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第23話『夏だ! プールだ! 陰キャだ!』
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あんぐおーぐが帰国して数日。
宿題と夏期講習と配信と動画視聴に追われる生活にも慣れ、ようやく平穏な夏休みが訪れて――いなかった。
この夏休みは毎日が、俺の前世を含めても飛び抜けて波乱万丈だ。
たとえばある日のこと。
『イロハちゃん、プール行きたくない?』
「ヤだよ」
唐突にあー姉ぇからそんな電話がかかってくる。
俺は即答で拒否した。
インドアをナメんな。だれがわざわざそんなとこ行くんだよ。
と思っていたら部屋のドアが、バンっ! と開かれた。
「!?!?!?」
「迎えに来ちゃった。よし、行くよ!」
「イヤーーーー!? 助けてお母さん! 誘拐されるぅ~!?」
「あはは、イロハママは外出中でしょ? 大丈夫、大丈夫。ちゃんと許可はもらってるから。え~っと、水着とタオルはこれかな? よしオッケー」
「だれか助けてぇ~!」
力で勝てるはずがなかった。
俺はズルズルと引っ張られてタクシーに放り込まれた。
そうして連れていかれた大型レジャープール施設。
どうやら待ち合わせをしていたらしく、あー姉ぇが手を振りながら集団に近づいていく。
「え、待って? 聞いてないんだけど!? あー姉ぇ、わたしたちだけじゃないの!?」
「なに言ってるの? 今日は――VTuberのオフ会だよ!」
「はいぃいいいいいい!?」
* * *
俺はプールサイドに横たわり、しくしくと泣いていた。
何名もの推しの3D体を見てしまった。
というかもう、リアルで会うことが普通みたいになってしまっている。
「あー姉ぇめぇえええ! 『えっ? もうイチ推しには会っちゃったし一緒じゃなかったの!?』じゃねぇえええ!? んなわけあるかぁあああ!」
「あ……え、えと。イロハちゃん。だよね……? へ、へへ……えと、なにしてるの?」
「っ!?」
今日が初顔合わせなVTuberのひとりが、俺に声をかけてくる。
俺は慌ててあたりを見渡しあー姉ぇを見つけると、その背中に隠れた。
これ以上、ファンとしての境界を破るわけにはいかないっ……!
「がーん……に、逃げられた」
「あはは、きっと照れてるだけだよ。イロハちゃんかわい~、借りてきた猫みたい~。そんなに引っ付いちゃって、アネゴのこと大好きなんだね~」
「いや~、照れるな~!」
「ちげーよ!?!?!?」
まったくもって心外な誤解だった。
しかしそんなやり取りを見て、VTuberたちが集まってきてしまう。
うっ!? こ、困った。
こうして女の子たちに囲まれると、どこを見ていいのかわからない。
しかし、推しに俺のような下賤の民の視線を浴びせるわけにはいかない!
心頭滅却。俺はじぃ~っとアネゴに視線を合わせた。
……ふぅ、落ち着いた。
効果はテキメンだ。
アレだ。昂ってしまったときに母親の顔を思い浮かべて自分を諫めるようなものだ。
「かわい~! そんな助けを求めるみたいな目でアネゴを見ちゃって。意外だな~、配信だとしっかりもののイメージがあったから。配信外だとこんなに甘えんぼなんだね~」
ほんと心外だよ!
あー姉ぇも「あ、バレちった? そうなんだよー。イロハちゃんアタシのこと好きすぎなんだよね~」じゃねぇえええ! 俺がいつそんな態度取った!?
しかし……。
俺はちらりと周囲を見渡した。
「正直、意外でした。失礼かもしれませんが、みなさんもこういう陽キャっぽいイベントするんですね。てっきり、こういったアウトドアって苦手だと思ってました」
「「「あっ……、うん」」」
全員が一斉に目を逸らした。
あー姉ぇだけがドヤッと胸を張っていた。
俺は察した。みんなも俺と同じくあー姉ぇの被害者だったか。
雰囲気を変えようとしてか、VTuberのひとりが「け、けどっ!」と声を上げる。
「来てみたら案外楽しいもんだよね! プールってのも!」
「そ、そうだよね! 陽キャの巣窟だと思ってたよ! 私も友だちとプールに来るなんて人生ではじめてだったけどさ、すっごく楽しいよ!」
「「「あっ」」」
「水着も10年前に買ったやつだったから心配だったけど、着れてよかった~! あのときは集合場所に行ったらクラスのみんなだれもいなくってさ!」
「「「あっ」」」
「いやー、楽しいなー。私は今までこういうところに来たら、流れるプールを何人が通過するか数えて遊んでたんだけど……友だちと一緒に来たらそれ以外にも楽しいことが――むぐっ!?」
「もういい、もういいんだ……それ以上はっ!」
「???」
あまりにも悲しすぎる陰キャエピソードの数々に、となりにいたVTuberが彼女の口を塞いだ。
本人は黒歴史という自覚もないらしく、不思議そうに首を傾げていた。
俺も思わず「うっ」と声が出た。
涙が零れそうだった。
決心し、あー姉ぇの影から出て歩み寄る。
今はファンとしての矜持よりも大切なことがある。彼女の手を取り、語りかけた。
「一緒に遊びましょう? あなたはもうひとりじゃない。わたしたちがいるんだから!」
一緒に来ていたVTuber全員が泣いた。
本人は首を傾げながらも「え? みんなどうして泣いてるの? よくわからないけど、えぇ! 遊びましょう!」とうれしそうだった。
真夏のプール。
そこには友情と感動の物語が……「ぶえっくしょん!」。
「あー、ズビっ。ごみん、ごみん。鼻水出ちった。よしっ、みんなご飯行かない? 身体冷えてきちゃったよ~。あたし、ラーメン食べたいな!」
「「「アネゴェ……」」」
俺たちはあー姉ぇをジトーっと見て、それから笑った。
ほんと、無自覚なんだか狙ってやってんだか。
あー姉ぇはなにも考えていないような笑顔でみんなを売店へと引っ張っていった。
ご飯を食べて、泳いで、ウォータースライダーに乗って。
俺たちは休むことなくプールを楽しみ続けた。
* * *
遊び疲れてクタクタになりながら帰宅する。
母親はまだ帰っていないようだ。
最近、帰りの遅い日が続いているな。
繁忙期はまだ先だったと思うのだけど。
そんなことを考えながら、手慣れた操作で配信を開始する。
今日あったできごとを視聴者のみんなに共有した。
>>うらやましすぎるんだが!?
>>てぇてぇが過ぎる!!!!
>>アネゴ相変わらずで草
俺もずいぶんとこの生活が板についてきた。
かれこれ配信を開始してから1ヶ月が経過……経過して……。
「あぁっ!? デビュー1ヶ月の記念配信するの忘れてた!?」
>>する予定あったのか
>>もう1ヶ月も経ってたのか
>>むしろまだ1ヶ月しか経ってなかったのか
>>10万人単位の記念配信はしてたから、見た気になってたw
>>1ヶ月でこの登録者数ってすごくね?
>>ほとんどアネゴのおかげだろ
うわぁ~、やっちまった。
あー姉ぇに「記念イベントは積極的に行うように! 直近だと1ヶ月記念だからね? 忘れずに!」と言われてたのに。こ、これは怒られる……!
いや、待て、あー姉ぇのことだ。
指摘するつもりならとっくにしているはず。
つまり、指摘がなかったのはあー姉ぇなりの気づかいや配慮だろう。
ここ最近は夏期講習があったりあんぐおーぐがやって来たり、いろいろとドタバタしていたから……いや、ないな。あー姉ぇも忘れてるなコレ。
普段、当たり前のように絡んできているあー姉ぇだが、あれでかなりの多忙だからなぁ。
登録者数100万人越えはダテじゃない。
「えーっと、じゃあ急遽で申し訳ないけど……明日、1ヶ月記念配信します!」
>>(約)1ヶ月記念配信
>>記念配信ってなにするん?
>>歌配信か!? ついに歌配信なのか!? 歌配信だろ!?
「歌を歌いま――せん! かわりに、みんなが欲しがっていたものが用意できたからそれを発表するよ」
コメント欄でアレコレと推測がはじまる。
ってオイ、コメントで大喜利はじめてんじゃねーよ。
宿題と夏期講習と配信と動画視聴に追われる生活にも慣れ、ようやく平穏な夏休みが訪れて――いなかった。
この夏休みは毎日が、俺の前世を含めても飛び抜けて波乱万丈だ。
たとえばある日のこと。
『イロハちゃん、プール行きたくない?』
「ヤだよ」
唐突にあー姉ぇからそんな電話がかかってくる。
俺は即答で拒否した。
インドアをナメんな。だれがわざわざそんなとこ行くんだよ。
と思っていたら部屋のドアが、バンっ! と開かれた。
「!?!?!?」
「迎えに来ちゃった。よし、行くよ!」
「イヤーーーー!? 助けてお母さん! 誘拐されるぅ~!?」
「あはは、イロハママは外出中でしょ? 大丈夫、大丈夫。ちゃんと許可はもらってるから。え~っと、水着とタオルはこれかな? よしオッケー」
「だれか助けてぇ~!」
力で勝てるはずがなかった。
俺はズルズルと引っ張られてタクシーに放り込まれた。
そうして連れていかれた大型レジャープール施設。
どうやら待ち合わせをしていたらしく、あー姉ぇが手を振りながら集団に近づいていく。
「え、待って? 聞いてないんだけど!? あー姉ぇ、わたしたちだけじゃないの!?」
「なに言ってるの? 今日は――VTuberのオフ会だよ!」
「はいぃいいいいいい!?」
* * *
俺はプールサイドに横たわり、しくしくと泣いていた。
何名もの推しの3D体を見てしまった。
というかもう、リアルで会うことが普通みたいになってしまっている。
「あー姉ぇめぇえええ! 『えっ? もうイチ推しには会っちゃったし一緒じゃなかったの!?』じゃねぇえええ!? んなわけあるかぁあああ!」
「あ……え、えと。イロハちゃん。だよね……? へ、へへ……えと、なにしてるの?」
「っ!?」
今日が初顔合わせなVTuberのひとりが、俺に声をかけてくる。
俺は慌ててあたりを見渡しあー姉ぇを見つけると、その背中に隠れた。
これ以上、ファンとしての境界を破るわけにはいかないっ……!
「がーん……に、逃げられた」
「あはは、きっと照れてるだけだよ。イロハちゃんかわい~、借りてきた猫みたい~。そんなに引っ付いちゃって、アネゴのこと大好きなんだね~」
「いや~、照れるな~!」
「ちげーよ!?!?!?」
まったくもって心外な誤解だった。
しかしそんなやり取りを見て、VTuberたちが集まってきてしまう。
うっ!? こ、困った。
こうして女の子たちに囲まれると、どこを見ていいのかわからない。
しかし、推しに俺のような下賤の民の視線を浴びせるわけにはいかない!
心頭滅却。俺はじぃ~っとアネゴに視線を合わせた。
……ふぅ、落ち着いた。
効果はテキメンだ。
アレだ。昂ってしまったときに母親の顔を思い浮かべて自分を諫めるようなものだ。
「かわい~! そんな助けを求めるみたいな目でアネゴを見ちゃって。意外だな~、配信だとしっかりもののイメージがあったから。配信外だとこんなに甘えんぼなんだね~」
ほんと心外だよ!
あー姉ぇも「あ、バレちった? そうなんだよー。イロハちゃんアタシのこと好きすぎなんだよね~」じゃねぇえええ! 俺がいつそんな態度取った!?
しかし……。
俺はちらりと周囲を見渡した。
「正直、意外でした。失礼かもしれませんが、みなさんもこういう陽キャっぽいイベントするんですね。てっきり、こういったアウトドアって苦手だと思ってました」
「「「あっ……、うん」」」
全員が一斉に目を逸らした。
あー姉ぇだけがドヤッと胸を張っていた。
俺は察した。みんなも俺と同じくあー姉ぇの被害者だったか。
雰囲気を変えようとしてか、VTuberのひとりが「け、けどっ!」と声を上げる。
「来てみたら案外楽しいもんだよね! プールってのも!」
「そ、そうだよね! 陽キャの巣窟だと思ってたよ! 私も友だちとプールに来るなんて人生ではじめてだったけどさ、すっごく楽しいよ!」
「「「あっ」」」
「水着も10年前に買ったやつだったから心配だったけど、着れてよかった~! あのときは集合場所に行ったらクラスのみんなだれもいなくってさ!」
「「「あっ」」」
「いやー、楽しいなー。私は今までこういうところに来たら、流れるプールを何人が通過するか数えて遊んでたんだけど……友だちと一緒に来たらそれ以外にも楽しいことが――むぐっ!?」
「もういい、もういいんだ……それ以上はっ!」
「???」
あまりにも悲しすぎる陰キャエピソードの数々に、となりにいたVTuberが彼女の口を塞いだ。
本人は黒歴史という自覚もないらしく、不思議そうに首を傾げていた。
俺も思わず「うっ」と声が出た。
涙が零れそうだった。
決心し、あー姉ぇの影から出て歩み寄る。
今はファンとしての矜持よりも大切なことがある。彼女の手を取り、語りかけた。
「一緒に遊びましょう? あなたはもうひとりじゃない。わたしたちがいるんだから!」
一緒に来ていたVTuber全員が泣いた。
本人は首を傾げながらも「え? みんなどうして泣いてるの? よくわからないけど、えぇ! 遊びましょう!」とうれしそうだった。
真夏のプール。
そこには友情と感動の物語が……「ぶえっくしょん!」。
「あー、ズビっ。ごみん、ごみん。鼻水出ちった。よしっ、みんなご飯行かない? 身体冷えてきちゃったよ~。あたし、ラーメン食べたいな!」
「「「アネゴェ……」」」
俺たちはあー姉ぇをジトーっと見て、それから笑った。
ほんと、無自覚なんだか狙ってやってんだか。
あー姉ぇはなにも考えていないような笑顔でみんなを売店へと引っ張っていった。
ご飯を食べて、泳いで、ウォータースライダーに乗って。
俺たちは休むことなくプールを楽しみ続けた。
* * *
遊び疲れてクタクタになりながら帰宅する。
母親はまだ帰っていないようだ。
最近、帰りの遅い日が続いているな。
繁忙期はまだ先だったと思うのだけど。
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今日あったできごとを視聴者のみんなに共有した。
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つまり、指摘がなかったのはあー姉ぇなりの気づかいや配慮だろう。
ここ最近は夏期講習があったりあんぐおーぐがやって来たり、いろいろとドタバタしていたから……いや、ないな。あー姉ぇも忘れてるなコレ。
普段、当たり前のように絡んできているあー姉ぇだが、あれでかなりの多忙だからなぁ。
登録者数100万人越えはダテじゃない。
「えーっと、じゃあ急遽で申し訳ないけど……明日、1ヶ月記念配信します!」
>>(約)1ヶ月記念配信
>>記念配信ってなにするん?
>>歌配信か!? ついに歌配信なのか!? 歌配信だろ!?
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