花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

文字の大きさ
23 / 31

山の祠の守り神<2>

しおりを挟む
数日後、僕は電話の相手、芝右衛門社長に車で迎えに来てもらって祠へ向かった。

もちろんおばあさんにも来てもらって話を聞くためだ。

「大体のお話はわかりました、こういう関連のことなら私の会社でたくさん扱っていますので任せていただければ」

「ところで社長さん、人を動かす以上費用はもちろんかかるわね、どのくらいかかるか大体のところ教えてもらえんかね?」

おばあさんにそう言われて面食らった表情で社長は電卓を叩き始めた。

「大体このくらいかかりそうですねぇ…」

「わかった、それならなんとかなりそうだからこの話、村の自治会にもっていくわね」

「正直言って助かります…」

「死んだ旦那も小さい会社を経営してたからね、そういうことはきちんとしとかないとね」

「おそれいります」

そしてしばらくして芝右衛門社長から連絡があって祠へ行くと社長が背広姿のお役人らしき人たちと来ていた。

「たけるさん、ここの工事をした業者、杜撰な手続きで工事してたらしくていろいろと問題があるみたいだから関係のお役所と調査することになりましてね」

「どういうことですか?」

「同業者としてお恥ずかしい話ですが、かなりいいかげんな事をしてたようでしてね、見過ごせないのでお役所の方々にも来ていただきました」

社長と一緒に来ていたお役人さんにもらった名刺を見ると建設関係の役所の人たちと警察の人も来ていた。

「ですからしばらく時間がかかりそうです、祠を壊した件についてもしかるべき処置を取りたいと思いますので」

専門外のことなのでよくわからないが、役所を巻き込んで大変なことになるみたいだ…

社長さんたちが帰った後、僕は一人で祠に手を合わせていた、すると頭の中に誰かが話しかけてくる気がした。

「我が眷属よ…」

「誰?」

するとにあと出会った時のように白い煙のようなものがあたりに立ち込めてきた…

「わっ!」

しばらくして煙が晴れると巫女装束を着た少女が姿を現した。

「みずきさん?…いや、小さい?」

「本体と比べるな、わたしの霊力ではこの姿が精一杯なのだ!」

みずきさんをそのまま小さくしたような少女はそう言って口を尖らせた。

「本体ってどういうこと?」

「わたしはこの祠に祀られている龍神の鱗の化身なのだよ、おそらくお主のいうみずきという龍神が本体だろうな」

「どうしてここに?」

「遠い昔のことでよく覚えてはおらんがこの山のお社と関係があるのだよ、だがお社は打ち棄てられ、この祠はかろうじて村人に守られてきた」

そこで僕はふと気がついた。

「にあ…猫又のことは覚えている?」

「ここに住み着いていた猫のことだな、もう生命朽ち果てる寸前だったから少しだけ力を貸してやっただけだ」

そう言って僕の顔をみてはたと気がついた。

「そうか!あの猫の世話をしていたのはお主だったか、どうりで感じるものがあったわけだ」

そう言って小さなみずきさんは微笑んだ。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...