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しおりを挟む【 ここからラストまで、三和視点です 】
猫を前にすると、自然と顔が吸い寄せられ鼻が吸引してしまうこの現象は、俺にとって水分補給と同じなんだと思う。
「──ふはぁぁぁ───っ、最高」
『んナァ~』
ひとしきり戯れると、三毛猫のミケがさっきまで喉を鳴らして甘えていたのが嘘のようにフイッとそっぽを向いて塀を飛び越えて行ってしまった。飼い主の所へ帰りたくなったらしい。
嫉妬心を感じつつも、たまらなく可愛いくて下半身が疼く。
俺は猫が好きだ。
一番好きなのは、野性味溢れるスレンダーな黒猫。
好きなものをとことん愛でたい。匂いを嗅ぎたい。触りたい。俺にとってそうする事はごく自然な事だ。
気安く触るなと言いたげな目も、素っ気ない気まぐれな態度も、悩殺レベルの甘えたモードも全部愛くるしくて興奮する。思い出してヌける程に。これはある種の性癖かもしれない。
猫が好きすぎるせいか、対人間に猫以上の愛情を未だ抱けずにいる。かといって猫人間なんて存在しない。
高校生活も、周りから勝手にワーキャー騒がれつつ適当にこなして過ごせばいいか。どうせ楽しいのは猫と戯れてる時だけだ。なんて考えていたら。
─── いた。見つけた。
クラスメイトに、とびきり可愛い黒猫がいた。
短く艶々した黒髪が俺好みの色白スリム体型によく映えている。指を突っ込んで撫でくり回して毛並みを確かめたい。
退屈な入学式がようやく終わると、それまでじっと前を見据えていたそいつが俺の視線に気づいてチラリと横目に見てきた。駆け抜ける衝撃。
かっっっわ!!!
すんごく可愛くて一目で気に入った。
向こうも俺を見て固まっている。だろうな。顔には自信がある。遠慮なく今すぐ惚れてくれたらいいのになんて期待してたら、徐々に顔が強張り警戒色が濃くなった。 ん?どした?
頭1個分下からじっと探るように見つめてくるつり目がちな三白眼。その黒曜石を嵌め込んだみたいな瞳にゾクゾクした。
黒髪から覗く狭い額と、頬だけ丸っこいシャープな輪郭。小さな鼻にきゅっと引き結んだ薄い唇が絶妙なバランスを保って小顔に凝縮された猫顔。
まずい。これは可愛さ余って虐めたくなるタイプだ。
しかもオス。いかにも童貞っぽいけどこいつ男もイケんのかな?
『桜の花びらついてるよ?』
さっそく確かめてやろうと、肩に触れながら覗いた河上(かわかみ) 春(はる)の【記憶】には驚かされた。まさか俺と似通った特殊能力保持者だったとは。
記憶の中、性欲まみれの野郎達から襲われるハルを見て、警戒心の理由(ワケ)を知った。こりゃ男嫌いにもなるわな……ってかエロすぎ。泣き顔ヤバいだろ。
ハルが欲しい。
絶対手に入れようと決めた。
本能的にイケメンを拒絶してるので、意識して思考を創り替えた。悟られないように。怖がらせないように。あんな奴らと俺を一緒にされては困る。
確実に手に入れるまで、ハルが望む【絶対安心安全な王子様】を完璧に演じなければ。
『俺と友達になってよ』
俺に手を握られると、ひきつった顔が瞬く間に赤く染まった。今ごろ視えているはずだ。ロマンチックな俺とのラブシーンが。あたふたと視線が泳ぎまくるハルの反応がくそ可愛くて、危うく勃ちかけた。
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