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第3章 ~よう
確かめ⑤
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――sideメハ
やっとリンのターンである。カードを引いて、二枚を伏せて場に出す。カードを伏せて出すことで、あえて登場効果の発動タイミングをずらしたり、牽制の役にも立つ。伏せで警戒すべきは[忍び]だ。[忍び]は伏せで特殊な効果を発動できる。
[忍び]:登場時に自分の手札を一枚引ける。相手は手札を一枚捨てなければならない。伏せで場に出た次の自分のターンで相手の王を暗殺することができる。王を暗殺した場合このカードは墓地に送られる。
王。国に必ずいる者だ。王が死ぬと、次の王が出てくるわけだが、いろいろ内部がごたつく。それを再現して、王を殺された場合城の耐久値が-4000しなければならない。それを可能とする兵が潜んでいるかもしれない。
<尤も…。[巫女]の退場効果で[忍び]を伏せて出してる可能性も捨てきれないんだけどね…>
「ふっやるわね」
「[塵も積もれば]の次男組と元敵を進軍」
虚勢だった。いつものように三下口調で受け応えていたからこそ、何も考えられなくても先に口から出ていた。私の頭は真っ白になっていた。この盤面があまりにも酷似していた。
<ただの偶然…よね>
自分に言い聞かせるようにそう思った。少し、穏やかな雰囲気を纏ったリンが癒しだった。少しでも嫌な感覚が払拭できれば良かったのだが、それに利用してると考えると少々心苦しくもあるのだが、
「いいよ。楽になるなら」
心を読んだようにそう言うリンはどこか大人びていた。自分を神だという謎の存在に会ってしまったことも、仕組まれたように気味の悪い手札も、今の奇妙な感覚も、全て…
運命だったのだろうか?
一瞬だけ、超加速した思考は妥協案を出す。
「もー、ゲーム中に相手の心を読むのは反則でしょ?」
こちらの想ってることに蓋をして、リンを安心させる。元を辿ればただの違和感。細かいところを気にしすぎているだけなのだ。と思う。
「…ごめん」
視線を逸らすリンは儚げでこちらの胸を痛めてしまいそうになる。
「まー、普通のカードゲームとかは心理戦こそが本質だってこともあるから別にいいんだよ」
私との対戦でリンに心を読ませないのは、それではカードゲームを楽しみにくいだろうし、上達しずらそう。ただそれだけだった。
「じゃ…いいの?」
違和感のことだろう。そう察して、できるだけ穏やかな表情で応える。
「うん。だから、心配しなくていいの」
笑顔を保ったままカード引く。顔が引きつる。条件反射で回る思考は瞬時に答えを見出す。<[科学兵器]は山札を三枚墓地へ送り、相手の城の耐久値を3000削る。これで8枚><決意の魔法があっても、9><いや、でもスパイはいつでも墓地に送れる><つまり、揃う><次のターンで、決まる>
ゴクリッ
息を飲んだ。揃った。揃ってしまった。
「…[戦車]、前進」
声が震える。頭のどこかでこの展開を想定していた。気持ち悪いことに、この試合内容はシンとアピスの闘いを彷彿させられるのだ。圧倒的な優勢の#私__アピス__#と絶望的なまでに劣勢なリンと重ねてしまう。
<このカードを切ってしまえば…>
[決意の魔法]なんて名前を付けてしまったがために、深読みで苦しむ。まるで決断を急かされるような状況。
〈打点が足りている〉〈揃っちゃった…〉〈神って名前だれが…入れたの…バカ……〉
終わりの始まり
<リンが本当に…負けてしまう……>
脳内は警報をならし続けている。熱くなるのを感じる。山札から引いてどれだけ時間が経ったかも分からない。ほんの一瞬だったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
<不自然だけど、降参するしk>
「違うゲーム…しよ」
リンは私の服の袖を小さな力で引っ張る。薄くて綺麗な水彩画を思い浮かべるような笑みは私にとって救いだった――
やっとリンのターンである。カードを引いて、二枚を伏せて場に出す。カードを伏せて出すことで、あえて登場効果の発動タイミングをずらしたり、牽制の役にも立つ。伏せで警戒すべきは[忍び]だ。[忍び]は伏せで特殊な効果を発動できる。
[忍び]:登場時に自分の手札を一枚引ける。相手は手札を一枚捨てなければならない。伏せで場に出た次の自分のターンで相手の王を暗殺することができる。王を暗殺した場合このカードは墓地に送られる。
王。国に必ずいる者だ。王が死ぬと、次の王が出てくるわけだが、いろいろ内部がごたつく。それを再現して、王を殺された場合城の耐久値が-4000しなければならない。それを可能とする兵が潜んでいるかもしれない。
<尤も…。[巫女]の退場効果で[忍び]を伏せて出してる可能性も捨てきれないんだけどね…>
「ふっやるわね」
「[塵も積もれば]の次男組と元敵を進軍」
虚勢だった。いつものように三下口調で受け応えていたからこそ、何も考えられなくても先に口から出ていた。私の頭は真っ白になっていた。この盤面があまりにも酷似していた。
<ただの偶然…よね>
自分に言い聞かせるようにそう思った。少し、穏やかな雰囲気を纏ったリンが癒しだった。少しでも嫌な感覚が払拭できれば良かったのだが、それに利用してると考えると少々心苦しくもあるのだが、
「いいよ。楽になるなら」
心を読んだようにそう言うリンはどこか大人びていた。自分を神だという謎の存在に会ってしまったことも、仕組まれたように気味の悪い手札も、今の奇妙な感覚も、全て…
運命だったのだろうか?
一瞬だけ、超加速した思考は妥協案を出す。
「もー、ゲーム中に相手の心を読むのは反則でしょ?」
こちらの想ってることに蓋をして、リンを安心させる。元を辿ればただの違和感。細かいところを気にしすぎているだけなのだ。と思う。
「…ごめん」
視線を逸らすリンは儚げでこちらの胸を痛めてしまいそうになる。
「まー、普通のカードゲームとかは心理戦こそが本質だってこともあるから別にいいんだよ」
私との対戦でリンに心を読ませないのは、それではカードゲームを楽しみにくいだろうし、上達しずらそう。ただそれだけだった。
「じゃ…いいの?」
違和感のことだろう。そう察して、できるだけ穏やかな表情で応える。
「うん。だから、心配しなくていいの」
笑顔を保ったままカード引く。顔が引きつる。条件反射で回る思考は瞬時に答えを見出す。<[科学兵器]は山札を三枚墓地へ送り、相手の城の耐久値を3000削る。これで8枚><決意の魔法があっても、9><いや、でもスパイはいつでも墓地に送れる><つまり、揃う><次のターンで、決まる>
ゴクリッ
息を飲んだ。揃った。揃ってしまった。
「…[戦車]、前進」
声が震える。頭のどこかでこの展開を想定していた。気持ち悪いことに、この試合内容はシンとアピスの闘いを彷彿させられるのだ。圧倒的な優勢の#私__アピス__#と絶望的なまでに劣勢なリンと重ねてしまう。
<このカードを切ってしまえば…>
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〈打点が足りている〉〈揃っちゃった…〉〈神って名前だれが…入れたの…バカ……〉
終わりの始まり
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脳内は警報をならし続けている。熱くなるのを感じる。山札から引いてどれだけ時間が経ったかも分からない。ほんの一瞬だったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
<不自然だけど、降参するしk>
「違うゲーム…しよ」
リンは私の服の袖を小さな力で引っ張る。薄くて綺麗な水彩画を思い浮かべるような笑みは私にとって救いだった――
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追記:2025/09/20
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