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1章:Free's Linkage Station
3.何を今更。貴方も霊を食べているのですよ
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3.何を今更。貴方も霊を食べているのですよ
「イデスちゃん、何やってるの?」
僕は、リジョリア・イデス号を操作して、何かを船外の宇宙空間に散布し始めたイデスちゃんに聞いた。
「撒き餌です。思念粘土なんですが……。邪悪な思念を練り込んだ代物です。これを少量撒くと……」
とかイデスちゃんが言っていると、僕の船のブリッジに緊急事態を知らせる赤色光が広がった。
「出ましたね……。宇宙悪霊です」
イデスちゃんは落ち着いて言っているけれど、僕の船は船外から何か強烈な力でガクガクと揺すられて揺れ動く。そして……!
ブリッジから宇宙空間を見渡せる、ワイドウィンドウの外側に。怨念に満ちたかのような巨大な歪んだ人や獣、それに異形の者たちの笑い顔が見える。
「あ……!!」
はっきり言って、僕は腰を抜かした。なんだコレは、凄まじい悪意の塊じゃないか!!
「キャプテン! 何を腰を抜かしているのです! 宇宙の旅人ならば、涎をこぼしてもおかしくない、相当に上物の獲物ですよ!!」
イデスちゃんは全く物怖じしない。だから怖いって君!!
「ど、どうしろってんだよこんなの!! どうやって倒すんだよ!! イデスちゃん⁉」
情けないことに、僕は少々ヒステリックにイデスちゃんをなじるように叫んでしまった。
「宇宙船というものは、こういった類の敵を倒す装備を揃えているものです。私がリードしますから、船に命令を出してあの宇宙悪霊を倒して、思念粘土の形にして霊力ストックとして回収するのです!!」
そんな事を言うイデスちゃんだけど……。僕には、無理としか思えなかった。
「に、逃げよう、よ!!」
そんな事を言ってしまった僕に、イデスちゃんは鋭い表情で舌打ちをする。
「何を言っているんですか!! 貴方はそんなに非力ではないのですよ⁈ 貴方は、幼い頃からいいものを食べ、いい教育を受け、いい趣味を味わってきた。それが武器となる!! そういう事です!!」
「え……?」
「ちょっと考えてください。これから行う戦闘は、言ってしまえば母星系で流行している、スペース・フリート・バトルゲームとほとんど一緒です! 相違点と言えば、負ければ命がない。それだけのことですっ!!」
「物凄い重大な違いがあるじゃないかぁ!!」
「ええい!! この温室育ちのボンボンさんめっ!! いいですか? 貴方は今までいろいろなものを食べてきたでしょうけれど、言ってしまいますけれどね! 食べ物というものは、機械生成であれ、自然生育であれ、全て悪霊の霊素を吸収して出来上がっているのです!!」
「え? 僕あんな気持ち悪いもん食ってるっての⁈」
「何を今更!! 貴方も様々な味の霊を味わっているのですよ⁉」
衝撃を受けた。まあ、ジュニアハイスクールで聞いたことがあるけど。
惑星上での植物の生育には、いわゆる汚れと無駄の累積が必要だと言う事。
植物が育ち、種子を蒔き、そして数を増やして死んでいく。
それに拠って惑星上の土というものは豊かになり、植物の数が安定した辺りで動物が発生する。
そして、やはり授業で学んだことだけれど。
植物というものは、惑星霊の腐敗部分を吸収して育つ、いわば浄化の生物だと言う事。
とすればだ。とすればなんだけど……。
惑星が完全に浄化されたら、その惑星上から生命は消え去る。だが……。
腐敗と浄化のバランスが絶妙にとられ、この銀河の多くの星々には生命体が住まっている。
だとしたら……⁈
「まって、イデスちゃん!!」
「何ですか今度は!! 悪霊はこちらを襲うのを待ってはくれませんよ⁉」
「あのさ、悪霊を乱獲したら……。宇宙からは生命は消えちゃわないの?」
「あー……。面倒臭いですね。変に頭が回るというか……。そこにハマったのですか……」
イデスちゃんは、心底面倒臭いという顔をして僕を見る。
「どうなの?」
「何の心配もいりません。悪霊狩りをするにあたって、その手の心配は仇です」
「なんで?」
「いいですか? 宇宙空間に出てきている悪霊というのは、いわば惑星霊から切り捨てられた始末に負えない、ゴミのようなものです。この者たちは、タダの悪感情の塊で、とにかく害意と悪意しか持ちません。言ってしまえば、食べ物にするぐらいしか、使い道がないのです。キャプテン、貴方は身から出た垢を、シャワーで流すことはあっても、後生大事に取っておくことはしないでしょう?」
「うむ……む!」
「そういうことです。身体から離れて、外界の土になって。そうすれば、また栄養素として土を豊かにもし得る。垢と悪霊は、そういう意味ではよく似ています」
「宇宙という海の……。養分になっているってことか……!!」
「そういう事です! 戦闘準備はよろしいですか⁈」
「わかった! わかりやすい説明をありがとう! やろう!」
「ふー……。やっとその気になりましたか……」
イデスちゃんは、やや呆れ気味ながらも。
手間がかかる、と呟きつつ、僕を見て笑った。
「主砲のツイントロン砲72門を、20、20、32門の連続斉射に用います!! 宜しければ、実行命令を!!」
「うん、実行に移して!」
「了解! リジョリア・イデス号、主砲三連斉射!!」
形としては、卵を横に向けてふっくらと押しつぶしたような形の、リジョリア・イデス号。その卵の細い方が船首部に当たり、船首部からの船底は船腹部まで卵の殻のような白色ではなく、黒く光りツイントロン砲の発射口が72門、ずらりと並んでいる。
そこから、青白い光のツイントロンビームが凄まじい斉射を放ち、宇宙悪霊の群れを撃破していく!!
「あ!! 標的、逃げます!! グラビトンミサイルの使用許可を! キャプテン!!」
イデスちゃんが、ここまで叩いた敵が逃げようとするので。
そうはさせじと、およそ宇宙空間で存在しているものの動きはほとんど鈍化させる威力を持つ、グラビトンミサイルの使用許可を僕に求めてくる。
「うん! 逃がさない! グラビトンミサイル、六門から同時発射!! ポイントを狙って、対象の動きを止める!!」
「了解! 船の中枢AIが実行します!」
船の両舷部についている、グラビトンミサイル発射口六門から、グラビトンミサイルが発射され、炸裂。宇宙悪霊の動きを止める!!
「キャプテン、止めです!! ツイントロン砲を連続斉射!! 敵の活動が停止するまでの総攻撃に移ります! 宜しいですか?」
「よし、ここまでくれば、それも行ける気がする!! 実行OK! 頼むよ、イデスちゃん!!」
「了解! 敵殲滅まで、斉射を続けます!!」
おー……。おじいちゃん、この船凄いね……。
目に余る巨大な宇宙悪霊が、みるみる弱って行って……。
「悪思念体、密度を上げて思念粘土の形に凝固しています。タイムシーリングをして、回収いたします」
そして、獲物に流れる時間を止めて回収。宇宙悪霊は、攻撃を受けると死なないように密度を高めて、思念粘土の形で物質化すると。
後でイデスちゃんが教えてくれた。
「イデスちゃん、何やってるの?」
僕は、リジョリア・イデス号を操作して、何かを船外の宇宙空間に散布し始めたイデスちゃんに聞いた。
「撒き餌です。思念粘土なんですが……。邪悪な思念を練り込んだ代物です。これを少量撒くと……」
とかイデスちゃんが言っていると、僕の船のブリッジに緊急事態を知らせる赤色光が広がった。
「出ましたね……。宇宙悪霊です」
イデスちゃんは落ち着いて言っているけれど、僕の船は船外から何か強烈な力でガクガクと揺すられて揺れ動く。そして……!
ブリッジから宇宙空間を見渡せる、ワイドウィンドウの外側に。怨念に満ちたかのような巨大な歪んだ人や獣、それに異形の者たちの笑い顔が見える。
「あ……!!」
はっきり言って、僕は腰を抜かした。なんだコレは、凄まじい悪意の塊じゃないか!!
「キャプテン! 何を腰を抜かしているのです! 宇宙の旅人ならば、涎をこぼしてもおかしくない、相当に上物の獲物ですよ!!」
イデスちゃんは全く物怖じしない。だから怖いって君!!
「ど、どうしろってんだよこんなの!! どうやって倒すんだよ!! イデスちゃん⁉」
情けないことに、僕は少々ヒステリックにイデスちゃんをなじるように叫んでしまった。
「宇宙船というものは、こういった類の敵を倒す装備を揃えているものです。私がリードしますから、船に命令を出してあの宇宙悪霊を倒して、思念粘土の形にして霊力ストックとして回収するのです!!」
そんな事を言うイデスちゃんだけど……。僕には、無理としか思えなかった。
「に、逃げよう、よ!!」
そんな事を言ってしまった僕に、イデスちゃんは鋭い表情で舌打ちをする。
「何を言っているんですか!! 貴方はそんなに非力ではないのですよ⁈ 貴方は、幼い頃からいいものを食べ、いい教育を受け、いい趣味を味わってきた。それが武器となる!! そういう事です!!」
「え……?」
「ちょっと考えてください。これから行う戦闘は、言ってしまえば母星系で流行している、スペース・フリート・バトルゲームとほとんど一緒です! 相違点と言えば、負ければ命がない。それだけのことですっ!!」
「物凄い重大な違いがあるじゃないかぁ!!」
「ええい!! この温室育ちのボンボンさんめっ!! いいですか? 貴方は今までいろいろなものを食べてきたでしょうけれど、言ってしまいますけれどね! 食べ物というものは、機械生成であれ、自然生育であれ、全て悪霊の霊素を吸収して出来上がっているのです!!」
「え? 僕あんな気持ち悪いもん食ってるっての⁈」
「何を今更!! 貴方も様々な味の霊を味わっているのですよ⁉」
衝撃を受けた。まあ、ジュニアハイスクールで聞いたことがあるけど。
惑星上での植物の生育には、いわゆる汚れと無駄の累積が必要だと言う事。
植物が育ち、種子を蒔き、そして数を増やして死んでいく。
それに拠って惑星上の土というものは豊かになり、植物の数が安定した辺りで動物が発生する。
そして、やはり授業で学んだことだけれど。
植物というものは、惑星霊の腐敗部分を吸収して育つ、いわば浄化の生物だと言う事。
とすればだ。とすればなんだけど……。
惑星が完全に浄化されたら、その惑星上から生命は消え去る。だが……。
腐敗と浄化のバランスが絶妙にとられ、この銀河の多くの星々には生命体が住まっている。
だとしたら……⁈
「まって、イデスちゃん!!」
「何ですか今度は!! 悪霊はこちらを襲うのを待ってはくれませんよ⁉」
「あのさ、悪霊を乱獲したら……。宇宙からは生命は消えちゃわないの?」
「あー……。面倒臭いですね。変に頭が回るというか……。そこにハマったのですか……」
イデスちゃんは、心底面倒臭いという顔をして僕を見る。
「どうなの?」
「何の心配もいりません。悪霊狩りをするにあたって、その手の心配は仇です」
「なんで?」
「いいですか? 宇宙空間に出てきている悪霊というのは、いわば惑星霊から切り捨てられた始末に負えない、ゴミのようなものです。この者たちは、タダの悪感情の塊で、とにかく害意と悪意しか持ちません。言ってしまえば、食べ物にするぐらいしか、使い道がないのです。キャプテン、貴方は身から出た垢を、シャワーで流すことはあっても、後生大事に取っておくことはしないでしょう?」
「うむ……む!」
「そういうことです。身体から離れて、外界の土になって。そうすれば、また栄養素として土を豊かにもし得る。垢と悪霊は、そういう意味ではよく似ています」
「宇宙という海の……。養分になっているってことか……!!」
「そういう事です! 戦闘準備はよろしいですか⁈」
「わかった! わかりやすい説明をありがとう! やろう!」
「ふー……。やっとその気になりましたか……」
イデスちゃんは、やや呆れ気味ながらも。
手間がかかる、と呟きつつ、僕を見て笑った。
「主砲のツイントロン砲72門を、20、20、32門の連続斉射に用います!! 宜しければ、実行命令を!!」
「うん、実行に移して!」
「了解! リジョリア・イデス号、主砲三連斉射!!」
形としては、卵を横に向けてふっくらと押しつぶしたような形の、リジョリア・イデス号。その卵の細い方が船首部に当たり、船首部からの船底は船腹部まで卵の殻のような白色ではなく、黒く光りツイントロン砲の発射口が72門、ずらりと並んでいる。
そこから、青白い光のツイントロンビームが凄まじい斉射を放ち、宇宙悪霊の群れを撃破していく!!
「あ!! 標的、逃げます!! グラビトンミサイルの使用許可を! キャプテン!!」
イデスちゃんが、ここまで叩いた敵が逃げようとするので。
そうはさせじと、およそ宇宙空間で存在しているものの動きはほとんど鈍化させる威力を持つ、グラビトンミサイルの使用許可を僕に求めてくる。
「うん! 逃がさない! グラビトンミサイル、六門から同時発射!! ポイントを狙って、対象の動きを止める!!」
「了解! 船の中枢AIが実行します!」
船の両舷部についている、グラビトンミサイル発射口六門から、グラビトンミサイルが発射され、炸裂。宇宙悪霊の動きを止める!!
「キャプテン、止めです!! ツイントロン砲を連続斉射!! 敵の活動が停止するまでの総攻撃に移ります! 宜しいですか?」
「よし、ここまでくれば、それも行ける気がする!! 実行OK! 頼むよ、イデスちゃん!!」
「了解! 敵殲滅まで、斉射を続けます!!」
おー……。おじいちゃん、この船凄いね……。
目に余る巨大な宇宙悪霊が、みるみる弱って行って……。
「悪思念体、密度を上げて思念粘土の形に凝固しています。タイムシーリングをして、回収いたします」
そして、獲物に流れる時間を止めて回収。宇宙悪霊は、攻撃を受けると死なないように密度を高めて、思念粘土の形で物質化すると。
後でイデスちゃんが教えてくれた。
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