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聖女降臨? 編
ミラクル0 スーパーブルーマンデー
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どこにでもいるブラック勤務のアラサー事務職、御手洗清美(みたらいきよみ)は困惑していた。朝から35度越えで汗が止まらない真夏日、混雑する駅のホームで満員の通勤電車を待っていた筈なのに、気付けば見知らぬ真っ白な空間に立っていたからだ。
「やあ、気分はどうだい?」
目の前には胡坐を掻いて空中に浮かんでいる、どこか胡散臭そうな銀髪糸目のイケメン青年。ひょっとして私は立ったまま寝る術を体得したのだろうか、と夢を疑う清美は分厚い眼鏡を外して目を擦り、またかけ直す。
「残念ながら夢でも幻覚でもないんだなコレが。突然だけど、君には今から救いの聖女として滅びかけの異世界に召喚されてもらいます。乙女の夢だよやったね清美ちゃん!」
「……い」
「い? イヤッホー?」
「嫌じゃー! 会社にも行きたくないが、エアコンもシャワーもウォシュレットもない異世界になんかもっと行きたくないわー!」
まだ理解が追い付かないものの、とりあえず即答で拒否する清美。彼女はエアコンがなければ生きられず、ウォシュレットのないトイレでは極力用を足したくない女である。そして毎晩熱いお風呂に浸かって一日の疲れを綺麗サッパリ洗い流すことをこよなく愛する人間だ。そんな彼女に異世界に行けというのは死刑宣告に等しい。
「エアコンとシャワーとウォシュレットがあればいいんだね? よーし、君の聖女チートは『エアコン完備のユニットバス使い放題』に決定!」
だが目の前の銀髪糸目の不審なイケメンは我が意を得たとばかりに胡散臭い笑みを浮かべ、手を叩く。すると清美の手の甲に銀色の紋章のようなものが浮かび上がり、足元には銀色に輝く魔法陣が一瞬で展開され、そこからいかにも神々しい感じの銀色の光と強風が溢れ出したではないか。
「聖女(チート)の力で恩着せがましく世界を救って、後はより取り見取りのイケメン達にチヤホヤされてのイージーモードな逆ハースローライフの始まりだ! 冴えない君の人生も一発逆転サヨナラ満塁ホームラン! 誰もが羨む勝ち組になれるんだよ嬉しいだろう?」
「嬉しくねー!」
「まあまあ、あのまま熱中症で倒れて に転落して ぬよりは、余程有意義な の きが送れるんだからいいじゃない? それじゃあ、頑張ってねー!」
神様野郎が何かを言っているが、轟々と吹き荒ぶ風音のせいでよく聞き取れない。光も風もどんどん強まって、逃げ出したいのに何故か足も動かない。そうしてそのまま清美は光の塵となって霧散し、気付いた時にはどこかお城のような場所で、大勢の人間達に囲まれていたのだった。
「やあ、気分はどうだい?」
目の前には胡坐を掻いて空中に浮かんでいる、どこか胡散臭そうな銀髪糸目のイケメン青年。ひょっとして私は立ったまま寝る術を体得したのだろうか、と夢を疑う清美は分厚い眼鏡を外して目を擦り、またかけ直す。
「残念ながら夢でも幻覚でもないんだなコレが。突然だけど、君には今から救いの聖女として滅びかけの異世界に召喚されてもらいます。乙女の夢だよやったね清美ちゃん!」
「……い」
「い? イヤッホー?」
「嫌じゃー! 会社にも行きたくないが、エアコンもシャワーもウォシュレットもない異世界になんかもっと行きたくないわー!」
まだ理解が追い付かないものの、とりあえず即答で拒否する清美。彼女はエアコンがなければ生きられず、ウォシュレットのないトイレでは極力用を足したくない女である。そして毎晩熱いお風呂に浸かって一日の疲れを綺麗サッパリ洗い流すことをこよなく愛する人間だ。そんな彼女に異世界に行けというのは死刑宣告に等しい。
「エアコンとシャワーとウォシュレットがあればいいんだね? よーし、君の聖女チートは『エアコン完備のユニットバス使い放題』に決定!」
だが目の前の銀髪糸目の不審なイケメンは我が意を得たとばかりに胡散臭い笑みを浮かべ、手を叩く。すると清美の手の甲に銀色の紋章のようなものが浮かび上がり、足元には銀色に輝く魔法陣が一瞬で展開され、そこからいかにも神々しい感じの銀色の光と強風が溢れ出したではないか。
「聖女(チート)の力で恩着せがましく世界を救って、後はより取り見取りのイケメン達にチヤホヤされてのイージーモードな逆ハースローライフの始まりだ! 冴えない君の人生も一発逆転サヨナラ満塁ホームラン! 誰もが羨む勝ち組になれるんだよ嬉しいだろう?」
「嬉しくねー!」
「まあまあ、あのまま熱中症で倒れて に転落して ぬよりは、余程有意義な の きが送れるんだからいいじゃない? それじゃあ、頑張ってねー!」
神様野郎が何かを言っているが、轟々と吹き荒ぶ風音のせいでよく聞き取れない。光も風もどんどん強まって、逃げ出したいのに何故か足も動かない。そうしてそのまま清美は光の塵となって霧散し、気付いた時にはどこかお城のような場所で、大勢の人間達に囲まれていたのだった。
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