解放

かひけつ

文字の大きさ
30 / 136
第3章 ~よう

確かめ④

しおりを挟む
《sideメハ
リンの言葉にショックを受けた。

 「…えっと…[巫女]の死亡退場時の効果が嫌なの?」

 「うん」

リンは小さく頷く。まさか否定されるなんて思わなかったからだ。

 「ど、どうしてか聞いてもいい?」

折角カードゲームを機に仲良くなってきたと思ったのに…と思う反面、このまま意見の食い違いを放置したら似たようなミスを犯す。原因を知りたかった。もっと、リンを知りたかった。その一心だった。

 「…[巫女]は…兵器じゃない」

 「……」

言葉を失った。登場条件を厳しくして一発逆転の兵を作ろうとしていた。そのため、私の[巫女]は和解したら仲良く食糧問題などのゲーム性を変える。が、和解できなかったら即戦争。言わば脅しである。

 <リンの解釈は違う>

[巫女]は和解を拒否られたら仕方なく戦う。そんな、ただの一般人だ。

 「分かった。じゃあ、pig退場効果を弱くして、[老騎士]守る役とか作ろうかな?」

 「うん」

さほど表情を変えずにリンは快諾する。リンの解釈が、世界の見え方が見えた気がした。そんなことを想いながら、作業台に着いてカードを編集する。

 <リンにとって神は神、人は人なのだろう。リンは神という存在を否定していない。まー霊が見えてるって言ってたわけだし、神も信じられるのかな>

 「ごめん」

 「へ?」

突然の謝罪に驚きながら振り返る。

 「逆転キャラ目的、邪魔した」

 「ふふ。いいのいいの。リンが楽しめないと意味ないからさ」

私はリンに笑顔を見せて正面に向き直る。

 「ぁ……」

なにか、聞こえた気がして振り返る。

 「なにか言った?」

 「なにも」

 <言ってないか…>

あったばかりでなんとも言えない空気があったけど、あれはあれでいい思い出だった》



後になって心が読めたり、私を上回る頭脳、異様な身体能力。それらが分かると同時に、優しくて、意外とノリが良くて、達観してると知る。リンとの出会いから今までの思い出は、ずっと保存し憶えている。

 「対象、送られたチリツモ」

[戦場での慈愛]。その効果は場にいる兵のデバフを消す。それだけの効果ではあるのだが……。

 <これまた予想外だった。[子ドラゴン]の拘束を解くとばかり思っていた。[子ドラゴン]を注目させないためだろうか?>
 
あえて、[子ドラゴン]を狙うことにした。

 「魔法[記憶喪失]で子ドラを」

自分の、そしてが脳内で駆け巡る。

 「ん?」

 「?」

言ってしまったものだから引くわけにもいかず、そのまま押し通す。

 「なんでもないよ。ターンエンド」

 「そう」

リンは一見どうでもよさそうに呟く。やめる気はないようで安堵する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

処理中です...