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123. ずももーん
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ど、どした?
今日こそは、早く帰って、ミケとまっとうにイチャイチャする!と、宣言して出て行ったシェドは、早すぎる時間に、ずもーん、と真っ暗な顔をして帰って来た。
ミケは、いつも通り、屋敷のミケの部屋でソナと商会の話をしていて、お菓子を食べながら盛り上がり、赤面しながら、ちょびっとだけ、スポンサー売り込みの小道具の話もしたりして。座椅子の背が目に入ると赤面が悪化したりして。
同じような売り込みはあったものの、ソナは、年若のタイキの教育(?)に悪いと、彼の目に触れないように、さっさと隠してしまったので。
『試供品』をためしたミケの話に、商売根性丸出しで、かぶりついたりして。
ソナが、今日は私も早く退散するね、がんばれー、あ、色っぽい下着の在庫、各国のやつがあるよ?なんて、余計な世話を焼いて。
その中に、ずももーん、ずももーん、とこれが黒でなくて、何が黒なの?と聞きたくなるほどのよどんだオーラを出してパチドが帰宅してくれば、ソナとしては非常に理由が気になる。
ソナがミケの方を見ると、ミケの顔が、心配!というタイトルのオブジェになっているし。
うーん、今日のイチャイチャは、延期だな、きっと。
ソナは、ミケに見せに来た花酒の新商品を、惜しげもなくパチドについてやりながら言った。
「私は、あと3分でかえりますが、もし、そのままミケにぶつけるとまずいネタがあれば先にどうぞ。ワンクッションになりますよ?」
☆
パチドはソナを3分で帰さず、自分がミケに手を出さないよう、潰れるまでいてくれと頼みこんで、立て続けに酒を煽りながら、パチドとフロラインの過去を話した。
あー。繊細な男よねぇ。
ソナは、ルードの過去のダメージと、徹夜と、花酒で、半潰れになったパチドを見ながらそう思う。
シェドはルードじゃないし、ミケはフロラインじゃないのだから、その二人のことは二人で消化してもらうしかないと思うけどなぁ。
確かに、流産とか悲痛だし、せっかく自分のところに来てくれた命を守れなかったら多分私でも一生傷になるよ。でもさ、どんなに悲惨なことでも、起こってしまう時は起こってしまうのだ。
常連さんの子どもを身ごもったソナの友達なんて、種まいた男にバラバラ死体にされた。
彼女はその男になんの要求もする気もなかった。子どもと生きたかった彼女は、確執のあった田舎の両親に土下座して和解して、その両親が子育て準備をして首を長くして待っていてくれたのに。彼女は、子どもごとその男に微入り細入りに殺された。
男が彼女を殺した理由は、自分の家族にバレたくなかったのか、後の弱みになると思ったのか、世間から何か言われると思ったのか、よくわからないけれど。
金持ちだったその男は、なんの処罰も受けなかったし、墓の前でなぜか自分を可哀想がって泣いていたよ。
女やっていれば、どんなに腹が立とうが、受け入れがたかろうが、種まいた男が敵になるなんていうのは、ゼロにならないリスクだ。
どれだけひどいことが起きたからって、どれだけ悲しんだり苦しんだりしたからって、勝手に代償が降ってくるわけじゃない。
最後に押し付けられた奴が、抱えて死ぬのだ。
ミケはそれが我慢できず、公妾になった。苦しい想いをしようが、自分がアレを抱えて死ぬよりは随分とマシだった、と彼女は言うし、ソナもその気持ちはとてもよくわかる。
ただ、ガツンと復讐対象が見えていればこの上なく強いミケも、半端な悪意の集合体にはヘロヘロだ。例えばミケが冥界的と表現する両親。例えばムーガル王とグリーンが演出する軍の虚飾。
フロラインも、復讐対象が見えていない。彼女にとってのクラムルは、人というより冥界の亀裂そのものだし、ルードの行動を歪めたのは彼が守ろうとした民衆だし、子が流れたのは自分が弱かったせいだと思っているし。
冥界の亀裂と魔素、ねぇ。
あるべきものがあるだけだから、恨んでも仕方がないというのが、ミケや、フロラインや、ルードの考え方なのだろうけれど。
そうなのかなぁ。
たしかに、無差別に世の中恨み散らかすとか、みっともないとは思うけれど、ソナから見ると、そこまで無差別な話ではなくないか?と思う。
彼女らに向けられる悪意の対象が、生殖機能の破壊、っていうのかな、こいつらに子どもは産ませねぇ、的なところに集約している気がするのだ。
それって本当に、あるべきものがあるだけ、っていう状態が生み出すものなのだろうか。
かなり俗物な自覚があるソナは、うそだぁ、と思う。
オーデとマー君の酒盛り・・じゃないな、ワックス盛りの〆は、いつも懐かしそう。
『大好きな3人組、素敵な3人組。彼らが今度こそ幸せになれますように』
んー、昔のこと知っていそうよね、聞いてみようかな。
今日こそは、早く帰って、ミケとまっとうにイチャイチャする!と、宣言して出て行ったシェドは、早すぎる時間に、ずもーん、と真っ暗な顔をして帰って来た。
ミケは、いつも通り、屋敷のミケの部屋でソナと商会の話をしていて、お菓子を食べながら盛り上がり、赤面しながら、ちょびっとだけ、スポンサー売り込みの小道具の話もしたりして。座椅子の背が目に入ると赤面が悪化したりして。
同じような売り込みはあったものの、ソナは、年若のタイキの教育(?)に悪いと、彼の目に触れないように、さっさと隠してしまったので。
『試供品』をためしたミケの話に、商売根性丸出しで、かぶりついたりして。
ソナが、今日は私も早く退散するね、がんばれー、あ、色っぽい下着の在庫、各国のやつがあるよ?なんて、余計な世話を焼いて。
その中に、ずももーん、ずももーん、とこれが黒でなくて、何が黒なの?と聞きたくなるほどのよどんだオーラを出してパチドが帰宅してくれば、ソナとしては非常に理由が気になる。
ソナがミケの方を見ると、ミケの顔が、心配!というタイトルのオブジェになっているし。
うーん、今日のイチャイチャは、延期だな、きっと。
ソナは、ミケに見せに来た花酒の新商品を、惜しげもなくパチドについてやりながら言った。
「私は、あと3分でかえりますが、もし、そのままミケにぶつけるとまずいネタがあれば先にどうぞ。ワンクッションになりますよ?」
☆
パチドはソナを3分で帰さず、自分がミケに手を出さないよう、潰れるまでいてくれと頼みこんで、立て続けに酒を煽りながら、パチドとフロラインの過去を話した。
あー。繊細な男よねぇ。
ソナは、ルードの過去のダメージと、徹夜と、花酒で、半潰れになったパチドを見ながらそう思う。
シェドはルードじゃないし、ミケはフロラインじゃないのだから、その二人のことは二人で消化してもらうしかないと思うけどなぁ。
確かに、流産とか悲痛だし、せっかく自分のところに来てくれた命を守れなかったら多分私でも一生傷になるよ。でもさ、どんなに悲惨なことでも、起こってしまう時は起こってしまうのだ。
常連さんの子どもを身ごもったソナの友達なんて、種まいた男にバラバラ死体にされた。
彼女はその男になんの要求もする気もなかった。子どもと生きたかった彼女は、確執のあった田舎の両親に土下座して和解して、その両親が子育て準備をして首を長くして待っていてくれたのに。彼女は、子どもごとその男に微入り細入りに殺された。
男が彼女を殺した理由は、自分の家族にバレたくなかったのか、後の弱みになると思ったのか、世間から何か言われると思ったのか、よくわからないけれど。
金持ちだったその男は、なんの処罰も受けなかったし、墓の前でなぜか自分を可哀想がって泣いていたよ。
女やっていれば、どんなに腹が立とうが、受け入れがたかろうが、種まいた男が敵になるなんていうのは、ゼロにならないリスクだ。
どれだけひどいことが起きたからって、どれだけ悲しんだり苦しんだりしたからって、勝手に代償が降ってくるわけじゃない。
最後に押し付けられた奴が、抱えて死ぬのだ。
ミケはそれが我慢できず、公妾になった。苦しい想いをしようが、自分がアレを抱えて死ぬよりは随分とマシだった、と彼女は言うし、ソナもその気持ちはとてもよくわかる。
ただ、ガツンと復讐対象が見えていればこの上なく強いミケも、半端な悪意の集合体にはヘロヘロだ。例えばミケが冥界的と表現する両親。例えばムーガル王とグリーンが演出する軍の虚飾。
フロラインも、復讐対象が見えていない。彼女にとってのクラムルは、人というより冥界の亀裂そのものだし、ルードの行動を歪めたのは彼が守ろうとした民衆だし、子が流れたのは自分が弱かったせいだと思っているし。
冥界の亀裂と魔素、ねぇ。
あるべきものがあるだけだから、恨んでも仕方がないというのが、ミケや、フロラインや、ルードの考え方なのだろうけれど。
そうなのかなぁ。
たしかに、無差別に世の中恨み散らかすとか、みっともないとは思うけれど、ソナから見ると、そこまで無差別な話ではなくないか?と思う。
彼女らに向けられる悪意の対象が、生殖機能の破壊、っていうのかな、こいつらに子どもは産ませねぇ、的なところに集約している気がするのだ。
それって本当に、あるべきものがあるだけ、っていう状態が生み出すものなのだろうか。
かなり俗物な自覚があるソナは、うそだぁ、と思う。
オーデとマー君の酒盛り・・じゃないな、ワックス盛りの〆は、いつも懐かしそう。
『大好きな3人組、素敵な3人組。彼らが今度こそ幸せになれますように』
んー、昔のこと知っていそうよね、聞いてみようかな。
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