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8話
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「じゃあ、この部分は誰がまとめる?」
草壁さんが手を挙げながら言う。
「俺がやろうか」と海斗。
「じゃあ、私はデータ整理を担当するね」と永谷くん。
春奈は「私は意見まとめる感じでいいかな」とにこやかに答える。
夏希は、自然に手元のノートにペンを走らせる。
内容は普通の大学のレポート用メモだ。でも、頭の片隅ではずっと春奈の存在がちらつく。
ふと春奈がメモを覗き込むように近づく。
「夏希くん、こういう書き方のほうが分かりやすいかも」
その声、笑顔、仕草……全部、昔のまま。夏希は一瞬、心臓が跳ねた。
(……ダメだ。絶対バレちゃいけない)
必死に平静を装い、少し視線をそらす。
でも、春奈は自然な笑顔でこちらを見ているだけ。
「海斗って、ほんとに落ち着いてるね」と春奈がぽつり。
「まあね」と海斗。
そのやり取りに、夏希は小さく苦笑した。
自分が介在できない場所で、二人は昔のように会話をしている。
授業の最後、教授が「今日はここまで。次回までに各自まとめてきてね」と告げる。
5人は席を立つ。夏希は意識的に春奈から少し距離を取りながらも、視線は自然に彼女に向く。
(……このままじゃ、春奈に本当の自分を見せられない)
心の奥底で、夏希は少しだけ寂しさを感じていた。
でも同時に、愛叶としての自分が少しずつ確立してきている手応えもあった。
講義が終わり、5人は教室を出る。
春奈は無邪気に永谷くんと話しながら歩く。
夏希は海斗と並びながら、わずかに背筋を伸ばす。
(……次は、ホストクラブで会うときまで、この距離を保とう)
そう自分に言い聞かせながら、夏希は微かな春の風を感じた。
草壁さんが手を挙げながら言う。
「俺がやろうか」と海斗。
「じゃあ、私はデータ整理を担当するね」と永谷くん。
春奈は「私は意見まとめる感じでいいかな」とにこやかに答える。
夏希は、自然に手元のノートにペンを走らせる。
内容は普通の大学のレポート用メモだ。でも、頭の片隅ではずっと春奈の存在がちらつく。
ふと春奈がメモを覗き込むように近づく。
「夏希くん、こういう書き方のほうが分かりやすいかも」
その声、笑顔、仕草……全部、昔のまま。夏希は一瞬、心臓が跳ねた。
(……ダメだ。絶対バレちゃいけない)
必死に平静を装い、少し視線をそらす。
でも、春奈は自然な笑顔でこちらを見ているだけ。
「海斗って、ほんとに落ち着いてるね」と春奈がぽつり。
「まあね」と海斗。
そのやり取りに、夏希は小さく苦笑した。
自分が介在できない場所で、二人は昔のように会話をしている。
授業の最後、教授が「今日はここまで。次回までに各自まとめてきてね」と告げる。
5人は席を立つ。夏希は意識的に春奈から少し距離を取りながらも、視線は自然に彼女に向く。
(……このままじゃ、春奈に本当の自分を見せられない)
心の奥底で、夏希は少しだけ寂しさを感じていた。
でも同時に、愛叶としての自分が少しずつ確立してきている手応えもあった。
講義が終わり、5人は教室を出る。
春奈は無邪気に永谷くんと話しながら歩く。
夏希は海斗と並びながら、わずかに背筋を伸ばす。
(……次は、ホストクラブで会うときまで、この距離を保とう)
そう自分に言い聞かせながら、夏希は微かな春の風を感じた。
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