痛がり

白い靴下の猫

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48.メイとシューバの同盟

・・・嘘くさい。
18禁が撤廃になる程、男女交際なるものが形骸化してなお、女が女に、あの娘の可愛いフリはあざといとか、男にばかり媚びてむかつくとか、そういう話をしているのを何度も聞いた。
大抵の男は媚られるのは嫌いじゃないので、需要と供給が合うなら良いのではないかと思ったが、畑里の意見は違っていて。
『嘘くささは鼻につく。においが気になるのは仕方ない』と。
畑里がいうなら、そんなもんなのかな、で流した記憶がある。

で、今。
ものすごく嘘くさいメイが、気になって仕方がない。

簡単にまとめれば、誘惑、してきているのだと思う。
でも、好きだから触れたいっていうより、『そういうご趣味』の中身、確かめようとしてる感じ?
今のところ理性を総動員させて回避しているのは俺の方。

自分で言うのもなんだが、好きな女抱くのに、そんなに複雑なこと考える方じゃない。
それでも逃げる理由は至極簡単。コンドームを持ってない。
ひと月しかいないつもりだったし、こんなことになると思ってなかった。だからといって、この国で現地調達とか怖すぎる。

タキュ人の初潮年齢が遅いと言っても、16才位が普通で、メイもそろそろ。
1度大丈夫だったからって、続けてればいずれ当たる計算。で、両想いとわかってあんなメイ抱きはじめた日には、絶対続けてしまう自信がある。
しかも、この国って、外国籍の男が子ども作ったあげく、ぽっくり逝ったりすると相当マズイのだ。
マッドな医者に触りまわされたかいあって、左手がなんとか動くようになったあの子どもも、結局外国籍の男とのハーフだった。爆弾押し付けられた経緯もハーフなせいが大きくて、結構悲惨だったので、さすがに可哀想になって最近は優しくするようにしている。
そんなわけで、もうちょっとゴタゴタが片付いたら、一度日本に戻ってまず籍入れて、とか、もう、ますみみたいなことを考えている。

ゴタゴタは、そう遠くないうちに収束しそうだ。
なにより、畑里がシューバを御した、というか、尻に敷いた?のが偉かった。地の利がなかった頃が嘘のようにスムーズに話が進む。
ティールともゼルダとも、住み分けはっきりの契約を締結して、技術移転も順調だ。
特許の方はアメリカでトラック1にして、通り次第PPHで十数国に広げる方針で、うまくいっているらしい。
製品化前だというのに、採掘される希土類や副産物は、言い値でも飛ぶように売れるし、クリスタには毎月かなり高額なローヤリティが入るし、ゼルダには海外のべンチャーキャピタルからホゴラシュの国家予算をはるかに上回る投資金額が入った。

武装勢力向けにも、一族向けにも、死んだことにされたメイは、畑里からもらったカラコンとつけまつげであっさり別人として生活している。
サシャは、まぁ、頭が沸いているとしか思えないますみとのラブラブ具合が後遺症のせいじゃないとすればだが、驚異的に回復中。
ただ、こちらも絶対兵器を夢見る勢力にさらわれかねないので、シューバの計らいで対外的には病院で死んだことになった。両親とかにはこっそり無事を伝えたのでいずればれるかもしれないが、今のところは平穏で。

入ってくる金使って何したいかとか、女の子たちの言語能力どう生かすかとか、そんな次段階の話が出てくるようになったし。
もう数週間して、技術指導が一段落して、サシャが飛行機に乗れるくらい安定したら、メイを連れて一度日本に帰国しようと思っている。

そんな割とのんびりな日々。
犬の毛まみれで、袖口とかヨレヨレで、隙のない経済人っぽさとか、大人っぽい無表情とかは蜃気楼だったのかと思わせるようになってしまったシューバが、良く屋敷に打ち合わせに来る。
もう正直、表情とかが別人。一時期はシューバを見ると震えが止まらなくなっていたメイが、二度見するような子供っぽい顔でよく笑う。
そういう顔をすると、ますみ程ではないが、結構こいつもハンサムだ。

そんなシューバが、メイの手首をつかんで、物置部屋に消えたらやっぱりほっとけない。
踏み込んでやろうか、とばかりに一歩を踏み出すと、畑里に足をかけられてこけそうになる。
「なにす・・・もが」
おまけに口をふさがれて、無線イヤホンをひとつだけ渡された。もう一つは畑里が自分の耳につっこむ。
聞けってか。
『神崎さとるに、怒られなかった、か?』
シューバの声。ってことは、物置の中の盗聴かよ。俺は奥さんのプライバシーは尊重したいぞ?まぁ、踏み込もうとはしたけどな。
『お葬式の時のハグですか?』
『それもだけど、あいつがメイの夫だと知らなかった。夫もちなのに勝手に自分の体、掛け金にしたのだな。うちの父親、男性機能はとっくに死んでたから厳密な貞操関係って意味じゃ問題ないかもしれないが。あんなに、尋常じゃなく甚振られて、夫は平気なものか?』
『その、ちょっと嗜好が特殊、だそうで、甚振られたこと自体は平気みたいです』
そんなはず、ないだろうが。
どんな嗜好があれば平気になるんだ、ばかもの。
『そうか、安心・・・でもないか。あいつにも酷いことされているのか?』
『いいえ。それが問題、というか、特殊な嗜好とか、わからなくて。鞭の傷や手枷込みなら、綺麗な女性より私の方が役に立てるので、励みたいですが、なぜか私が拷問にトラウマでるのバレてるみたいで。優しくして触れないのも嫌じゃないみたいで。もう、どっちに進んでいいのやら』
どっちも崖崩れだ!あほたれ。
そう思うのに、シューバは我が意を得たりとばかりにすっきりした声で答える。
『気が合うな。私もだ。情報交換、というか、助け合わないか』
『シューバ様は、その・・』
『サディストだな。珍しい虫を見つけると狩ってピンでとめるたくなるし、うちの犬は可哀想なぐらい厳しくしつけている』
嘘をつけ。お前のそのヨレヨレの袖口、噛んだまま思いっきり子犬に引っ張りまわされた跡だよなぁ。畑里がシューバの家から帰ってくると、絶対なんか壊されていて、毎回『あのバカ犬―!』って叫んでいるぞ。野放しだろうが。
あと、昆虫採集と変態は多分関係ない。
もう、この段階で絶望的な気分になってきた。
お前らが助け合って得た情報なんて、絶対アウトだよ!
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