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聖なる狩人
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暗い森には無数の魔物が潜んでいる。決して奥へと足を踏み入れてはならない。二度と戻れなくなる。そう多くの人々は戒めとして伝えられ、行くこともないのだが、例外はいる。
魔を狩る事を専門としている狩人、魔物狩り以外に貴重な素材を手に入れる事や未開の地を開拓をする事を生業とする冒険者である。更に狩人には聖教会に属するものとしないものがあり、所属等も枝分かれしている。
今暗い森の中で魔物を次々と狩っている男は聖教会に属している。黒いマントは血で更に深く暗い色に染まっている中で、白銀に輝く幾何学模様で飾られた首飾りが浮かび上がっていた。一通り今日の依頼分を行い、冒険ギルドに立ち寄り、狩った証明品と素材を渡して帰路に着いた。貧相な家の中で汚れを落として、食事をし、眠る。それが男の日課である。
一部を除いては
突然扉を激しくノックする音に男は目を覚ました。男はベットに置いてある武器を隠し持って、扉の錠を外した。開いた扉から下級神官の服装をした青年がたっていた。
「何だお前か」
「何だって何だよ、いいから仕事だ」
「さっき帰ってきて眠いんだよ」
「悪いがこちとら上への命令なんでな、お前の意見なんて通る訳もない」
「確かにな」
下級神官の服装した青年は男の同僚であった。仕事柄今はその格好をしているが、状況に寄って身分や服装がまちまちである。男は手早く身支度を済ませて青年と共に家を出た。
向かった先は男が所属している教会の聖堂。中は天地創造について語られているステンドグラスがキラキラと太陽の光で色鮮やかに光っていた。男と青年は祈りを捧げた後、奥の部屋へと入っていった。そこは執務室となっており、1人の初老の神官が座っていた。
「忙しい中すまないね」
神官は男と青年に椅子を勧めた。2人が座ると、要件を話した。
「君たちに調査して欲しい事がある」
「それは?」
「ここ何年も渡って一定の地域の魔物の減少と神官の不審死についてだ。」
「不審死?」
「表向きには、魔物に運悪く襲われたと言われているが、どうも意図的に殺されている事が分かっている」
「何故?」
「さぁ?それは分からないのだが、共通点としては神官側にキナ臭い噂があった事以外分からないんだよ」
しかも、それらの神官が死んだ数は年に数人出たり、次の年は出なかったりとまばらで把握するのにここ最近分かったらしい。
「腐った神官を始末してくれるなんて、別にいいじゃないか?」
「確かにそうだが、それを神の罰として見るのには楽観しすぎるよ」
「上からの権威としても?」
青年は初老の神官の言葉に面倒臭いと言う顔で言った。
「それもそうだが、どうも死んだ神官の死体にある特徴が分かったんだよ」
「特徴?」
初老の神官は首にトントンと指で叩いた。
「首の跡さ」
「…吸血鬼?」
吸血鬼、それは魔物の更に上位であり、通常は魔族と呼ばれる存在の1種である。基本として魔族の多くは人が住むには適していない別の大陸に住んでいることが多いが、こうして希に人に紛れ込んで襲い、魔物操り人を脅かす事もある。
「正解。これもここ最近分かった事さ」
「でも、聖職者の死体は基本的に死亡解剖はしないのでは?」
教会の規則として、神官といった聖職者は神の物であり、神聖な物として扱われるそれ故に遺体を傷つける事は余程のことでない限り、タブーなのである。
「まぁ、そこは抜け道があるのだよ」
「……もしかして、聖職者として地位剥奪とか?」
「さぁね……」
「……タヌキだ」
「だが、それとは別になぜ魔物の減少と関係があるのかが終わらないな、通常は逆だろ?」
「どうもそれも、問題の神官が死んだ地域と減少数が一致している事も多いという調査結果なのだよ。こればかりは直接調べないと分からないのさ」
「直接?」
「そう、直接」
初老の神官は机に地図を広げてある地域を示した。男たちも続いて示している場所を見た。それは都市部から離れた農村と暗い森が連立している地域の一角であった。
「どうもここ最近ここら辺地域の魔物の減少している事を冒険ギルドから報告があった。君たちはそこに行って調査をして欲しいのだよ」
「報酬は?」
青年の言葉に初老の神官は呆れた。
「やれやれ、君は一様は聖職者だからね」
「立場上はね」
「多少はボーナスの上乗せはつけるそうだよ」
「引き受けた!」
「君は?」
「俺は特に何も、魔物や魔族がいれば狩る。それだけさ」
「君もだねぇ」
2人の言葉に初老の神官は呆れつつ、しょうがないという顔で微笑んだ。
その後、今後の段取りを話し合った後、彼らは解散した。男と青年が教会を出た後、初老の神官は彼らの背中を見ながら祈った。
「どうか彼等に神の御加護があらんことを」
青年と別れた男は早速、支度を始めた。これから出会う相手の為に、いつ何時も怠ることもないように。一通りの準備をした後、男は武器を聖書と首飾りを並べいつものように祈った。
「我らに灰と血と銀の加護と業の償いを」
魔を狩る事を専門としている狩人、魔物狩り以外に貴重な素材を手に入れる事や未開の地を開拓をする事を生業とする冒険者である。更に狩人には聖教会に属するものとしないものがあり、所属等も枝分かれしている。
今暗い森の中で魔物を次々と狩っている男は聖教会に属している。黒いマントは血で更に深く暗い色に染まっている中で、白銀に輝く幾何学模様で飾られた首飾りが浮かび上がっていた。一通り今日の依頼分を行い、冒険ギルドに立ち寄り、狩った証明品と素材を渡して帰路に着いた。貧相な家の中で汚れを落として、食事をし、眠る。それが男の日課である。
一部を除いては
突然扉を激しくノックする音に男は目を覚ました。男はベットに置いてある武器を隠し持って、扉の錠を外した。開いた扉から下級神官の服装をした青年がたっていた。
「何だお前か」
「何だって何だよ、いいから仕事だ」
「さっき帰ってきて眠いんだよ」
「悪いがこちとら上への命令なんでな、お前の意見なんて通る訳もない」
「確かにな」
下級神官の服装した青年は男の同僚であった。仕事柄今はその格好をしているが、状況に寄って身分や服装がまちまちである。男は手早く身支度を済ませて青年と共に家を出た。
向かった先は男が所属している教会の聖堂。中は天地創造について語られているステンドグラスがキラキラと太陽の光で色鮮やかに光っていた。男と青年は祈りを捧げた後、奥の部屋へと入っていった。そこは執務室となっており、1人の初老の神官が座っていた。
「忙しい中すまないね」
神官は男と青年に椅子を勧めた。2人が座ると、要件を話した。
「君たちに調査して欲しい事がある」
「それは?」
「ここ何年も渡って一定の地域の魔物の減少と神官の不審死についてだ。」
「不審死?」
「表向きには、魔物に運悪く襲われたと言われているが、どうも意図的に殺されている事が分かっている」
「何故?」
「さぁ?それは分からないのだが、共通点としては神官側にキナ臭い噂があった事以外分からないんだよ」
しかも、それらの神官が死んだ数は年に数人出たり、次の年は出なかったりとまばらで把握するのにここ最近分かったらしい。
「腐った神官を始末してくれるなんて、別にいいじゃないか?」
「確かにそうだが、それを神の罰として見るのには楽観しすぎるよ」
「上からの権威としても?」
青年は初老の神官の言葉に面倒臭いと言う顔で言った。
「それもそうだが、どうも死んだ神官の死体にある特徴が分かったんだよ」
「特徴?」
初老の神官は首にトントンと指で叩いた。
「首の跡さ」
「…吸血鬼?」
吸血鬼、それは魔物の更に上位であり、通常は魔族と呼ばれる存在の1種である。基本として魔族の多くは人が住むには適していない別の大陸に住んでいることが多いが、こうして希に人に紛れ込んで襲い、魔物操り人を脅かす事もある。
「正解。これもここ最近分かった事さ」
「でも、聖職者の死体は基本的に死亡解剖はしないのでは?」
教会の規則として、神官といった聖職者は神の物であり、神聖な物として扱われるそれ故に遺体を傷つける事は余程のことでない限り、タブーなのである。
「まぁ、そこは抜け道があるのだよ」
「……もしかして、聖職者として地位剥奪とか?」
「さぁね……」
「……タヌキだ」
「だが、それとは別になぜ魔物の減少と関係があるのかが終わらないな、通常は逆だろ?」
「どうもそれも、問題の神官が死んだ地域と減少数が一致している事も多いという調査結果なのだよ。こればかりは直接調べないと分からないのさ」
「直接?」
「そう、直接」
初老の神官は机に地図を広げてある地域を示した。男たちも続いて示している場所を見た。それは都市部から離れた農村と暗い森が連立している地域の一角であった。
「どうもここ最近ここら辺地域の魔物の減少している事を冒険ギルドから報告があった。君たちはそこに行って調査をして欲しいのだよ」
「報酬は?」
青年の言葉に初老の神官は呆れた。
「やれやれ、君は一様は聖職者だからね」
「立場上はね」
「多少はボーナスの上乗せはつけるそうだよ」
「引き受けた!」
「君は?」
「俺は特に何も、魔物や魔族がいれば狩る。それだけさ」
「君もだねぇ」
2人の言葉に初老の神官は呆れつつ、しょうがないという顔で微笑んだ。
その後、今後の段取りを話し合った後、彼らは解散した。男と青年が教会を出た後、初老の神官は彼らの背中を見ながら祈った。
「どうか彼等に神の御加護があらんことを」
青年と別れた男は早速、支度を始めた。これから出会う相手の為に、いつ何時も怠ることもないように。一通りの準備をした後、男は武器を聖書と首飾りを並べいつものように祈った。
「我らに灰と血と銀の加護と業の償いを」
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