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71.不吉な連絡
フラッシュバックがおさまり、深く眠れるようになり、トレーニングという名の過度な体の酷使をやめたメイは、とてもきれいになった。もう手錠がなくてもすやすや眠れる。
血色がよくなって必要な肉がちゃんとついて、無事に初潮も迎えた。
さとるは大急ぎでセスナの免許をとったし、双発機のレンタル台数も増やしたので、セジスタン地区を中心にした足回りが劇的に改善した。
何より物理的な郵便物のやり取りが楽になったのが大きい。
さとるは真っ先に、婚姻届けを日本に郵送した。戸籍の管理も怪しくなり、死亡届があるのかもよくわからないホゴラシュの婚姻要件具備証明書なるものが役に立つのか心配だったが、とりあえず受理はされたらしい。とてもめでたい。
ゼルダの身元保証で周辺国からの警戒も解かれた今、食べ物や遊ぶ場所や仕事的には、それほどの不自由はない。
ただ、ホゴラシュの屋敷自体には、どうやっても通販も郵便もまともに届かない。
畑里がいちばんキレたのが生理用品。セジスタン地区とアクセスが良い周辺国を経由すればなんとか小包が届くヨーロッパ方面から輸入してみたり、生産国が日本のはずのものを取り寄せてインドまで取りに行ったりしたが、畑里的にはオールアウトだったらしい。
メイに初潮が来たとき、畑里がすぐに気づいて、生理用品やら生理痛の薬やら教えて世話を焼いてくれた。
俺やメイはすごく助かったが、畑里の方は消費量の計算が狂ったわけで。
結局、ゼルダとの正式契約に来たはずの姉貴は、生理用品・・・まぁ、俺の生理的に必要な用品も混ぜてもらったが・・に埋もれてホゴラシュの屋敷に到着する羽目になった。
傷跡治療には、まだ時間という要素も必要だけど、すごくきれいに治りそうな予感がひしひしとする経過だ。爪の治療も、あのマッドな医者は文句のつけようもなく上手にできてしまい、今はぷくぷくした新しい爪に替わっている。
万事順調、なはずだった。
だが、幻想だったらしい。
不吉な連絡は、早朝にマッドな医者から来た。
「お久しぶりです、雇用主さん。メイさんが不妊手術を行うそうですね。夫婦の合意に被用者が口を出して恐縮ですが、あのホゴラシュの医者は無いわ。私が足で手術するより確実に下手です。痛みや死亡のリスクを楽しむ人たちの気持ちもわからないとは言いませんが、彼女は現在私の美術品で手を出されたくなくて警告です。ドSも行き過ぎると犯罪ですよ。」
俺の目の黒いうちにそんな手術させるわきゃねーだろ!と暴れたおして、奴の知っている情報を吐かせる。卵管切除?不可逆だわ、下手な奴だと痛みは残るわ、死者が出たこともある手術だと?ふざけんじゃねーぞ。
飛び起きたが、メイは信じられなく朝っぱらだというのに、既に部屋にいなかった。
そして、枕元には、メイが電源を切ったのだろうと思われる試作の金属探知機。
もともと屋敷内は金属だらけ、信管だらけ、武器だらけと言って過言でないので、基本的には不自然に動いている金属や、屋敷内で記憶されていない銃や信管が見つかった時ぐらいしかアラートされない。
電源を入れてみるけれど、やはり今もアラート音はない。
セキュリティレベルからメイが屋敷から出ていないことはわかったので、先にモニタールームの記録を漁りに行った。
最近の監視カメラはAI搭載で危険度の高い映像だけアラートしてくれる。普段はとても重宝するが、今回に至っては裏目に出たらしい。
アラートがなる危険度を最低にしても、怪しい人間がうろついている様子はなかったが、それよりなお怪しい小包郵便を受け取るメイが居た。
ホゴラシュに来た頃はそれこそネット通販が使えないかと色々試し、中味がすっかり抜かれた箱が届いたことはあるが、他は全滅した。
いまでは、数カ月に一回、敦子が知りあい伝手のバケツリレーで小包を送ってくれる位。しかも、その場合はセジスタン地区までこちらからとりに出向く。
エアメールですらこの屋敷での郵便物授受はあきらめているのだ。ましてや小包など。
屋敷内の監視カメラで、メイの居所を見つける。
地下の・・・ジャミングルーム?!
インターホンすらない、電子機器フリーな部屋だ。わざわざ電波ジャマーアンテナをうじゃうじゃたてて電波障害した部屋で作業している人間に、携帯電話で連絡をとるわけにもいかない。
物理的に出向くしかないのですぐに向かったが、普段使わない地下エリアに入った途端、これでもかと言いうほど防火シャッターや、多重扉や、バリケードが立ちふさがった。
今、屋敷には二人しかいないのだ。
要は、ジャミングルームから締め出したかったのは俺、ということか?だとしたら、ずいぶん念入りに遠ざけてくれる。
でも、マッド医者からの電話がなければ爆睡中のはずで、秒単位でメイの追跡をしているわけでもない俺が、ジャミングルームに向かう確率はどれぐらい?
焦りながらも全排除して、ジャミングルームを開けたのは1時間以上経過していた。
中には、真っ青な顔で、汗を吹き出しながらうずくまっているメイが居た。
光源も最低限で、地下で、狭くて、分厚い壁の圧迫感がある部屋だ。
閉暗所恐怖症持ちのメイが長くいていい部屋ではない。
ドアを開けたさとるを見て、メイは息をのみ、後ずさる。
さとるとしては、解体されて部屋の隅に積まれた、汚いコイルも、爆発物本体も気になるが、とりあえずそれどころではない。
怖いはずの暗い部屋の奥に後ずさる程俺が怖いってどういう状態だ?
爆発物の状態に緊急性がない事だけ確認して、メイを部屋から引きずり出す。
なぜ引きずり出す羽目になったかというと、暴れてとても抱き上げて出るなんて無理だったから。
メイが落ち着きを取り戻した時には既に昼を回っていた。
とても食事できる顔色じゃなかったので、とりあえず冷凍ベリーでスムージー作って、温かいココアを入れる。
水以外のどっちかがのめればラッキー程度だ。
「本物、ですね」
「そうだな。フラッシュバックか?」
「いえ、閉暗所のほうです。落ち着きました。片づけてきます」
立ち上がったメイの手首をつかんで、椅子に押し戻す。
ふらついているメイを相手にするにはいささか力が入り過ぎていた。
ガッタンと大きな音を立ててメイが椅子に戻る。
たたきつけられたと座りなおしたの中間。
顔をゆがめたのはメイもさとるも一緒だ。
「いってらっしゃい、とか言うと思ったのか?」
「すみません」
「なにがあった?」
「塀の外に、つくりの簡単な爆弾がおかれていたのを朝の散歩で発見し、解体を試みました。閉暗所に慣れる練習のつもりでジャミングルームを使いましたが、失敗してこうなりました」
さとるが大きなため息をひとつ。
「隠し事が、おおいな、メイ」
小包が届いたことも、爆弾の構造も、ジャミングルームに行った理由も、俺を前に暴れた理由もいいたくないってか。
マッド医者から聞いたネタだけでも噴火寸前だと言うのに。
「すみません」
「嘘があると、認める?」
「・・・・」
座っているメイの後ろに立って、両腕でメイを囲むように机に手をつく。
「わかった。答えなくていいから、どっちか飲め」
メイはココアをとって一気に流し込んだ。
さとるは左側の手を机から離して、メイの右側に顔を寄せる。
「言いたくないみたいだから自分で調べてくる。屋敷からは出ない。危ないことはしない。体を休めている。守れるか?」
メイが、一瞬目を閉じてから机に残ったさとるの右手を握る。
「あのっ、見逃して・・」
「守れないなら、そこら辺に括り付けて行く。守れるか?」
「は、い、」
メイの張りつめた顔を見てさとるは付け足す。
「もう一個、追加。俺の邪魔もしようとするな、な」
屋敷の全電源を落としてジャミングルームに先回るぐらいはしそうな顔だ。
正直、この屋敷でメイと全面衝突したらモスラとキングギドラが戦ったレベルには被害が出ると思う。
ジャミングルームには、いかにもあり合わせのもので作りましたと言わんばかりの爆弾が3個解体されていた。いわゆるIED。起動装置は遠隔操作型。受信側のアンテナに特定の電流が流れさえすればいいので、理屈上は、携帯電話でもWi-Fiでも電磁コイルでも起動できる。
起動用の電波を妨害すれば確かに爆発しない。この部屋のアンテナは数があるので、遮断帯域も複数選択できるが、結局のところ、周波数を当てられなくなった途端アウト。
それ以前にジャミングルームまで行く間にドカンの可能性だって高い。
それが、3個。今日が初めてでもなければ、偶発的な話でもないわけで、背後が穏やかな話のはずがない。
血色がよくなって必要な肉がちゃんとついて、無事に初潮も迎えた。
さとるは大急ぎでセスナの免許をとったし、双発機のレンタル台数も増やしたので、セジスタン地区を中心にした足回りが劇的に改善した。
何より物理的な郵便物のやり取りが楽になったのが大きい。
さとるは真っ先に、婚姻届けを日本に郵送した。戸籍の管理も怪しくなり、死亡届があるのかもよくわからないホゴラシュの婚姻要件具備証明書なるものが役に立つのか心配だったが、とりあえず受理はされたらしい。とてもめでたい。
ゼルダの身元保証で周辺国からの警戒も解かれた今、食べ物や遊ぶ場所や仕事的には、それほどの不自由はない。
ただ、ホゴラシュの屋敷自体には、どうやっても通販も郵便もまともに届かない。
畑里がいちばんキレたのが生理用品。セジスタン地区とアクセスが良い周辺国を経由すればなんとか小包が届くヨーロッパ方面から輸入してみたり、生産国が日本のはずのものを取り寄せてインドまで取りに行ったりしたが、畑里的にはオールアウトだったらしい。
メイに初潮が来たとき、畑里がすぐに気づいて、生理用品やら生理痛の薬やら教えて世話を焼いてくれた。
俺やメイはすごく助かったが、畑里の方は消費量の計算が狂ったわけで。
結局、ゼルダとの正式契約に来たはずの姉貴は、生理用品・・・まぁ、俺の生理的に必要な用品も混ぜてもらったが・・に埋もれてホゴラシュの屋敷に到着する羽目になった。
傷跡治療には、まだ時間という要素も必要だけど、すごくきれいに治りそうな予感がひしひしとする経過だ。爪の治療も、あのマッドな医者は文句のつけようもなく上手にできてしまい、今はぷくぷくした新しい爪に替わっている。
万事順調、なはずだった。
だが、幻想だったらしい。
不吉な連絡は、早朝にマッドな医者から来た。
「お久しぶりです、雇用主さん。メイさんが不妊手術を行うそうですね。夫婦の合意に被用者が口を出して恐縮ですが、あのホゴラシュの医者は無いわ。私が足で手術するより確実に下手です。痛みや死亡のリスクを楽しむ人たちの気持ちもわからないとは言いませんが、彼女は現在私の美術品で手を出されたくなくて警告です。ドSも行き過ぎると犯罪ですよ。」
俺の目の黒いうちにそんな手術させるわきゃねーだろ!と暴れたおして、奴の知っている情報を吐かせる。卵管切除?不可逆だわ、下手な奴だと痛みは残るわ、死者が出たこともある手術だと?ふざけんじゃねーぞ。
飛び起きたが、メイは信じられなく朝っぱらだというのに、既に部屋にいなかった。
そして、枕元には、メイが電源を切ったのだろうと思われる試作の金属探知機。
もともと屋敷内は金属だらけ、信管だらけ、武器だらけと言って過言でないので、基本的には不自然に動いている金属や、屋敷内で記憶されていない銃や信管が見つかった時ぐらいしかアラートされない。
電源を入れてみるけれど、やはり今もアラート音はない。
セキュリティレベルからメイが屋敷から出ていないことはわかったので、先にモニタールームの記録を漁りに行った。
最近の監視カメラはAI搭載で危険度の高い映像だけアラートしてくれる。普段はとても重宝するが、今回に至っては裏目に出たらしい。
アラートがなる危険度を最低にしても、怪しい人間がうろついている様子はなかったが、それよりなお怪しい小包郵便を受け取るメイが居た。
ホゴラシュに来た頃はそれこそネット通販が使えないかと色々試し、中味がすっかり抜かれた箱が届いたことはあるが、他は全滅した。
いまでは、数カ月に一回、敦子が知りあい伝手のバケツリレーで小包を送ってくれる位。しかも、その場合はセジスタン地区までこちらからとりに出向く。
エアメールですらこの屋敷での郵便物授受はあきらめているのだ。ましてや小包など。
屋敷内の監視カメラで、メイの居所を見つける。
地下の・・・ジャミングルーム?!
インターホンすらない、電子機器フリーな部屋だ。わざわざ電波ジャマーアンテナをうじゃうじゃたてて電波障害した部屋で作業している人間に、携帯電話で連絡をとるわけにもいかない。
物理的に出向くしかないのですぐに向かったが、普段使わない地下エリアに入った途端、これでもかと言いうほど防火シャッターや、多重扉や、バリケードが立ちふさがった。
今、屋敷には二人しかいないのだ。
要は、ジャミングルームから締め出したかったのは俺、ということか?だとしたら、ずいぶん念入りに遠ざけてくれる。
でも、マッド医者からの電話がなければ爆睡中のはずで、秒単位でメイの追跡をしているわけでもない俺が、ジャミングルームに向かう確率はどれぐらい?
焦りながらも全排除して、ジャミングルームを開けたのは1時間以上経過していた。
中には、真っ青な顔で、汗を吹き出しながらうずくまっているメイが居た。
光源も最低限で、地下で、狭くて、分厚い壁の圧迫感がある部屋だ。
閉暗所恐怖症持ちのメイが長くいていい部屋ではない。
ドアを開けたさとるを見て、メイは息をのみ、後ずさる。
さとるとしては、解体されて部屋の隅に積まれた、汚いコイルも、爆発物本体も気になるが、とりあえずそれどころではない。
怖いはずの暗い部屋の奥に後ずさる程俺が怖いってどういう状態だ?
爆発物の状態に緊急性がない事だけ確認して、メイを部屋から引きずり出す。
なぜ引きずり出す羽目になったかというと、暴れてとても抱き上げて出るなんて無理だったから。
メイが落ち着きを取り戻した時には既に昼を回っていた。
とても食事できる顔色じゃなかったので、とりあえず冷凍ベリーでスムージー作って、温かいココアを入れる。
水以外のどっちかがのめればラッキー程度だ。
「本物、ですね」
「そうだな。フラッシュバックか?」
「いえ、閉暗所のほうです。落ち着きました。片づけてきます」
立ち上がったメイの手首をつかんで、椅子に押し戻す。
ふらついているメイを相手にするにはいささか力が入り過ぎていた。
ガッタンと大きな音を立ててメイが椅子に戻る。
たたきつけられたと座りなおしたの中間。
顔をゆがめたのはメイもさとるも一緒だ。
「いってらっしゃい、とか言うと思ったのか?」
「すみません」
「なにがあった?」
「塀の外に、つくりの簡単な爆弾がおかれていたのを朝の散歩で発見し、解体を試みました。閉暗所に慣れる練習のつもりでジャミングルームを使いましたが、失敗してこうなりました」
さとるが大きなため息をひとつ。
「隠し事が、おおいな、メイ」
小包が届いたことも、爆弾の構造も、ジャミングルームに行った理由も、俺を前に暴れた理由もいいたくないってか。
マッド医者から聞いたネタだけでも噴火寸前だと言うのに。
「すみません」
「嘘があると、認める?」
「・・・・」
座っているメイの後ろに立って、両腕でメイを囲むように机に手をつく。
「わかった。答えなくていいから、どっちか飲め」
メイはココアをとって一気に流し込んだ。
さとるは左側の手を机から離して、メイの右側に顔を寄せる。
「言いたくないみたいだから自分で調べてくる。屋敷からは出ない。危ないことはしない。体を休めている。守れるか?」
メイが、一瞬目を閉じてから机に残ったさとるの右手を握る。
「あのっ、見逃して・・」
「守れないなら、そこら辺に括り付けて行く。守れるか?」
「は、い、」
メイの張りつめた顔を見てさとるは付け足す。
「もう一個、追加。俺の邪魔もしようとするな、な」
屋敷の全電源を落としてジャミングルームに先回るぐらいはしそうな顔だ。
正直、この屋敷でメイと全面衝突したらモスラとキングギドラが戦ったレベルには被害が出ると思う。
ジャミングルームには、いかにもあり合わせのもので作りましたと言わんばかりの爆弾が3個解体されていた。いわゆるIED。起動装置は遠隔操作型。受信側のアンテナに特定の電流が流れさえすればいいので、理屈上は、携帯電話でもWi-Fiでも電磁コイルでも起動できる。
起動用の電波を妨害すれば確かに爆発しない。この部屋のアンテナは数があるので、遮断帯域も複数選択できるが、結局のところ、周波数を当てられなくなった途端アウト。
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