不死者となった少年傭兵~僕は殺されても死にません。あ、お前らはちゃんと死ぬけど~

カイガ

文字の大きさ
30 / 70

30「護衛団にやり返しをする」③

しおりを挟む
 僕とゼラニン、同時に地面を蹴って駆け出した。こちらも魔力を流し込んで強化された剣で、相手の二本の剣と打ち合っていく。
 しかし剣の技量はゼラニンの方が上。すぐにボロが出てしまい、体を切り刻まれてしまった。

 「もらったぁ!!」

 ズバン!首を斬り裂かれ、血がぶしゃっと噴き出た。これは致命傷、普通なら死ぬレベルの傷だ。だけど僕は不死者、こんな傷を負ってもしなない。
 ただ、死に瀕するほどのダメージを負ったため、また「不撓不屈」が発動され、僕はまたさらに強くなっていく……!

 「ば、かな………。確かに頸動脈を切り裂いたはずだぞ!?」

 「身体修復」のことを知らないゼラニンは、僕の首が綺麗にくっついてることに疑問をぶつける。

 「貴様はいったい、何なのだ!?」
 「殺されても死なない、不死者」

 そう答えて僕はその場で剣を思い切り振るい、三日月形の魔力の塊をゼラニン目がけて飛ばした。
 咄嗟に交差させた剣で防御するゼラニンだったが、その剣はどちらもバラバラに壊れてしまい、その身に致命的な裂傷を負った。

 「ばか、な………威力がまた、上がって………………」
 「今回の一撃は、『報復精神』による威力補正が入ってたんだよね。自分に攻撃をしいた相手に繰り出した自分の攻撃の威力が倍になるパッシブスキルさ」

 体を切り裂かれたゼラニンは僕の言葉に答える体力も無くなったか、そのままばたりと倒れた。あれ程の実力者ならば、まだ息はあるだろうな。

 「あんたは僕を一度ならず二度も殺した。ここまでしておいて自分は殺されないだなんて、思ってないよね?」
 「お………のれ、え」
 「“殺されたら殺し返す”が、僕のモットーだ。僕は死ななかったけど、あんたはどうだろうね?」

 そう告げて、僕はゼラニンの心臓を一突きし、首を掻っ切ってやった。当然ながらゼラニンの心臓は止まり、ピクリとも動かなくなった。

 「ふう……これで襲ってきた護衛団は、全員殺し返せたかな。それにしてもこいつらって、フリューゲン公爵家の差し金なんだっけ。てことはアンジェリーナかその弟のミュカスってやつが、こいつらを仕向けたってこと?」

 だとしたら随分な報復行動に出てきたものだ。決闘に負けてその罰として弟をボコボコにしたくらいで、ここまでの戦力を寄越して、挙句殺害までさせるなんて。フリューゲン公爵家ヤバ過ぎるでしょ。
 田舎の平民に…最弱だった傭兵にコテンパンにされたことがよほど屈辱だったのはお察しするけど、殺人まで踏み込む程のことなのだろうか。

 何はともあれ、今日は傭兵の仕事に行く気にはなれないし、この件をこれで終わりにさせる気も全くない。
 他人に人殺しを任せておいて、自分たちは安全なところでのうのうと過ごしているなんて、許せるわけがない。

 「僕の殺害を命じたというのなら、あいつらも同罪だ。公爵家の上級貴族様だろうが関係ない。しっかりやり返してもらうからな………!」

 そう決意して、僕はゼラニンの首を手に、フリューゲン公爵家の屋敷を目指して走り出した。



***

(現在―――)

 護衛団と戦った場所からそう離れてないところに公爵家の屋敷があったお陰で、大通りを行かずに済んだ。人の頭部を持ってるところを見られたら大騒ぎになって、騎士団にしょっぴかれるからね。隠す手間が省けた。

 屋敷の門には家の警備員らしき男がいて、素直に通してはくれなそうだったので、大胆な訪問方法をとることにした。

 「何者だ、貴様―――」

 両手に溜めた魔力の塊をぶっ放して、威圧的な態度で話しかけてきた警備員ごと家の門とその先の玄関をぶっ壊してやった!ドガァンズガァンと破砕音が鳴り、草木が燃えて煙が上がった。煙たいのを我慢しながら門を通過し、壊れた玄関も通って、屋敷に侵入してやった。

 「い、いった誰だ…!?ここが偉大なフリューゲン公爵家の屋敷と知ってのろ、狼藉か!?」

 玄関ホールの向こうから、少年の震える声が聞こえてきた。


 「おー、やっぱりここがフリューゲン公爵家のお屋敷で合ってたー!それで、今の声も、聞き覚えがあるなあ?確か公爵家三兄弟の末っ子の……何だっけ」

 わざと名前を忘れたふりをして、惚けてみせる。

 「何者だ、我がフリューゲン公爵の由緒ある屋敷にこのような蛮行をはたらくとは、よほど頭のねじが外れたやつのようだな」

 今度は知らない男の声が聞こえてきた。この家の当主なのか、それともゼラニンのような護衛兵なのか。
 声の正体について考えてるうちに煙が晴れて、家の中がくっきり見えるようになった。

  「「あ……!?」」

 踊り階段の上からアンジェリーナと、初めてみる男の腰にしがみついているミュカスが、僕を見て驚きの声を上げた。

 「お邪魔しまーす。田舎町コヨチで暮らす平民の傭兵、ラフィでーす」

 軽い調子で挨拶を述べてから右手を掲げて、ゼラニンの頭部を三人に見せてやった。

 「何…!?」「きゃあ!?」「うわあああっっ」

 当然ながら三人は尋常じゃないリアクションを見せてきた。ミュカスがしがみついている男が険しい形相で手から氷を生成して、それを僕目がけて放ってきた。
 
 「氷柱……水魔術の極致、氷魔術か。かなりの魔術使いだね」
 「貴様、ラフィと名乗ったな!?貴様が我が妹に敗北の土をつけ、弟を散々殴った下賤な平民傭兵で違いないな!?」
 
 姉と弟……てことはあの男はあの二人の兄者ってことなのかな。年は20を超えた、大人の長男か。

 「まあ、そういう解釈で合ってるよ。そのクソガキ…じゃなかった、三男坊をボコボコにしたのは、決闘で勝ったらそうするって約束でやったわけで、こんな護衛団を使ってまで仕返しをされるような事はないと思うんだけど」
 
 そう答えて、ゼラニンの頭部をぷらぷら振ってみせる。

 「その首………我が護衛団のリーダー、ゼラニン。まさか貴様が討ち取ったというのか…!?」
 「うん。ついでに言っておくと他の団員たちも、僕がまとめて返り討ちにしたから」

 護衛団を全滅させたと聞かされて、アンジェリーナとミュカスは信じられないと言わんばかりに目を見開く。

 「そんな、17名の手練れの戦闘集団を、いったいどうやって!?ゼラニンに至っては二等騎士の元王国騎士なんだぞ!?」

 ミュカスがガタガタ体を震わせながら何か喚いている。そのクソガキの隣まで、僕は一気に跳躍した。
 
 「え―――」
 「お前だよな。僕を護衛団が待ち構えていた建物に転移させたのは―――っ」

 ドガン!呆然としていたミュカスの顔を裏拳で殴りつけて、部屋の壁まで吹き飛ばした。

 「何…!?ひとっ跳びでここまで移動を!?」
 「いやああっ!?ミュカスぅうう!」

 僕の跳躍に驚きをみせる長男と、見事に壁にめり込んだミュカスに悲鳴を上げるアンジェリーナ。

 「貴様、またしても我が弟に手を上げたか……っ」

 怒りの声とともに長男は手から氷魔術…氷柱をいくつも放って迎撃してきた。魔力を流し込んだ剣で弾き、回避してみせた。

 「だってそいつのせいで護衛団に囲まれる羽目になったわけだから、その仕返しをね?」
 「く………この外道っ」

 ミュカスを抱き締めながら罵声を浴びせてきたアンジェリーナに、僕は殺気を放った。

 「よく言うよ!お前かそのクソガキのどっちかが、護衛団に僕を殺せって命令したくせに!」
 「ひ………っ」

 アンジェリーナは真っ青な顔で、ミュカスを抱きながら後ずさる。

 「で、どっちが護衛団を僕に仕向けたんだ?僕がここに来たのは、護衛団を動かした奴を殺す為なんだから。早く答えてくれないかな?」

 殺気を込めた魔力を右手に集めながら脅してやる。しかし魔力を溜めてる途中で横から高速で飛来してきた氷柱によって、魔力が分散してしまった。

 「おい……さっきから俺を無視して姉弟に手をあげるとは、良い度胸だな?」

 怒り心頭といった表情の長男が、左手から氷の塊を生成させ、右手には切れ味良さそうな剣が握られていた。

 「護衛団を貴様に仕向けたのは、この俺……フリューゲン公爵家長男にして王国騎士団副団長でもある、マストールさ!」

 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...