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第3章 ~よう
ナイ
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――sideニント(?)
私はただの警察というわけではなかった。実を言うとグルバン様から大事なリン様をお守りするように言いつけられた執事みたいなものだった。命よりも優先すべき仕事であったにも拘らず、危険な目に合わせてしまった。再会しても、気高さは変わらずそこにあった。メハを想って涙すら流していた。リン様には申し訳ないが、神々しさと人間らしい温かみの極致に思えた。
事態は急変した。
アピスの大量発生。リンの仲間と接触するも、アピスの配信は世界を震撼させたと言っても過言ではないほどの力があった。リン様の目覚めで、沈静化に成功したかと思うと、どうやら爆弾を散布され、その対応に苦しんでいた。
<こうして警察に潜入したり、手を尽くしたつもりでも…>
目の前のリン様を手助けする術は持ち合わせていなかった。口を出すべきではないと直感した。騒ぎ立てるモブなんかリン様の雑音になるだけで、メリットになり得ないからだ。だから…唇をわななかせることしか…、と思っていた。
「ここは任せてくれ!!」
「グルバン…さま」
一瞬だった。聞き間違えることはない。グルバン様のお声だった。抵抗する暇もなく、入れ替わるように別の空間に飛ばされる。輪っかのようなナニカを潜った頃には、静かな山頂だった。空気の薄さこそ気にならなかったが、環境の一変、唐突の静けさ、非日常的風景に頭の処理は置いて行かれる。現実味がじわじわ増していく。
<…言えなかった……>
目まぐるしい変化で薄れてしまったが、グルバン様への弔いや謝罪が一切できていないことを忘れたわけじゃない。仕方なくもあったが、このまま言えずにお別れだとしたら…と思い巡らせる。リン様に言伝を頼むだけでも、違うのかもと…
「ねぇ、お父さんなら…そこに」
「…え…?」
「…ゴホン」
聞き覚えのある咳払いだ。ハッキリとは見えないが雰囲気を、息遣いを感じ取る。即座に土下座の体勢に入る。
「申し訳ございませんでした!!」
もはや下手な言い訳など不要。主人との約束を果たせなかったのだ…。首を切られても仕方がない。最大限の謝罪で幾分かの気晴らしにでもなれば…と思っていた。
「君はいつもよく、やってくれたよ」
怒りを通り越してか感情をあまり感じられない声色だ。
「……」
「これまで、ありがとう」
褒められた……??
「ナ、なぜお褒めになるのです!!」
理解不能。怒られることは想定していたが、全くの予想外。感情が高ぶるあまり、つい頭を上げてしまう。グルバン様からの温かみのある言葉が続く。
「ルピカ。わしの代わりに、リンを任せっきりになっていたな…。誠心誠意、下心なく尽くしてくれたことは知っておる…。」
「グルバン様…」
「じゃが、自身の過失によりリンを危険な目に合わせたことは、有罪に値する」
「はいぃ…!!」
再び土下座の姿勢に戻る…。が、涙腺が緩くなってしまう。褒められることを褒められ、𠮟るべきところにはきちんと釘を刺してくれた。
「グルバン様と…リン様に……お仕え出来て本当に良かったです」
「その罪悪感とかはやる気にしたらいいから」
「そうじゃな」
「は…はい…?!」
非常に喜ばしい。それは本当だ。少し、脳裏によぎるのは《これまで、ありがとう》と言われたことだ。ネガティブ思考に突入する前に、覚えのある存在感。ケイト様だ。
「…お疲れ」
〔…っ!早かったな…〕
ケイト様の帰還。アピスを撃退したと察せられるが…、どのようになったかは本人の口からしか分かり得ない――
私はただの警察というわけではなかった。実を言うとグルバン様から大事なリン様をお守りするように言いつけられた執事みたいなものだった。命よりも優先すべき仕事であったにも拘らず、危険な目に合わせてしまった。再会しても、気高さは変わらずそこにあった。メハを想って涙すら流していた。リン様には申し訳ないが、神々しさと人間らしい温かみの極致に思えた。
事態は急変した。
アピスの大量発生。リンの仲間と接触するも、アピスの配信は世界を震撼させたと言っても過言ではないほどの力があった。リン様の目覚めで、沈静化に成功したかと思うと、どうやら爆弾を散布され、その対応に苦しんでいた。
<こうして警察に潜入したり、手を尽くしたつもりでも…>
目の前のリン様を手助けする術は持ち合わせていなかった。口を出すべきではないと直感した。騒ぎ立てるモブなんかリン様の雑音になるだけで、メリットになり得ないからだ。だから…唇をわななかせることしか…、と思っていた。
「ここは任せてくれ!!」
「グルバン…さま」
一瞬だった。聞き間違えることはない。グルバン様のお声だった。抵抗する暇もなく、入れ替わるように別の空間に飛ばされる。輪っかのようなナニカを潜った頃には、静かな山頂だった。空気の薄さこそ気にならなかったが、環境の一変、唐突の静けさ、非日常的風景に頭の処理は置いて行かれる。現実味がじわじわ増していく。
<…言えなかった……>
目まぐるしい変化で薄れてしまったが、グルバン様への弔いや謝罪が一切できていないことを忘れたわけじゃない。仕方なくもあったが、このまま言えずにお別れだとしたら…と思い巡らせる。リン様に言伝を頼むだけでも、違うのかもと…
「ねぇ、お父さんなら…そこに」
「…え…?」
「…ゴホン」
聞き覚えのある咳払いだ。ハッキリとは見えないが雰囲気を、息遣いを感じ取る。即座に土下座の体勢に入る。
「申し訳ございませんでした!!」
もはや下手な言い訳など不要。主人との約束を果たせなかったのだ…。首を切られても仕方がない。最大限の謝罪で幾分かの気晴らしにでもなれば…と思っていた。
「君はいつもよく、やってくれたよ」
怒りを通り越してか感情をあまり感じられない声色だ。
「……」
「これまで、ありがとう」
褒められた……??
「ナ、なぜお褒めになるのです!!」
理解不能。怒られることは想定していたが、全くの予想外。感情が高ぶるあまり、つい頭を上げてしまう。グルバン様からの温かみのある言葉が続く。
「ルピカ。わしの代わりに、リンを任せっきりになっていたな…。誠心誠意、下心なく尽くしてくれたことは知っておる…。」
「グルバン様…」
「じゃが、自身の過失によりリンを危険な目に合わせたことは、有罪に値する」
「はいぃ…!!」
再び土下座の姿勢に戻る…。が、涙腺が緩くなってしまう。褒められることを褒められ、𠮟るべきところにはきちんと釘を刺してくれた。
「グルバン様と…リン様に……お仕え出来て本当に良かったです」
「その罪悪感とかはやる気にしたらいいから」
「そうじゃな」
「は…はい…?!」
非常に喜ばしい。それは本当だ。少し、脳裏によぎるのは《これまで、ありがとう》と言われたことだ。ネガティブ思考に突入する前に、覚えのある存在感。ケイト様だ。
「…お疲れ」
〔…っ!早かったな…〕
ケイト様の帰還。アピスを撃退したと察せられるが…、どのようになったかは本人の口からしか分かり得ない――
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この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
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