海月のこな

白い靴下の猫

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乙女な背中

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「げぇ」
天幕の中でアルトの背を見て、ルウイが声を上げる。
「あんたこれ、自分で見えてなくて幸いだわ。体みられるの恥ずかしいとか乙女発言する奴にはショックでかい」
「ゆってねーよ!」
肩口は肉芽がはぜたように内側から破れ、背中一面どす黒く変色している。
「どうしますか」
ミセルがルウイを振り返る。
「どうって、切って、異物出して、壊死したとこどけて、錯体埋めて、縫う。」
「そう言う意味ではなくて。時間も労力もかかります。短時間に隠れて処理するのは無理です」
「城にいらしてください」
リュートがすがるが、ミセルは首を振る。
「お抱えの決まっている王室用の医師団から公に信頼を得るのは難しいかと」
「ですが、展望をお持ちなのはお二方だけです!どうか、どうか・・」
この傷を、リュートは、おそらく一人で見続けてきたのだ。
背負いきれない重荷の前に涙を流す様は痛ましかった。
「泣かしてるわよ、女たらし」
ルウイがつつく。
「俺のせいかよっ」
「他にいる?だいたい、この怪我やあのぬめぬめ、どんだけの人が知ってんのよ。ひょっとして、彼女一人に背負わせいてたんじゃないでしょうね」
「ぬめぬめって・・・説明しにくいんだよ」
「寡黙な男なんざ無価値!」
「おちょくってるか?だいたい何でお前は聞こえるんだよ。ペテンまじない師か」
ほお。そんな感じで、ルウイの顔が明るくなる。
「あー、その手もあるかぁ」
「はぁ?」
アルトをほっぽらかして、ルウイがリュートに向き直る。
「私たち、レグラム城下に先行って、『先師』って名前で、カリスマ占い師をしていますから、城に招いてくれません?」
「はい!」
頷くリュート。
「・・・心底怪しいな、ペテン占い師」
「手間かけさせると、たたるわよ。これ、薬。つらくなったら一包ずつのみな」
「知らねーやつに渡された薬のむほど、命知らずじゃねーよ」
「現にいまぬめぬめとまっているでしょ。証拠重視しなさいよ」
・・・ぐ。
アルトが口ごもるのを確認して、ルウイは天幕からでていった。
いまからレグラム城下まで飛ばせば、軍備を撤収してけが人を手当てしてから動くアルト達とは4~5日の差がつくだろう。
評判がばらまかれるには十分な時間だ。
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