【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

青依香伽

文字の大きさ
13 / 84
第2章 ルイーズの気持ち

4 ルイーズの決心

しおりを挟む
 
 屋敷に戻ったルイーズは、リアムとミシェルがいるであろう図書室に向かった。

「リアム、ミシェル」

 二人は姉の声に気付くと、読んでいた絵本から顔を上げて返事をした。

「姉上、お帰りなさい」「ねえたま、おかえり」

「ただいま。二人とも絵本を読んでいたの?」

「はい」「にいたまにね、よんでもらったの」

「そう、ミシェル良かったわね。リアムありがとう」

 頷くリアムと笑顔のミシェル。

「そうだわ。今日は二人に嬉しいお知らせがあります」

「なんですか?」「なぁーに?」

「今度のお休みに、エリーが我が家に遊びに来ます。二人とも何か予定はありますか?」

「エリーさんが……。予定はありません!」「ありましぇん!」

「そう、それなら良かったわ。当日は、エリーのために美味しいお菓子を三人で作って、お出迎えしましょうね」

「はい、楽しみです」「うん!」

 ルイーズは、エリーから屋敷へ訪ねていいかと聞かれ、嬉しさからすぐに了承の返事をした。今にして思えば、自分を心配してくれたエリーの気遣いだったのだと気がついた。目の前で喜ぶ二人を見つめながら、エリーの思いに感謝した。





 ルイーズは、二人の喜ぶ姿を微笑ましく思いながら図書室を後にした。

 先ほどトーマスに、父の所在を確認すると、侍女のローラと一緒に理解しているという顔つきで頷かれた。二人は自分の顔を見るだけで、いつも察してくれる。そんな二人に感謝しながら父親の執務室へ向かった。

 執務室では、父親のルーベルトと母親のエイミーが二人並んでソファーへ腰掛けていた。さすがトーマス。ルイーズの様子を見て、エイミーにも声を掛けたようだ。

「ただいま戻りました、ルイーズです」

 部屋の中からルーベルトの「入っていいよ」という返事が聞こえてきた。ルイーズは
唇を引き結ぶと
「ああ、今日はどうしたんだ?」

 何故かルーベルトは緊張した面持ちだ。微妙に声が上擦っている。その声に釣られてか、ルイーズも少しばかり緊張したが意を決して話し始めた。

「先日、考える時間をくださいと、お願いしたことを覚えていますか?」

「ああ……もちろんだよ」

 何故か不安そうな顔で頷くルーベルトを見やると、ルイーズは口を開いた。

「お父様、時間をくださってありがとうございました。今の私には何ができるのか、次の婚約どうするのか。考えても、その答えは出ませんでした。でも、やってみたいと思えることが見つかったのです。私、侍女科で色々な経験をしたり、新しいことに挑戦してみたいです。どうか、侍女科で学ぶことを認めてはいただけませんか」

「…………」

「気持ちは決まっているのね」

「はい」

 固まったままのルーベルトとは違い、エイミーはルイーズの表情を見て安心したようだ。トーマスやローラから、考え込むルイーズの話を聞いていたのだろう。まさかこんなにも早く、思いの丈を聞かせてもらえるとは思っていなかったような表情だが。  

 我に返ったルーベルトは、ルイーズに尋ねた。

「淑女科がいやなのか? そうではないのなら、今のままで良いじゃないか。新しい婚約者を探すから、もう少し待っていなさい」

「あなた!」

「坊ちゃま!」

「っ! 坊ちゃまじゃない!」

 エイミーが呆然とするルイーズに声を掛けた。

「ルイーズ、お父様とお話をするから、お部屋に戻って宿題でもしていらっしゃい」

 ルイーズは笑顔のエイミーに頷き返すと、三人の様子を気にしながらもその場を後にした。

 その後の執務室では、エイミーとトーマスから、お説教をされるルーベルトの姿があったとか、なかったとか。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

差し出された毒杯

しろねこ。
恋愛
深い森の中。 一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。 「あなたのその表情が見たかった」 毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。 王妃は少女の美しさが妬ましかった。 そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。 スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。 お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。 か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。 ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。 同名キャラで複数の作品を書いています。 立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。 ところどころリンクもしています。 ※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!

私を愛してくれない婚約者の日記を読んでしまいました〜実は溺愛されていたようです〜

侑子
恋愛
 成人間近の伯爵令嬢、セレナには悩みがあった。  デビュタントの日に一目惚れした公爵令息のカインと、家同士の取り決めですぐに婚約でき、喜んでいたのもつかの間。 「こんなふうに婚約することになり残念に思っている」と、婚約初日に言われてしまい、それから三年経った今も全く彼と上手くいっていないのだ。  色々と努力を重ねてみるも、会話は事務的なことばかりで、会うのは決まって月に一度だけ。  目も合わせてくれないし、誘いはことごとく断られてしまう。  有能な騎士であるたくましい彼には、十歳も年下で体も小さめな自分は恋愛対象にならないのかもしれないと落ち込む日々だが、ある日当主に招待された彼の公爵邸で、不思議な本を発見して……?

婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします

たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。 荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。 「この猫に構うな。人間嫌いだから」 冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。 猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

薬師の能力を買われた嫁ぎ先は闇の仕事を請け負う一族でした

あねもね
恋愛
薬師として働くエリーゼ・バリエンホルムは貴族の娘。 しかし両親が亡くなって以降、叔父に家を追い出されていた。エリーゼは自分の生活と弟の学費を稼ぐために頑張っていたが、店の立ち退きを迫られる事態となる。同時期に、好意を寄せていたシメオン・ラウル・アランブール伯爵からプロポーズを申し込まれていたものの、その申し出を受けず、娼館に足を踏み入れることにした。 エリーゼが娼館にいることを知ったシメオンは、エリーゼを大金で身請けして屋敷に連れ帰る。けれどそこは闇の仕事を請け負う一族で、シメオンはエリーゼに毒薬作りを命じた。 薬師としての矜持を踏みにじられ、一度は泣き崩れたエリーゼだったが……。 ――私は私の信念で戦う。決して誰にも屈しない。

銀鷲と銀の腕章

河原巽
恋愛
生まれ持った髪色のせいで両親に疎まれ屋敷を飛び出した元子爵令嬢カレンは王城の食堂職員に何故か採用されてしまい、修道院で出会ったソフィアと共に働くことに。 仕事を通じて知り合った第二騎士団長カッツェ、副団長レグデンバーとの交流を経るうち、彼らとソフィアの間に微妙な関係が生まれていることに気付いてしまう。カレンは第三者として静観しているつもりだったけれど……実は大きな企みの渦中にしっかりと巻き込まれていた。 意思を持って生きることに不慣れな中、母との確執や初めて抱く感情に揺り動かされながら自分の存在を確立しようとする元令嬢のお話。恋愛の進行はゆっくりめです。 全48話、約18万字。毎日18時に4話ずつ更新。別サイトにも掲載しております。

ざまぁに失敗したけど辺境伯に溺愛されています

木漏れ日
恋愛
天才魔術師セディが自分の番である『異界渡りの姫』を召喚したとき、16歳の少女奈緒はそれに巻き込まれて、壁外という身分を持たない人々が住む場所に落ちました。 少女は自分を異世界トリップに巻き込んだ『異界渡り姫』に復讐しようとして失敗。なぜかロビン辺境伯は少女も『異界渡りの姫』だと言って溺愛するのですが…… 陰陽の姫シリーズ『図書館の幽霊って私のことですか?』と連動しています。 どちらからお読み頂いても話は通じます。

【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!

風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」  第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。  夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!  彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります! /「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。 基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。

処理中です...