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第3章 ~よう
確かめ④
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《sideメハ
リンの言葉にショックを受けた。
「…えっと…[巫女]の死亡時の効果が嫌なの?」
「うん」
リンは小さく頷く。まさか否定されるなんて思わなかったからだ。
「ど、どうしてか聞いてもいい?」
折角カードゲームを機に仲良くなってきたと思ったのに…と思う反面、このまま意見の食い違いを放置したら似たようなミスを犯す。原因を知りたかった。もっと、リンを知りたかった。その一心だった。
「…[巫女]は…兵器じゃない」
「……」
言葉を失った。登場条件を厳しくして一発逆転の兵を作ろうとしていた。そのため、私の[巫女]は和解したら仲良く食糧問題などのゲーム性を変える。が、和解できなかったら即戦争。言わば脅しである。
<リンの解釈は違う>
[巫女]は和解を拒否られたら仕方なく戦う。そんな、ただの一般人だ。
「分かった。じゃあ、pig効果を弱くして、[老騎士]とか作ろうかな?」
「うん」
さほど表情を変えずにリンは快諾する。リンの解釈が、世界の見え方が見えた気がした。そんなことを想いながら、作業台に着いてカードを編集する。
<リンにとって神は神、人は人なのだろう。リンは神という存在を否定していない。まー霊が見えてるって言ってたわけだし、神も信じられるのかな>
「ごめん」
「へ?」
突然の謝罪に驚きながら振り返る。
「逆転キャラ、邪魔した」
「ふふ。いいのいいの。リンが楽しめないと意味ないからさ」
私はリンに笑顔を見せて正面に向き直る。
「ぁ……」
なにか、聞こえた気がして振り返る。
「なにか言った?」
「なにも」
<言ってないか…>
あったばかりでなんとも言えない空気があったけど、あれはあれでいい思い出だった》
後になって心が読めたり、私を上回る頭脳、異様な身体能力。それらが分かると同時に、優しくて、意外とノリが良くて、達観してると知る。リンとの出会いから今までの思い出は、ずっと保存している。
「対象、送られたチリツモ」
[戦場での慈愛]。その効果は場にいる兵のデバフを消す。それだけの効果ではあるのだが……。
<これまた予想外だった。[子ドラゴン]の拘束を解くとばかり思っていた。[子ドラゴン]を注目させないためだろうか?>
あえて、[子ドラゴン]を狙うことにした。
「魔法[記憶喪失]で子ドラを」
自分の、そしてリンの現状が脳内で駆け巡る。
「ん?」
「?」
言ってしまったものだから引くわけにもいかず、そのまま押し通す。
「なんでもないよ。ターンエンド」
「そう」
リンは一見どうでもよさそうに呟く。やめる気はないようで安堵する。
リンの言葉にショックを受けた。
「…えっと…[巫女]の死亡時の効果が嫌なの?」
「うん」
リンは小さく頷く。まさか否定されるなんて思わなかったからだ。
「ど、どうしてか聞いてもいい?」
折角カードゲームを機に仲良くなってきたと思ったのに…と思う反面、このまま意見の食い違いを放置したら似たようなミスを犯す。原因を知りたかった。もっと、リンを知りたかった。その一心だった。
「…[巫女]は…兵器じゃない」
「……」
言葉を失った。登場条件を厳しくして一発逆転の兵を作ろうとしていた。そのため、私の[巫女]は和解したら仲良く食糧問題などのゲーム性を変える。が、和解できなかったら即戦争。言わば脅しである。
<リンの解釈は違う>
[巫女]は和解を拒否られたら仕方なく戦う。そんな、ただの一般人だ。
「分かった。じゃあ、pig効果を弱くして、[老騎士]とか作ろうかな?」
「うん」
さほど表情を変えずにリンは快諾する。リンの解釈が、世界の見え方が見えた気がした。そんなことを想いながら、作業台に着いてカードを編集する。
<リンにとって神は神、人は人なのだろう。リンは神という存在を否定していない。まー霊が見えてるって言ってたわけだし、神も信じられるのかな>
「ごめん」
「へ?」
突然の謝罪に驚きながら振り返る。
「逆転キャラ、邪魔した」
「ふふ。いいのいいの。リンが楽しめないと意味ないからさ」
私はリンに笑顔を見せて正面に向き直る。
「ぁ……」
なにか、聞こえた気がして振り返る。
「なにか言った?」
「なにも」
<言ってないか…>
あったばかりでなんとも言えない空気があったけど、あれはあれでいい思い出だった》
後になって心が読めたり、私を上回る頭脳、異様な身体能力。それらが分かると同時に、優しくて、意外とノリが良くて、達観してると知る。リンとの出会いから今までの思い出は、ずっと保存している。
「対象、送られたチリツモ」
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<これまた予想外だった。[子ドラゴン]の拘束を解くとばかり思っていた。[子ドラゴン]を注目させないためだろうか?>
あえて、[子ドラゴン]を狙うことにした。
「魔法[記憶喪失]で子ドラを」
自分の、そしてリンの現状が脳内で駆け巡る。
「ん?」
「?」
言ってしまったものだから引くわけにもいかず、そのまま押し通す。
「なんでもないよ。ターンエンド」
「そう」
リンは一見どうでもよさそうに呟く。やめる気はないようで安堵する。
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