悲劇の中に置くこと。
婚約破棄された娘を持つ家族、ではなく──若くして命を散らした愛娘、妹を悼む家族として、人々の記憶に刻むこと。
私はエリーザ夫人とナターシャに言った。
「誰が、どこから見ているか分かりません。窓の外から覗かれてもいいように、今は“喪に沈む家族”を演じきってください」
ナターシャは頷き、エリーザは口元を押さえて肩を震わせた。
涙は、最初の一滴こそ本物だったかもしれない。だが、二滴目からは演技だった。
---
葬儀は家族だけの密葬。
家族の慟哭とすすり泣く音が、教会内に響く。
棺に寄り添うエリーザの肩は、小刻みに震えている。
ナターシャはハンカチを握り締め、視線を落としていた。
その姿を目にした者は、きっとこう思うだろう──なんと哀れで、なんと健気な家族か、と。
---
まだ、この屋敷に来て間もない頃、ミレーヌの部屋を整理する中で、机の奥から革表紙の日記帳が見つかった。
中には、彼女が日々書き連ねた、控えめで淡々とした記録があった。
──これは、使えるな。
このままでは、ただの生活記録。読む者の胸を打たない。
私はペンを取り、新しい日記帳にミレーヌの生活記録から取り出した情報と創作した文章を加えた。
そこには、幼き日の思い出、初めて出会った時のときめき、王子の笑顔に救われた夜の記憶、王子への想い、婚約者としての日々の努力、病に伏せった孤独、そして愛されぬ苦しみ……どの頁にも、言葉にし尽くせぬ愛を綴った。
一行ずつ、静かに感情を染み込ませ、あたかもミレーヌ自身が心の奥を吐露したかのように。
そう、鉄仮面であったからこその、この文章から受けるインパクトが大きい。
最後のページには、遺書を書いた。
──《お父様、お母様。先に逝くこと、深くお詫び申し上げます。
わたくしは、未来に希望を見出すことができませんでした。
アルベルト様の隣に在る未来だけが、わたくしの生きる理由でございました》
その文を閉じた瞬間、私は日記帳を静かに閉じた。
これで、この物語は“悲劇”として完成する。
---
ミレーヌの葬儀から数日後、私は報酬の支払いに来たサーライン公爵に提案した。
「この日記を、書籍にしましょう。印税は、ミレーヌ様のご遺志として孤児院へ寄付したと発表するのです」
孤児院──それは私たちの原点だ。
美談として広まれば、誰も彼女を「婚約破棄され、自害した女」とは呼ばない。
公爵は深くうなずき、日記は出版された。
表紙には、青薔薇が一輪──“青薔薇の献身”という題が添えられた。
発売されるや否や、人々は涙し、書店の棚はすぐに空になった。
劇作家が舞台化を申し出、観客たちは上演のたびに嗚咽を漏らした。
それはただの悲恋ではなく、「純粋な愛の物語」として語られるようになった。
舞台の幕は下りた。
残されたのは、演じきった者たちと、それを信じる観客だけ。
そして私は、静かにその場を去った。
──仮面を外せば、そこにはただの役者マイラがいるだけだった。
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