11 / 11
11_1学期、終業式。そして夏休み
しおりを挟む
11_1学期、終業式。そして夏休み
期末テストが終わって。その結果が僕らそれぞれに返ってきたところで。
1学期の終業式が近づいてきていた。
「さて、今日は勉強会じゃないけどさ」
どうやら『少年少女心理研究同好会』の活動を、学校の方からこの図書室で行うことを許されているらしい光海さんは。
僕と水樹が揃ったところで、どう見ても有名ブランドの刻印にしか見えない模様の入ったセカンドバッグをごそごそやって、その中から。
『ふじ寅屋』という、僕らの県内発祥で、地方全体でチェーン店展開している中堅どころの和菓子メーカーの羊羹と落雁を取り出した。あ、食べたことあるけど、美味しいけど。アレは主に贈答用で確かとんでもなく高かったような記憶がある。僕はそう思った。
光海さんは。何気ない感じにそれを図書室の大机の上に置いて、図書準備室というか、図書室に隣接した給湯室に向かって。
しばらくしたら、急須と保温ポットを持って戻ってきたのだった。
「蔵山さんは、学年4位。頑張ったわね、流石」
陶器の急須の茶漉しに緑茶の葉を入れ、蓋をして。お茶を蒸らしに入る光海さんは、まずは何というか。
学生が100人ちょっといるうちの学校の1年生の中で、4位という総合成績をテストで上げた水樹を褒めた。
「うん、ありがとうございます。意外とアレですね、この図書室での勉強会の効果が出たのかもしれないです」
大人しく、光海さんに頭を下げる水樹。この子も随分と丸くなったもんだなぁとか、最初の頃の接触の事を思い出してそう思う僕だった。
「んで……、まあ。大金星よね、正時は。特進クラスでもないのに、学年18位。アンタやるじゃん、ちょっと認めちゃう」
そうそう。僕は光海さんと水樹に、苦手教科の勉強法を叩き込まれた結果。中間テストでは30位だった学年順位が18位まで上がった。
それを光海さんは褒めてくれたんだ。
「それで、浅見先輩は。2年生で何位だったんですか?」
ちょっとダイレクトでそれを先輩に聞くのはどうなのって僕は思ったけど。
水樹は何の躊躇もなくそう聞いていた。
「ん? 2位」
「え?」
「はぁ⁈ どういうことです⁉」
「だから2位。なんかおかしい? 私のクラス、2年のA組だし。2年生だけど、私も蔵山さんと同じ特進クラスだから。別におかしくないじゃん」
そんな感じにさらっと言うと。湯呑みに急須でお茶を淹れ始める光海さん。
いや、この人。頭いいのは普段の言動見てればわかるけれど。
数値化すると、そんなんなるのかと。
ちょっと驚いた僕である。
「さて、お茶も入ったし。羊羹はカットしてあるのを買ってきたから。ちょっと食べて飲んで、この図書室の冷え冷えの空調の中でお話ししますか。議題は、決まってるけどね」
なんだろうか? そう言う光海さんは。
なんかすごい楽しそうだった。
* * *
「ええー……、うほん!」
さて、今日は終業式。僕がこの桜園学園に入学して、初めての終業式だ。
「これにて、わが校の1学期課程の終業となる。が、生徒諸君には、これより一か月と半月の長期休暇。夏季休暇の間に、それぞれに時間の使い方を判断し、行動の決定をする自主性を育んでもらいたいと思う」
校長の槇島先生は、そんなにスピーチが長い方の先生ではなく、簡潔にいう事をまとめてから言うタイプのようだ。長々しい言葉の羅列を行わず、短くスパッとスピーチを終わらせたので。逆に僕は、この人はこの学園の校長だけあって。結構切れ者な人物なんだと、そう思うのだった。
* * *
「正時~。家の電話に連絡が来たんだけど?」
奈々美母さんが、夏休みに入ってから、部屋で朝の惰眠を貪る事が多い僕を起こしに来た。
「あっ……ふぁぁう……。なに? 誰?」
僕は頭を振って、眠気を散らす。
「あなたが、携帯に電話しても全然出ないからって。家電に掛けさせて頂きました。そう礼儀正しく挨拶出来る子だったわよ?」
「ああ、そっか」
「誰なのよ? 女の子の声だったけれど。この前に正治が言っていたし、あなたからも聞いた、あなたの彼女さん?」
「ん~? ちょっと待って」
そう言って僕は、自分のスマホを見る。
すると、着信アリの通知が確かに来ている。
通話アプリを開いて、通知を見てみると。
水樹じゃなくて、光海さんからの連絡だった。
「家電、まだ繋がってるの? 母さん」
「いえ、私が折り返し掛けさせますって言ったら、向こうさんはお礼を言って切ったわよ。早めに電話しなさいよ?」
そういって、母さんは僕の部屋から出て行った。
光海さんから連絡か……。なんだろう。あのイベントまではまだ間があるし。
期末テストが終わって。その結果が僕らそれぞれに返ってきたところで。
1学期の終業式が近づいてきていた。
「さて、今日は勉強会じゃないけどさ」
どうやら『少年少女心理研究同好会』の活動を、学校の方からこの図書室で行うことを許されているらしい光海さんは。
僕と水樹が揃ったところで、どう見ても有名ブランドの刻印にしか見えない模様の入ったセカンドバッグをごそごそやって、その中から。
『ふじ寅屋』という、僕らの県内発祥で、地方全体でチェーン店展開している中堅どころの和菓子メーカーの羊羹と落雁を取り出した。あ、食べたことあるけど、美味しいけど。アレは主に贈答用で確かとんでもなく高かったような記憶がある。僕はそう思った。
光海さんは。何気ない感じにそれを図書室の大机の上に置いて、図書準備室というか、図書室に隣接した給湯室に向かって。
しばらくしたら、急須と保温ポットを持って戻ってきたのだった。
「蔵山さんは、学年4位。頑張ったわね、流石」
陶器の急須の茶漉しに緑茶の葉を入れ、蓋をして。お茶を蒸らしに入る光海さんは、まずは何というか。
学生が100人ちょっといるうちの学校の1年生の中で、4位という総合成績をテストで上げた水樹を褒めた。
「うん、ありがとうございます。意外とアレですね、この図書室での勉強会の効果が出たのかもしれないです」
大人しく、光海さんに頭を下げる水樹。この子も随分と丸くなったもんだなぁとか、最初の頃の接触の事を思い出してそう思う僕だった。
「んで……、まあ。大金星よね、正時は。特進クラスでもないのに、学年18位。アンタやるじゃん、ちょっと認めちゃう」
そうそう。僕は光海さんと水樹に、苦手教科の勉強法を叩き込まれた結果。中間テストでは30位だった学年順位が18位まで上がった。
それを光海さんは褒めてくれたんだ。
「それで、浅見先輩は。2年生で何位だったんですか?」
ちょっとダイレクトでそれを先輩に聞くのはどうなのって僕は思ったけど。
水樹は何の躊躇もなくそう聞いていた。
「ん? 2位」
「え?」
「はぁ⁈ どういうことです⁉」
「だから2位。なんかおかしい? 私のクラス、2年のA組だし。2年生だけど、私も蔵山さんと同じ特進クラスだから。別におかしくないじゃん」
そんな感じにさらっと言うと。湯呑みに急須でお茶を淹れ始める光海さん。
いや、この人。頭いいのは普段の言動見てればわかるけれど。
数値化すると、そんなんなるのかと。
ちょっと驚いた僕である。
「さて、お茶も入ったし。羊羹はカットしてあるのを買ってきたから。ちょっと食べて飲んで、この図書室の冷え冷えの空調の中でお話ししますか。議題は、決まってるけどね」
なんだろうか? そう言う光海さんは。
なんかすごい楽しそうだった。
* * *
「ええー……、うほん!」
さて、今日は終業式。僕がこの桜園学園に入学して、初めての終業式だ。
「これにて、わが校の1学期課程の終業となる。が、生徒諸君には、これより一か月と半月の長期休暇。夏季休暇の間に、それぞれに時間の使い方を判断し、行動の決定をする自主性を育んでもらいたいと思う」
校長の槇島先生は、そんなにスピーチが長い方の先生ではなく、簡潔にいう事をまとめてから言うタイプのようだ。長々しい言葉の羅列を行わず、短くスパッとスピーチを終わらせたので。逆に僕は、この人はこの学園の校長だけあって。結構切れ者な人物なんだと、そう思うのだった。
* * *
「正時~。家の電話に連絡が来たんだけど?」
奈々美母さんが、夏休みに入ってから、部屋で朝の惰眠を貪る事が多い僕を起こしに来た。
「あっ……ふぁぁう……。なに? 誰?」
僕は頭を振って、眠気を散らす。
「あなたが、携帯に電話しても全然出ないからって。家電に掛けさせて頂きました。そう礼儀正しく挨拶出来る子だったわよ?」
「ああ、そっか」
「誰なのよ? 女の子の声だったけれど。この前に正治が言っていたし、あなたからも聞いた、あなたの彼女さん?」
「ん~? ちょっと待って」
そう言って僕は、自分のスマホを見る。
すると、着信アリの通知が確かに来ている。
通話アプリを開いて、通知を見てみると。
水樹じゃなくて、光海さんからの連絡だった。
「家電、まだ繋がってるの? 母さん」
「いえ、私が折り返し掛けさせますって言ったら、向こうさんはお礼を言って切ったわよ。早めに電話しなさいよ?」
そういって、母さんは僕の部屋から出て行った。
光海さんから連絡か……。なんだろう。あのイベントまではまだ間があるし。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる