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第一章 蒼太くん

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蒼太くんと書類整理してから数日…。
最近謎の寒気が止まらない。

(なーんか視線を感じるというか、家にいても落ち着かないんだよなぁ)

滅多に風邪を引かない私は久々に風邪をひいてしまったのではないかと少しショックを受けていた。

四時間目の国語が終わりお昼を食べようとお弁当を出す。

「いただきます」

「それお前が作ったの ?」

箸を手に持とうとした時急に話しかけられ思わず箸を落としそうになった。

「あ、悪い。弁当美味しそうだと思って」

話しかけてきた相手は隣の席の達也くんだった。
蒼太くんとはまた違った雰囲気の人気者で、誰にでもフレンドリーに話しかけてるのをよく見る。
達也くんと喋るのは席替えをして軽く挨拶した時以来だ。

「あ、ううん……大丈夫だよ。お弁当は毎回私が作ってるんだよね」

「へぇ、すげぇな俺なんかまず朝起きれないし、作るなんてもっと無理」

「そ、そうなんだ、朝起きるの辛いよね」

溢れ出るキラキラオーラに達也くんの顔が直視できない。

「雪の卵焼きと俺のウインナー交換してくれたりしないよな ?」

急に口を開いたかと思ったらお弁当のおかず交換を持ち出された。

「え、こ、交換?」

「凄い美味しそうでさ、なぁダメ?」

大型犬見たいな顔でうるうるとこちらを見られたらもう断る事が出来ない。

「う……い、いいよ味は保証出来ないけど」

「まじ ?めっちゃ嬉しい !ありがとう」

ニカッと眩しいほどの笑顔に思わずドキッとしてしまう。

「いただきまーす」

大口を開けて卵焼きを口にほおり込んだ達也くんにドキドキしながら感想を聞く。

「えっとその、どうか?」

「もぐっ、ん……うまっ、俺が今まで食べた卵焼きの中で1番美味い」

「ぷっ」

「あ、笑ったな」

「今までって、大袈裟すぎるよ、でもありがとう。達也くんの口に合って良かった」

感想がだいぶ大袈裟だった気もしたが褒められたのが嬉しくて自然と笑みがこぼれる。

「雪って前から思ってたけど可愛いよな」

「ぇえ ?」

(あ、やばいびっくりしすぎて変な声出ちゃった)

「今日話して雪が優しい奴だって分かったし、俺雪と仲良くしたいな、だから友達になってくんない ?」

おかずを交換しただけで優しい奴とはだいぶちょろいなと思ってしまったが友達の少ない私としては正直……いや、かなり嬉しい

「私でいいなら、喜んで」

「おしっ、じゃあ早速連絡先交換しよ」

「連絡先 !?」

「あ、ごめん嫌だった ?」

まさか少し会話してすぐに連絡先を交換すると思わなかった私はびっくりしてぽかんと口を開ける。達也くんがしゅんとした顔をしてしまいなんだか申し訳ない。

「え、あ、いや全然嫌じゃないよ !逆に交換したい」

「そっか !良かった。これ俺の連絡先」

今まで家族と数人の友達しかいなかった連絡リストに達也くんが増えた事が嬉しくて、ニヤニヤと上がってしまう口角をなんとか抑える。

ポコン

スマホを見て悶えているとメッセージの音がなった
スマホから顔を離し画面を確認すると達也くんから『よろしく』と言う文面とともに猫のキモかわいいスタンプが送られてきていた。

「え、何これ」

「俺が気に入ってるスタンプ。可愛いだろ ?」

「えっと、かわいい、可愛いかもしれない」

「微妙な反応だな !」

「ははっ、ごめんごめん、可愛いよ」

クスクスと私が笑っているとつられて達也くんも笑いだす。
わいわいと喋っていると肩をたたかれた。
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