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ちとせ、9歳<2>
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「お仕事って?」
「アイランドパークで写真撮ってるんだ」
「アイランドパーク!」
女の子はびっくりした表情で僕を見た。
「いいなぁ~行ってみたいなぁ…でもお母さんがお店があるから無理って…」
「そうなんだ…」
「お父さんも畑があるし組合?があるから…」
女の子は残念そうな顔をした。
「お兄ちゃんは中でお仕事してるの?」
「いや、外の駐車場で観光バスで来たお客さん相手なんだ」
「ふーん、中に入ったことあるの?」
「一応ね」
僕は関係者向けの内覧で会場の中に入ったことがあった。
「どんな感じなの?教えて」
それから彼女は目を輝かせ僕の話を食い入るように聞いていた。
「やっぱり行きたーい!」
そう言って悔しがった。
現像の仕上がり時間になったので
「ごめんね仕事しなきゃ、また後で来るかもしれないから続きはその時ね」
そう言って中に入った。
結局その日は僕が現像所へ行くことはなかったのだけど、次の日から現像所での待ち時間には駐車場でその女の子、ちとせちゃんといろいろな話をした。
ちとせちゃんの家は現像所の二軒隣で「さんらいず」というお好み焼きのお店を営んでいる。
両親は農業のかたわらお店をしていて、なかなか構ってもらえないらしい。
ちとせちゃんもたまにお店の手伝いをしているがだいたいお店の裏の駐車場で遊んでいる。
小学3年生だが校区が広いうえに近くに同級生がいないのであまり遊びに行けないそうだ。
アイランドパークに連れていってあげたい気持ちはあるけど仕事もあるし、いきなりというのも気が引ける…
仕事が休みの日、寮にいても退屈なので「さんらいず」のある街までバイクを走らせた。
お店の裏の駐車場にちとせちゃんはいた。
「お兄ちゃん?」
「今日はお休みだからゆっくり遊べるよ」
「うれしい~!」
家の近所をちとせちゃんに案内してもらった。
「さんらいず」まで帰ってきて、ちとせちゃんに、
「そろそろ帰るよ、またね」
と言ってバイクに乗ろうとするとお店の勝手口から誰か出てきた。
「お母さん」
「おかえりちぃちゃん、どこ行ってたの?」
「お兄ちゃんと遊んでたの」
「あら、こんにちは」
僕はヘルメットを脱いで挨拶した。
「いつもちとせと遊んでくれてるんですってねぇ、この子ったら家で毎日あなたの話してるのよ…」
「そうなんですか?」
「ほら、この島って若い人少ないでしょ、よっぽどあなたのこと気に入ったみたい」
そう言ってちとせちゃんのお母さんは笑った。
「ありがとう、またいつでも遊んであげてね」
そう言って二人はお店の中に入った。
「アイランドパークで写真撮ってるんだ」
「アイランドパーク!」
女の子はびっくりした表情で僕を見た。
「いいなぁ~行ってみたいなぁ…でもお母さんがお店があるから無理って…」
「そうなんだ…」
「お父さんも畑があるし組合?があるから…」
女の子は残念そうな顔をした。
「お兄ちゃんは中でお仕事してるの?」
「いや、外の駐車場で観光バスで来たお客さん相手なんだ」
「ふーん、中に入ったことあるの?」
「一応ね」
僕は関係者向けの内覧で会場の中に入ったことがあった。
「どんな感じなの?教えて」
それから彼女は目を輝かせ僕の話を食い入るように聞いていた。
「やっぱり行きたーい!」
そう言って悔しがった。
現像の仕上がり時間になったので
「ごめんね仕事しなきゃ、また後で来るかもしれないから続きはその時ね」
そう言って中に入った。
結局その日は僕が現像所へ行くことはなかったのだけど、次の日から現像所での待ち時間には駐車場でその女の子、ちとせちゃんといろいろな話をした。
ちとせちゃんの家は現像所の二軒隣で「さんらいず」というお好み焼きのお店を営んでいる。
両親は農業のかたわらお店をしていて、なかなか構ってもらえないらしい。
ちとせちゃんもたまにお店の手伝いをしているがだいたいお店の裏の駐車場で遊んでいる。
小学3年生だが校区が広いうえに近くに同級生がいないのであまり遊びに行けないそうだ。
アイランドパークに連れていってあげたい気持ちはあるけど仕事もあるし、いきなりというのも気が引ける…
仕事が休みの日、寮にいても退屈なので「さんらいず」のある街までバイクを走らせた。
お店の裏の駐車場にちとせちゃんはいた。
「お兄ちゃん?」
「今日はお休みだからゆっくり遊べるよ」
「うれしい~!」
家の近所をちとせちゃんに案内してもらった。
「さんらいず」まで帰ってきて、ちとせちゃんに、
「そろそろ帰るよ、またね」
と言ってバイクに乗ろうとするとお店の勝手口から誰か出てきた。
「お母さん」
「おかえりちぃちゃん、どこ行ってたの?」
「お兄ちゃんと遊んでたの」
「あら、こんにちは」
僕はヘルメットを脱いで挨拶した。
「いつもちとせと遊んでくれてるんですってねぇ、この子ったら家で毎日あなたの話してるのよ…」
「そうなんですか?」
「ほら、この島って若い人少ないでしょ、よっぽどあなたのこと気に入ったみたい」
そう言ってちとせちゃんのお母さんは笑った。
「ありがとう、またいつでも遊んであげてね」
そう言って二人はお店の中に入った。
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