手負いですが恋愛してみせます ~ 痛がり2 ~

白い靴下の猫

文字の大きさ
22 / 67

22 妹?!

しおりを挟む
記憶が戻ってたった一週間、あかりはクリスタのメンバーを集めた。

「相談がありまーす、敦子社長の許可はとってるので聞いてくださーい」
あかりが屋敷のキッチンに集めたのは、サシャと、メイと、ますみと、さとる、それから、ノーキンとマッドさん。

一応、世界に名だたる企業のクリスタの中心メンバーなわけだが、いまだにゴージャスな会議室を持つこともなく、あかりが出してやったお茶は出がらしだ。

「私、畑里あかりは、愛しのシューバ再奪還にあたり、クルラをここのメンバー、要はクリスタの取締役に迎えることを提案します」

しーん。
再『奪還』するの?
記憶もどってすぐなのに?
本人が、いろいろあがいているのは認めるが、未だに嫁候補ぶっちぎり1位のキュニ人のクルラは敵属性では?
3年前の拉致もクルラは、あかりをはめる側にいたんじゃないのか?

マッド以外の全員がかたまる。
さとるに至っては口から魂が出そうな顔だが、あかり慣れが一番なだけあって、流石に立ち直りは早い。

「ずいぶん、公私まぜっかえした提案じゃねーか、畑里。何の名分があって、レノのスパイをうちに入れる?」
「うーん、やっぱりクルラはレノのスパイのまま?シューバってば3年かけてもクルラを手懐けられなかった感じ?そもそもクルラって能力的にはどうなの?」

「知らないで言ったのかよ」
さとるが天を仰ぐ。
いやいや、今の話だとお前が彼女を欲しがっている訳だよな?
自然とゼルダでの仕事量がいちばん多いサシャに、皆の視線が向かう。

「クルラさん、は、シューバ様には非常によく恭順しています。レノのところで一応の教育は受けていたようで、シューバ様の秘書の仕事もそつなくこなしています。頭はいいと思いますが、服従慣れしすぎているというか、クリスタのカラーとは若干相いれないかと」

そりゃ、そうだ。
クリスタのメンバーは、そもそも他人に言うことを聞かそうという気も自分が聞こうと言う気も極めて薄い。先進国の中でも相当際を走ったカラーなのに、ホゴラシュで合うやつなどピンクダイヤなみに珍しかろう。

「そう、なんだ。例えばレノが、クルラにシューバを殺せって命じたら、命令きいちやいそう?」
サシャが答えに詰まり、メイが助け舟を出す。

「・・・今ですか?それとも、あかりさんがシューバ様を奪還した後?」
「んー、場合分けでお願いします」
「シューバ様が両手握って誘導できる状況なら、シューバ様のいいなりにできるかと。シューバ様が手を離した後に殺せと言われたら、自分の方を殺して終わりにするかな。ただ、それは命令が直接的にシューバ様を害するものだからで、他は別ですね。今もレノの支配下から出てはいないとおもいます」

「なるほどねー。わかりやすい解説ありがとう、メイ。マッドさん資料いい?」
そう水を向けると、マッドがサクサクと紙を二枚づつ、三セット、ダイニングテーブルに広げて置いた。

「DNA型父子鑑定書?」
サーファ・デジュは、クルラの生物学上の父と断定できる   99.9999%
サーファ・カウルは、クルラの生物学上の父と断定できる   99.9999%

ぶーっ
さとるが口から思い切り茶を吹き出し、メイが下の書類をさっとどける。

「な、な、な、な」
「いもうとー?!」
この段階で、すでに嬉しそうなますみは偉いと思う。

「あー、マッドさんの証言では、デジュの子のらしいから、本当は従妹ね。でも、レノはカウルの子で押してくると思うし、噂上もカウルの子扱いだから暫定妹で」
あかりが補足すると、マッドはむすっとして言った。
「まったく、ますみさんより半年年下なだけなのに、即時に妹認定とは、カウルが泣きますよ」
あ、そうか、あっさり不倫認定してしまった。
悪いな、父よ。そんな感じで、ますみもさとるも、さらっと流してしまう。
「そんなことはどうでもいい!なんだってそんなことになった?!ってか、いつから知っていた?」

さとるがマッドに詰め寄る。
「私が、カウルに頼まれてクルラを探していたのを知ったあかりさんが、3年前に相談してくれて知りました」

さとるがくるっと首を後ろにひねる。
「は、た、さ、とおお」
「え?何?あんたの親戚だからってシューバはあげないわよ?ちゃんと彼女には、欲しかったら私が戻る前に落としとけって宣戦布告してあったからね。ズルじゃないわよ?」

「そこじゃねー!」
いや、宣戦布告したのかよ!

暫定妹、こいつと戦ったらだめだぞ。木っ端みじんのミンチになっちゃうからな。
そんなことは、お兄ちゃんがゆるさん!

その後は、合意までほんの数分。

あかりの説明は明快だった。

私がシューバを分捕った場合、キュニにとってのクルラの価値は下がるでしょ。
腹いせに好き勝手に切り刻む奴が出るだろうし、飼い主も彼女を生かし続けるのに手間暇かけなくなる。

でも、クルラを人質に取られたら、分が悪いのは断然こっち。

クルラを可愛がったのは、実父のデジュじゃなくてカウルさんよ。そうしたらもう、4割従妹で6割妹じゃない。あんたら妹人質されたらキレるでしょ。

マッドさんに至っては、若かりし頃に守れなかった、初恋とか、親友との約束とか、手を離してしまった庇護対象とか、もう、後悔モチーフの地雷原だし。

私にとっても、シューバと同じ地獄を生き延びてくれた子よ。あの子が笑ってくれるようになれば、シューバが変態実父の顔面の幻影踏んづけるのも楽になるってのに、みすみす逃がすわけにはいかないって。

そんでもあの子が欲しい、ってだけで、あの子にぶら下がっているヒモ野郎ども切りまくったら、クルラが私たちにとってどんな存在かバレるから、オフィシャルな名分で行くしかないわよね。

そういうことだから、隠れた弱点が、大っぴらな弱点になる前に、うちの取締役に入れて、さっさと保護するわよ!
反対は?!

・・・
一呼吸おいてから、さとるの声が響く。

「いる訳ねーだろ!相談の意味調べ直せ、このブラックホール!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺

NOV
恋愛
俺の名前は『五十鈴 隆』 四十九歳の独身だ。 俺は最近、リストラにあい、それが理由で新たな職も探すことなく引きこもり生活が続いていた。 そんなある日、家に客が来る。 その客は喪服を着ている女性で俺の小・中学校時代の大先輩の鎌田志保さんだった。 志保さんは若い頃、幼稚園の先生をしていたんだが…… その志保さんは今から『幼稚園の先生時代』の先輩だった人の『告別式』に行くということだった。 しかし告別式に行く前にその亡くなった先輩がもしかすると俺の知っている先生かもしれないと思い俺に確認しに来たそうだ。 でも亡くなった先生の名前は『山本香織』……俺は名前を聞いても覚えていなかった。 しかし志保さんが帰り際に先輩の旧姓を言った途端、俺の身体に衝撃が走る。 旧姓「常谷香織」…… 常谷……つ、つ、つねちゃん!! あの『つねちゃん』が…… 亡くなった先輩、その人こそ俺が大好きだった人、一番お世話になった人、『常谷香織』先生だったのだ。 その時から俺の頭のでは『つねちゃん』との思い出が次から次へと甦ってくる。 そして俺は気付いたんだ。『つねちゃん』は俺の初恋の人なんだと…… それに気付くと同時に俺は卒園してから一度も『つねちゃん』に会っていなかったことを後悔する。 何で俺はあれだけ好きだった『つねちゃん』に会わなかったんだ!? もし会っていたら……ずっと付き合いが続いていたら……俺がもっと大事にしていれば……俺が『つねちゃん』と結婚していたら……俺が『つねちゃん』を幸せにしてあげたかった…… あくる日、最近、頻繁に起こる頭痛に悩まされていた俺に今までで一番の激痛が起こった!! あまりの激痛に布団に潜り込み目を閉じていたが少しずつ痛みが和らいできたので俺はゆっくり目を開けたのだが…… 目を開けた瞬間、どこか懐かしい光景が目の前に現れる。 何で部屋にいるはずの俺が駅のプラットホームにいるんだ!? 母さんが俺よりも身長が高いうえに若く見えるぞ。 俺の手ってこんなにも小さかったか? そ、それに……な、なぜ俺の目の前に……あ、あの、つねちゃんがいるんだ!? これは夢なのか? それとも……

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

処理中です...