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just married <1>
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寒い日が続いたある日、オーナーから電話で話があるからお店に行くと連絡があった。
弦さんのタクシーでお店に着いたオーナーは少し疲れた様子だった。
「翔太郎くん、突然ですまないね」
「いえ大丈夫です、お身体いかがですか?」
「こう冷えるとやはりキツイな、家内もまいってるよ」
「そうですか、気をつけてくださいね」
しばらくお互いの近況の話をしているとオーナーが切り出した。
「翔太郎くん、実はね、そろそろ老人ホームへ入ろうと思ってるんだ」
「そうなんですか?」
「わたしも家内もいよいよ身体が動かなくなってきてね、家事も満足にできなくなってきているんだ、家内は外出も車椅子でないと難しいんだよ」
「息子さんは何と?」
「息子はあてにしてない、だから老人ホームへ入る」
「僕に出来ることは何かありますか?」
「いやいや、これ以上君の手を煩わすのは申し訳ない、むしろ店を託せたことを幸運に思うよ」
「そうですか…」
「わたしも残り少ない人生だ、悔いの残らないようにしたい…そこでだ、店の土地建物全て君に譲ることにした」
「えっ?」
「もしこのままでわたしに何かあればこの店の権利は息子へ行く、そうなるとこの店を続けていくのも難しくなるかもしれん、だから今のうちに翔太郎くん、君に渡しておこうと思う」
「だけど賃料は?」
「心配ない、もう充分だ…貯えもあるしあとは年金でやって行ける」
「わかりました」
「書類の手配は代書屋に任せてるから近いうちに持って来させるよ」
これは大変なことになった…
そう思うと同時にいいタイミングかもしれないな、と思った。
数日後、代書屋=行政書士事務所の人が書類を持ってお店にやってきた。
説明を受けながら印鑑を押していく。
「あとは役所に提出すれば全て完了です、手続きが終わったら書類お持ちしますね」
そう言って帰って行った。
その日家に帰ってまどかさんに説明した。
最初は驚いていたが、納得した様子だった。
続けて僕は切り出した。
「それでさ…いい機会だから籍入れようか?」
「えっ?」
「結婚しよう」
まどかさんは驚いてしばらくうつむいていた。
「どうしたの?」
「…しい…れしい…うれしい!やっと言ってくれた‼︎」
まどかさんが抱きついてきた。
それから僕たちは結婚式について話し合った、式そのものは二人だけでしようと考えていた。
…というのもご両親のお葬式で親父が啖呵切ったせいでまどかさんの親戚とは疎遠になってしまい、参列してもらえる可能性が低いからだ、そうなると参列者がアンバランスになるからそれなら式は二人だけにして結婚披露パーティーを開くというかたちにしたかった。
これにはまどかさんも納得してくれた、あとは張本人の親父を説き伏せるだけだ。
パーティーは調理師学校の同期が少し大きなホテルに勤めているのでそこのパンケット会場を使わせてもらうことにした。
翌日、親父に「大事な話があるから電話する」とだけメールで連絡した。
返信で手の空きそうな時間を送ってくれたのでそれに合わせて電話をかける。
「ようやく結婚する気になったか、それで?」
僕は式のプランを親父に話した。
「お前がそう決めたんならそれでいい、確かに原因を作ったのは俺だからな」
意外にもあっさり納得してくれた。
「パーティーの日程が決まったら早めに教えてくれ、帰国の準備をするから」
難関は無事突破した。
こうして着々と準備は進みいよいよ当日を迎えた。
弦さんのタクシーでお店に着いたオーナーは少し疲れた様子だった。
「翔太郎くん、突然ですまないね」
「いえ大丈夫です、お身体いかがですか?」
「こう冷えるとやはりキツイな、家内もまいってるよ」
「そうですか、気をつけてくださいね」
しばらくお互いの近況の話をしているとオーナーが切り出した。
「翔太郎くん、実はね、そろそろ老人ホームへ入ろうと思ってるんだ」
「そうなんですか?」
「わたしも家内もいよいよ身体が動かなくなってきてね、家事も満足にできなくなってきているんだ、家内は外出も車椅子でないと難しいんだよ」
「息子さんは何と?」
「息子はあてにしてない、だから老人ホームへ入る」
「僕に出来ることは何かありますか?」
「いやいや、これ以上君の手を煩わすのは申し訳ない、むしろ店を託せたことを幸運に思うよ」
「そうですか…」
「わたしも残り少ない人生だ、悔いの残らないようにしたい…そこでだ、店の土地建物全て君に譲ることにした」
「えっ?」
「もしこのままでわたしに何かあればこの店の権利は息子へ行く、そうなるとこの店を続けていくのも難しくなるかもしれん、だから今のうちに翔太郎くん、君に渡しておこうと思う」
「だけど賃料は?」
「心配ない、もう充分だ…貯えもあるしあとは年金でやって行ける」
「わかりました」
「書類の手配は代書屋に任せてるから近いうちに持って来させるよ」
これは大変なことになった…
そう思うと同時にいいタイミングかもしれないな、と思った。
数日後、代書屋=行政書士事務所の人が書類を持ってお店にやってきた。
説明を受けながら印鑑を押していく。
「あとは役所に提出すれば全て完了です、手続きが終わったら書類お持ちしますね」
そう言って帰って行った。
その日家に帰ってまどかさんに説明した。
最初は驚いていたが、納得した様子だった。
続けて僕は切り出した。
「それでさ…いい機会だから籍入れようか?」
「えっ?」
「結婚しよう」
まどかさんは驚いてしばらくうつむいていた。
「どうしたの?」
「…しい…れしい…うれしい!やっと言ってくれた‼︎」
まどかさんが抱きついてきた。
それから僕たちは結婚式について話し合った、式そのものは二人だけでしようと考えていた。
…というのもご両親のお葬式で親父が啖呵切ったせいでまどかさんの親戚とは疎遠になってしまい、参列してもらえる可能性が低いからだ、そうなると参列者がアンバランスになるからそれなら式は二人だけにして結婚披露パーティーを開くというかたちにしたかった。
これにはまどかさんも納得してくれた、あとは張本人の親父を説き伏せるだけだ。
パーティーは調理師学校の同期が少し大きなホテルに勤めているのでそこのパンケット会場を使わせてもらうことにした。
翌日、親父に「大事な話があるから電話する」とだけメールで連絡した。
返信で手の空きそうな時間を送ってくれたのでそれに合わせて電話をかける。
「ようやく結婚する気になったか、それで?」
僕は式のプランを親父に話した。
「お前がそう決めたんならそれでいい、確かに原因を作ったのは俺だからな」
意外にもあっさり納得してくれた。
「パーティーの日程が決まったら早めに教えてくれ、帰国の準備をするから」
難関は無事突破した。
こうして着々と準備は進みいよいよ当日を迎えた。
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