痛がり

白い靴下の猫

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43.金属探知機は売れますか

メイが可愛くて、妄想爆発気味だったので。
気を紛らわすためもあって、さとるは、実験室・・サーファが銃器工場だと言っていたあそこだ・・を再探索した。
メイに聞いてみると、最後にやっていたのは、センシング範囲がキロ単位の超高性能な金属探知機の開発だったそうだ。普段使いに、ちょっと欲しくなった。武装勢力の待ち伏せとか狙撃とかに、気軽に外出できるようになるかと思って。
化学は不得手だったので恐る恐るだったが、センサの部分はもうできていた。ただ、キロ単位で周囲を探せば当然大量の金属があるわけで、そちらの選別の問題。センサが捕らえた金属の形状から危険物かどうか判断するのに化学は関係ない。機械学習や人工知能の分野で興味の範囲内だ。

形状から危険物の種類は、オープンソースのライブラリーを使えばそこそこ良い精度で判定できる。あとは全部の金属に注意したいわけじゃないので、スナイパーライフルだったら1キロ先でもアラートさせるが、小さなナイフだったら半径数メートルしかアラートさせなければいい。興味対象を1つに絞ることさえできれば引き金の動きまで察知できる。
さとるの場合、目的がメイや自分たちが安心して外出できればそれでよかったので、試作品レベルはあっという間にできた。
探すものの形がわかってなきゃだめだから鉱脈を見つけるとか無理だし、きっと売れない、うん、ボツ製品だな、もらっちゃってデートに行こう!とほくほくするさとるを、あかりが残念な子を見る目で見る。

売れるよ、めちゃくちゃ。国相手でも、軍事産業界相手でも、空港でも駅でもイベント会場でも。こんなぶっ飛んだ精度の金属探知機、防御銃と組み合わせれば、衛星経由の遠隔操作で撃たれても間に合うんじゃなかろうか。

ますみ程、短時間ピンポイント集中型でないだけで、さとるの能力もかなりアレだ。この兄弟、弱み握って働かせたら一生楽できそう。シューバ君も投入したら一生どころか三生位楽できる気がする。
私に勤労する気がなくなって、休学のまま大学辞めたらあんたらのせいだぞ、まったく。
ため息をつきながらもあかりはさとるに同意する。

「わかったわよ、安全確保できるまで売らなきゃいいんでしょ。もらっちゃってデートすれば」


そんな風に、高度な武器ばかり警戒していたから。
武装勢力や企業にばかり気が行って、損得やお金の物差しを使うことが多くなっていたから。
何より、さとるたちにとってのメイが、不条理な痛苦で負わされた傷から必死で回復中の、応援されて当然の人間だったから。

分の悪い方が文化に逃げる。ホゴラシュに来て数時間でそう見切ったあかりでさえ、忘れていたのだ。

金銭的な損得や、政治的な強弱とは切り離して、メイが幸せそうなこと自体が許せない人々がいたこと。それも、群れる程たくさんいたこと。
彼らが憎む対象が、メイに集約されうること。

FGMを否定し、公開刑を受け、夫を変えながら、顔をまっすぐに上げている。
不義の生まれで、女でありながら、自分の人生の支配者のようにふるまう。
同族に弾かれながら、別の仲間をつくって笑い合った。

そんな、経済感覚では誰の損にもならないことが。

大量殺人や児童売買に対する嫌悪感など鼻で笑えるほどの負の感情を引き起こすなど。
飢餓と怨嗟に住むことを余儀なくされた人々が、メイを屠ることで、気絶するほどのカタルシスを得られるなど。

知らなかったのだ。
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