6 / 20
School days<1>
しおりを挟む
土曜日のランチ営業を終えて帰宅すると、玄関に見慣れないパンプスがあった。
まどかさんのものではなさそうだ、誰か来てるのか?
リビングへ入ると従姉のゆきのがいた。
「ゆき姉来てたんだ、どうしたの?」
「おかえり翔ちゃん、今日はまどかちゃんに用があって来たの、ほらウチの学校の学園祭がもうすぐでしょ、その打ち合わせにね」
「あぁ、もうそんな時期なんだね」
ゆき姉は僕たちの通っていた学校の教師をしている。
まどかさんの事務所はイベント運営も手掛けているので学園祭の司会進行などを担っているのだ。
「社長と直接話してもいいんだけど最近あいつ忙しくて捕まんなくてさぁ…まぁ、まどかちゃんはもう身内みたいなものだしね」
まどかさんの事務所の社長はゆき姉の同級生で親友だ。
元々は街の広告屋だった実家の家業を多方面に拡げた人である。
そしてまどかさんをこの世界に引き込んだ張本人だ。
「おかえりなさい、今お茶入れるわね」
まどかさんがキッチンへ立ったのをみてゆき姉が声をひそめて言った。
「あなた達そろそろ籍入れてもいいんじゃないの?いつまでも待たせるのもかわいそうだし、あやもあきらめが付くからね」
「…」
ゆき姉の妹あやちゃんは僕の2歳下なので学校でも顔を合わせることが多く、よく一緒に遊んでいた。
今は神社の巫女として奉仕していて近くに住んでいるので今でもときどき遊びに来る。
僕がまどかさんと暮らし始めたのは彼女にとって複雑だっただろうと思うが、まどかさんとも仲が良く二人で一緒に出かけることもあるから不思議なものだ。
ゆき姉たちの母親が親父の姉で、この街に家を建てたのも伯母さん夫婦が住んでいるというのもあったようだ。
伯母さんはひとりっ子の僕を気遣ってよくゆき姉たちを連れてうちの家に遊びに来ていた。
僕たちはまるで三人兄妹のように仲良しだった。
学生時代から料理に興味のあった僕はよく街の図書館へ料理の本を探しに行っていた。
あやちゃんは神社が好きで中学生になると神道の本を探しに図書館へ来ていたので鉢合わせすることがたびたびあった。
「おにいちゃーん、いっしょに本読も」
「図書館では静かにするんだよ」
「はーい」
ふたりとも学校の図書室ではなかなか置いてない本が目当てなので閲覧室で2人並んで調べ物をするのが恒例となっていた。
そして僕が高校に入ってまもない頃まどかさんのご両親が亡くなり我が家で一緒に暮らすことになった。
最初のころはあやちゃんも遠慮ぎみだったがやがて仲良くなり、まどかさんと二人で出かけることも多くなった。
本人は口にこそしていないが、僕に好意を抱いているのは誰が見ても一目瞭然だった、それだけに今の僕たちの関係をゆき姉なりに心配してくれているのだろう。
ただ救いなのはあやちゃんは今神職の勉強に夢中なことだ、ゆき姉にとってはそうでもないかもしれないが…
そして学園祭当日がやってきた。
お店は休みの日だが、実は僕もゆき姉から頼まれて模擬店の食材確保と下ごしらえの指導をしているので朝から忙しくしていた。
まどかさんは講堂で開催される一連のイベントの司会進行をするのでその準備に追われている。
やがて学園祭の始まる時間になり、まどかさんの声が校内放送で流れたあと、正門が開かれ来場者が続々と入ってきた。
僕は模擬店で下ごしらえの終わった食材を生徒たちに託して講堂へ向かった。
まどかさんのものではなさそうだ、誰か来てるのか?
リビングへ入ると従姉のゆきのがいた。
「ゆき姉来てたんだ、どうしたの?」
「おかえり翔ちゃん、今日はまどかちゃんに用があって来たの、ほらウチの学校の学園祭がもうすぐでしょ、その打ち合わせにね」
「あぁ、もうそんな時期なんだね」
ゆき姉は僕たちの通っていた学校の教師をしている。
まどかさんの事務所はイベント運営も手掛けているので学園祭の司会進行などを担っているのだ。
「社長と直接話してもいいんだけど最近あいつ忙しくて捕まんなくてさぁ…まぁ、まどかちゃんはもう身内みたいなものだしね」
まどかさんの事務所の社長はゆき姉の同級生で親友だ。
元々は街の広告屋だった実家の家業を多方面に拡げた人である。
そしてまどかさんをこの世界に引き込んだ張本人だ。
「おかえりなさい、今お茶入れるわね」
まどかさんがキッチンへ立ったのをみてゆき姉が声をひそめて言った。
「あなた達そろそろ籍入れてもいいんじゃないの?いつまでも待たせるのもかわいそうだし、あやもあきらめが付くからね」
「…」
ゆき姉の妹あやちゃんは僕の2歳下なので学校でも顔を合わせることが多く、よく一緒に遊んでいた。
今は神社の巫女として奉仕していて近くに住んでいるので今でもときどき遊びに来る。
僕がまどかさんと暮らし始めたのは彼女にとって複雑だっただろうと思うが、まどかさんとも仲が良く二人で一緒に出かけることもあるから不思議なものだ。
ゆき姉たちの母親が親父の姉で、この街に家を建てたのも伯母さん夫婦が住んでいるというのもあったようだ。
伯母さんはひとりっ子の僕を気遣ってよくゆき姉たちを連れてうちの家に遊びに来ていた。
僕たちはまるで三人兄妹のように仲良しだった。
学生時代から料理に興味のあった僕はよく街の図書館へ料理の本を探しに行っていた。
あやちゃんは神社が好きで中学生になると神道の本を探しに図書館へ来ていたので鉢合わせすることがたびたびあった。
「おにいちゃーん、いっしょに本読も」
「図書館では静かにするんだよ」
「はーい」
ふたりとも学校の図書室ではなかなか置いてない本が目当てなので閲覧室で2人並んで調べ物をするのが恒例となっていた。
そして僕が高校に入ってまもない頃まどかさんのご両親が亡くなり我が家で一緒に暮らすことになった。
最初のころはあやちゃんも遠慮ぎみだったがやがて仲良くなり、まどかさんと二人で出かけることも多くなった。
本人は口にこそしていないが、僕に好意を抱いているのは誰が見ても一目瞭然だった、それだけに今の僕たちの関係をゆき姉なりに心配してくれているのだろう。
ただ救いなのはあやちゃんは今神職の勉強に夢中なことだ、ゆき姉にとってはそうでもないかもしれないが…
そして学園祭当日がやってきた。
お店は休みの日だが、実は僕もゆき姉から頼まれて模擬店の食材確保と下ごしらえの指導をしているので朝から忙しくしていた。
まどかさんは講堂で開催される一連のイベントの司会進行をするのでその準備に追われている。
やがて学園祭の始まる時間になり、まどかさんの声が校内放送で流れたあと、正門が開かれ来場者が続々と入ってきた。
僕は模擬店で下ごしらえの終わった食材を生徒たちに託して講堂へ向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


