14 / 25
14
しおりを挟む
その晩、私たちは朝までそろってお酒を飲み続けた。ルルちゃんとミシマは、よく食べ、よく飲んだ。私はほとんど食べられなかったけれど、お酒は飲んだ。二人のバーテンが、腕を競うみたいに作ってくれるカクテルは、どれも絶品だった。
「贅沢。」
何杯目かも分からない、とにかく美味しいピンク色のカクテルを啜りながら、私が感に堪えずに発した言葉に、ルルちゃんはくすぐったそうに笑った。ラグの上のクッションに座っていたはずの彼女は、いつの間にかソファの私の隣に移動していた。ミシマは、当たり前だろ、と鼻を鳴らした。彼もいつのまにかソファに移動してきていて、二人掛けのソファの肘掛部分に腰を引っかけていた。ミシマは相変わらず大きなグラスに入れたジントニックを飲んでいて、ルルちゃんは私と同じお酒を飲んだ。いつも、ルルちゃんはそうだ。お揃い、と笑う彼女は、掛け値なしにかわいらしかった。二人に挟まれる格好で座る私は、居心地がいいのか悪いのか相変わらずよく分からないまま、それでも席を立つ気にはなれないでいた。
「つきこさん、全然食べてなくないですか? お腹空いてたんじゃなくて?」
ルルちゃんが、私が買い物かごに入れたサラダパスタがまだ冷蔵庫に入っていることに気が付いて、不思議そうに私を見た。私は、コンビニから帰ってきて数時間たっても、生ハムを二枚齧っただけだった。
「酒飲んだら食えないタイプなんじゃないのか?」
黙ってしまった私をちらりと見て、ミシマがどうでもよさそうに言った。私は、確かにその言葉に救われた。
「そうみたい。なんか、お腹空かない。」
ソファの肘掛に置かれたミシマの白くて大きな手に、触れてみたかった。でも、拒絶されるのが怖くてそれができなかった。
ルルちゃんが、納得したんだかしていないんだか曖昧な顔をして戻って来て、燻製チーズの袋を開けた。ミシマが私の頭越しに手を伸ばしてチーズの袋を漁る。ルルちゃんもミシマも背が高いから、挟まれた私は本当に子供みたいだった。
「ルルちゃんはいっぱい食べるね。」
誤魔化すみたいに言うと、ルルちゃんはなんだか得意げに笑った。
「大食いは昔からなんです。」
見上げると、ミシマも笑っていた。多分、二人には、大食いにまつわる笑えるエピソードがあるのだろう。
切ない、と思った。そして、こんな思いをするのははじめてだな、と。それは、元彼と付き合う前も、付き合っていた頃も、振られた後も含めて。
「贅沢。」
何杯目かも分からない、とにかく美味しいピンク色のカクテルを啜りながら、私が感に堪えずに発した言葉に、ルルちゃんはくすぐったそうに笑った。ラグの上のクッションに座っていたはずの彼女は、いつの間にかソファの私の隣に移動していた。ミシマは、当たり前だろ、と鼻を鳴らした。彼もいつのまにかソファに移動してきていて、二人掛けのソファの肘掛部分に腰を引っかけていた。ミシマは相変わらず大きなグラスに入れたジントニックを飲んでいて、ルルちゃんは私と同じお酒を飲んだ。いつも、ルルちゃんはそうだ。お揃い、と笑う彼女は、掛け値なしにかわいらしかった。二人に挟まれる格好で座る私は、居心地がいいのか悪いのか相変わらずよく分からないまま、それでも席を立つ気にはなれないでいた。
「つきこさん、全然食べてなくないですか? お腹空いてたんじゃなくて?」
ルルちゃんが、私が買い物かごに入れたサラダパスタがまだ冷蔵庫に入っていることに気が付いて、不思議そうに私を見た。私は、コンビニから帰ってきて数時間たっても、生ハムを二枚齧っただけだった。
「酒飲んだら食えないタイプなんじゃないのか?」
黙ってしまった私をちらりと見て、ミシマがどうでもよさそうに言った。私は、確かにその言葉に救われた。
「そうみたい。なんか、お腹空かない。」
ソファの肘掛に置かれたミシマの白くて大きな手に、触れてみたかった。でも、拒絶されるのが怖くてそれができなかった。
ルルちゃんが、納得したんだかしていないんだか曖昧な顔をして戻って来て、燻製チーズの袋を開けた。ミシマが私の頭越しに手を伸ばしてチーズの袋を漁る。ルルちゃんもミシマも背が高いから、挟まれた私は本当に子供みたいだった。
「ルルちゃんはいっぱい食べるね。」
誤魔化すみたいに言うと、ルルちゃんはなんだか得意げに笑った。
「大食いは昔からなんです。」
見上げると、ミシマも笑っていた。多分、二人には、大食いにまつわる笑えるエピソードがあるのだろう。
切ない、と思った。そして、こんな思いをするのははじめてだな、と。それは、元彼と付き合う前も、付き合っていた頃も、振られた後も含めて。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる