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39 トカゲの好きな花
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結局、閃光弾をぶち込んで戦闘に突入し、朝まで帰れなかった事件の主犯はメイだった。
出会いがしらの事故で。
レノの砦に入ったクリスタのコアメンバーを脱出させるだけの任務だったはずなのに。
メイは、あまりに鮮明に覚えている、優さんを殺した勢力に行きあたった。
我慢できずにメイが彼らを深追いし、雁さんは技術畑のメンバーを逃がしたあと、作戦行動をあっさり曲げてメイを援護した。
メイはそれがとてもありがたかった。
とてもとても遠くまで来たけれど、優さんの敵討ち、その悲願があったから、メイはメイになったのだと思う。
夜はとっくに明けて。
半壊した建物と、なぎ倒された塀の向こう側。
丘と崖の中間ぐらいの段差があって、下を見下ろすと、トカゲ取りに便利な草花がたくさん生えているのが見えた。
雁さんが珍しく茫然とした顔をして、それを眺めているから。
メイはゆっくりと近づいてみた。
ああ、そういえばここは、メイが生き埋めにされた祠のそばだったな、と。キュニ人に放り込まれて、連れ戻されるまで数ケ月を暮らした村の近く。
村人は幼かったメイが教えたトカゲ取りようの草花の知識をものすごく喜んでくれた。多分、わざわざ種を取って増やしたのだと思う。
市場に出荷しているのも、きっとあの村だ。
メイは、雁さんがあんな野草を買ってくるのがうれしくも不思議だった。可愛い花ではあるが、雑草感が半端なく、飾るための花ではなかったから。
「雁さん。ひょっとして、あの花何に使うか、とか、あの花に詳しかった人、とか、知っています?」
メイは、雁の隣に立って、静かに聞いてみる。
この花は、メイの母が、メイの父に教わって、使い始めたのだ。だから、この花を特別に思っている人は、みんなメイのゆかりの人、と思うようになった。
それに、遠い昔、キュニ人に放り込まれたあの村で、メイは人生で初めて出来た友達と約束したのだ。この花を見るたびにお互いを思い出すと。
「ああ。友達が、詳しかった。むつかしい時期にホゴラシュの女性に惚れてしまってな、トカゲをとって点数を稼ぐんだっていって、よく探すのを手伝わされた。」
もう、会えない人を語るしゃべり方だった。
それから、多分、メイに問いかけるような、しゃべり方。
「そう、でしたか。昔は見つけるのが難しい草だったでしょう?私は母に、母は父に、あの草の使い方を聞きました。ホゴラシュであれを使いこなせたのは長いこと、母だけでした」
雁が息を詰めるのが分かる。
「メイは、リラという女性の、娘か?父親を知らずに、育ったか?」
メイは、父を知っている人に、会える日が来るとは思っていなかった。
驚いたと言うより、思ったよりもゆかりが深かったな、と、当たりを引いた気分で。
「多分、はい、かと。母、本当はリルラっていう名前なのですけど、リラって、お嬢さんってイメージで使われるから、リラって呼ばれるとすごく喜ぶ人で。その方は、亡くなられたのですか?」
そう答えると、雁はメイを抱きしめてくれた。
「ああ。リラ、さん?にどうしても会いたかったらしくて、封鎖された地区に侵入して撃たれた。いいやつだったし頭も良かったんだが、その、ちょっとどんくさくて。許してやってくれ」
そっかぁ、雁さんの友達、だったのかぁ。
えへえへ。
しかも、思い出の花見つけるたびに買ってきてもらえるような『いいやつ』だったのかぁ。
母さんの一番の男性自慢を聞いていなかった訳じゃないけど、3歳の頃の記憶はあいまいだったし、正直、大人になってからは売買春関係かと思っていた。ごめんね。
「教えてくれて、ありがとうございます。雁さんに会えたのも、すごく、うれしいです」
雁は、メイの顔を見る。
メイの表情はふんわりとあたたかく。できたての綿菓子のようだ。
「・・・お前は、すごい子だな。こんなに強くなる程苦労して、なのにそんな幸せそうな顔ができる」
夜通しの作戦行動で動き回ってクマ作っても。戦闘あけであちこち細かい傷ができていても。
自分のトラウマだけでももみくちゃだろうに、大切なものがふえることに怯えず、守りきる。
「に、にやけています?」
雁の言葉に、メイは自分の顔を触ってみる。
「そうだな。あー、そいつの両親はまだ健在で。教えてやったら多分、祖父母鑑定させろと飛んでくるぞ」
「恨まれて、ません?」
「リラがか?ないな。そういう人たちじゃ、ないよ。ただ、今来られると、ちょっと物理的に俺らがキツいから、ここら辺に銃弾とか飛び交わなくなったら呼んでやろうな」
「はい。たのしみ、です」
そういって、メイは朝日のなかで、全開で笑った。
雁は、メイの全開の笑顔を見たのは、はじめてで。
しょっちゅう全開で笑っていた友人の笑顔とかぶって驚く。
そっくり、だなぁ。遺伝子鑑定、するまでもないなぁ。
そんな顔見せてくれていたら、すぐに気づいたのに。
出会いがしらの事故で。
レノの砦に入ったクリスタのコアメンバーを脱出させるだけの任務だったはずなのに。
メイは、あまりに鮮明に覚えている、優さんを殺した勢力に行きあたった。
我慢できずにメイが彼らを深追いし、雁さんは技術畑のメンバーを逃がしたあと、作戦行動をあっさり曲げてメイを援護した。
メイはそれがとてもありがたかった。
とてもとても遠くまで来たけれど、優さんの敵討ち、その悲願があったから、メイはメイになったのだと思う。
夜はとっくに明けて。
半壊した建物と、なぎ倒された塀の向こう側。
丘と崖の中間ぐらいの段差があって、下を見下ろすと、トカゲ取りに便利な草花がたくさん生えているのが見えた。
雁さんが珍しく茫然とした顔をして、それを眺めているから。
メイはゆっくりと近づいてみた。
ああ、そういえばここは、メイが生き埋めにされた祠のそばだったな、と。キュニ人に放り込まれて、連れ戻されるまで数ケ月を暮らした村の近く。
村人は幼かったメイが教えたトカゲ取りようの草花の知識をものすごく喜んでくれた。多分、わざわざ種を取って増やしたのだと思う。
市場に出荷しているのも、きっとあの村だ。
メイは、雁さんがあんな野草を買ってくるのがうれしくも不思議だった。可愛い花ではあるが、雑草感が半端なく、飾るための花ではなかったから。
「雁さん。ひょっとして、あの花何に使うか、とか、あの花に詳しかった人、とか、知っています?」
メイは、雁の隣に立って、静かに聞いてみる。
この花は、メイの母が、メイの父に教わって、使い始めたのだ。だから、この花を特別に思っている人は、みんなメイのゆかりの人、と思うようになった。
それに、遠い昔、キュニ人に放り込まれたあの村で、メイは人生で初めて出来た友達と約束したのだ。この花を見るたびにお互いを思い出すと。
「ああ。友達が、詳しかった。むつかしい時期にホゴラシュの女性に惚れてしまってな、トカゲをとって点数を稼ぐんだっていって、よく探すのを手伝わされた。」
もう、会えない人を語るしゃべり方だった。
それから、多分、メイに問いかけるような、しゃべり方。
「そう、でしたか。昔は見つけるのが難しい草だったでしょう?私は母に、母は父に、あの草の使い方を聞きました。ホゴラシュであれを使いこなせたのは長いこと、母だけでした」
雁が息を詰めるのが分かる。
「メイは、リラという女性の、娘か?父親を知らずに、育ったか?」
メイは、父を知っている人に、会える日が来るとは思っていなかった。
驚いたと言うより、思ったよりもゆかりが深かったな、と、当たりを引いた気分で。
「多分、はい、かと。母、本当はリルラっていう名前なのですけど、リラって、お嬢さんってイメージで使われるから、リラって呼ばれるとすごく喜ぶ人で。その方は、亡くなられたのですか?」
そう答えると、雁はメイを抱きしめてくれた。
「ああ。リラ、さん?にどうしても会いたかったらしくて、封鎖された地区に侵入して撃たれた。いいやつだったし頭も良かったんだが、その、ちょっとどんくさくて。許してやってくれ」
そっかぁ、雁さんの友達、だったのかぁ。
えへえへ。
しかも、思い出の花見つけるたびに買ってきてもらえるような『いいやつ』だったのかぁ。
母さんの一番の男性自慢を聞いていなかった訳じゃないけど、3歳の頃の記憶はあいまいだったし、正直、大人になってからは売買春関係かと思っていた。ごめんね。
「教えてくれて、ありがとうございます。雁さんに会えたのも、すごく、うれしいです」
雁は、メイの顔を見る。
メイの表情はふんわりとあたたかく。できたての綿菓子のようだ。
「・・・お前は、すごい子だな。こんなに強くなる程苦労して、なのにそんな幸せそうな顔ができる」
夜通しの作戦行動で動き回ってクマ作っても。戦闘あけであちこち細かい傷ができていても。
自分のトラウマだけでももみくちゃだろうに、大切なものがふえることに怯えず、守りきる。
「に、にやけています?」
雁の言葉に、メイは自分の顔を触ってみる。
「そうだな。あー、そいつの両親はまだ健在で。教えてやったら多分、祖父母鑑定させろと飛んでくるぞ」
「恨まれて、ません?」
「リラがか?ないな。そういう人たちじゃ、ないよ。ただ、今来られると、ちょっと物理的に俺らがキツいから、ここら辺に銃弾とか飛び交わなくなったら呼んでやろうな」
「はい。たのしみ、です」
そういって、メイは朝日のなかで、全開で笑った。
雁は、メイの全開の笑顔を見たのは、はじめてで。
しょっちゅう全開で笑っていた友人の笑顔とかぶって驚く。
そっくり、だなぁ。遺伝子鑑定、するまでもないなぁ。
そんな顔見せてくれていたら、すぐに気づいたのに。
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