洋食屋ロマン亭

みやぢ

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School days<1>

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土曜日のランチ営業を終えて帰宅すると、玄関に見慣れないパンプスがあった。
まどかさんのものではなさそうだ、誰か来てるのか?
リビングへ入ると従姉のゆきのがいた。

「ゆき姉来てたんだ、どうしたの?」
「おかえり翔ちゃん、今日はまどかちゃんに用があって来たの、ほらウチの学校の学園祭がもうすぐでしょ、その打ち合わせにね」
「あぁ、もうそんな時期なんだね」

ゆき姉は僕たちの通っていた学校の教師をしている。
まどかさんの事務所はイベント運営も手掛けているので学園祭の司会進行などを担っているのだ。

「社長と直接話してもいいんだけど最近あいつ忙しくて捕まんなくてさぁ…まぁ、まどかちゃんはもう身内みたいなものだしね」

まどかさんの事務所の社長はゆき姉の同級生で親友だ。

元々は街の広告屋だった実家の家業を多方面に拡げた人である。

そしてまどかさんをこの世界に引き込んだ張本人だ。

「おかえりなさい、今お茶入れるわね」
まどかさんがキッチンへ立ったのをみてゆき姉が声をひそめて言った。
「あなた達そろそろ籍入れてもいいんじゃないの?いつまでも待たせるのもかわいそうだし、あやもあきらめが付くからね」
「…」
ゆき姉の妹あやちゃんは僕の2歳下なので学校でも顔を合わせることが多く、よく一緒に遊んでいた。
今は神社の巫女として奉仕していて近くに住んでいるので今でもときどき遊びに来る。

僕がまどかさんと暮らし始めたのは彼女にとって複雑だっただろうと思うが、まどかさんとも仲が良く二人で一緒に出かけることもあるから不思議なものだ。

ゆき姉たちの母親が親父の姉で、この街に家を建てたのも伯母さん夫婦が住んでいるというのもあったようだ。

伯母さんはひとりっ子の僕を気遣ってよくゆき姉たちを連れてうちの家に遊びに来ていた。
僕たちはまるで三人兄妹のように仲良しだった。

学生時代から料理に興味のあった僕はよく街の図書館へ料理の本を探しに行っていた。

あやちゃんは神社が好きで中学生になると神道の本を探しに図書館へ来ていたので鉢合わせすることがたびたびあった。

「おにいちゃーん、いっしょに本読も」
「図書館では静かにするんだよ」
「はーい」

ふたりとも学校の図書室ではなかなか置いてない本が目当てなので閲覧室で2人並んで調べ物をするのが恒例となっていた。

そして僕が高校に入ってまもない頃まどかさんのご両親が亡くなり我が家で一緒に暮らすことになった。

最初のころはあやちゃんも遠慮ぎみだったがやがて仲良くなり、まどかさんと二人で出かけることも多くなった。

本人は口にこそしていないが、僕に好意を抱いているのは誰が見ても一目瞭然だった、それだけに今の僕たちの関係をゆき姉なりに心配してくれているのだろう。
ただ救いなのはあやちゃんは今神職の勉強に夢中なことだ、ゆき姉にとってはそうでもないかもしれないが…

そして学園祭当日がやってきた。
お店は休みの日だが、実は僕もゆき姉から頼まれて模擬店の食材確保と下ごしらえの指導をしているので朝から忙しくしていた。

まどかさんは講堂で開催される一連のイベントの司会進行をするのでその準備に追われている。

やがて学園祭の始まる時間になり、まどかさんの声が校内放送で流れたあと、正門が開かれ来場者が続々と入ってきた。

僕は模擬店で下ごしらえの終わった食材を生徒たちに託して講堂へ向かった。















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