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?節 戻らぬ日々
第188話 2つの道
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目を開けると、知らない天井だった。
頭が。
全身が痛い。
頭を触ると包帯が巻かれている。
服も最後に来ていた服じゃない。
部屋は病室みたい。
そして部屋には、俺1人だけ。
そもそも、何でここにいるんだろう。
俺は必死に最後の記憶を思い出す。
確か……小学校卒業祝いでお父さんとお母さんと車で……。
そこまで思い出したとき。
突然、部屋の扉が開いた。
しかし、入ってきたのはお父さんでもお母さんでもなかった。
「良かった。気が付いたんだな」
赤髪の男の人が俺の顔を見て、そう言った。
でも、俺はこの人を知っている。
俺は恐る恐る、記憶の中にある男の人の名前を口にする。
「ほむらさん……?」
「おぉ。覚えてくれてたのか」
ほむらさん。
お父さんとお母さんと同じ仕事の人。
仕事場の研究所に連れて行ってもらったときに会ったことがある。
お父さんとお母さんの、知り合い。
ほむらさんなら、この部屋にいないお父さんとお母さんを知ってるかもしれない。
そう思って俺は「お父さんとお母さんはどこにいるんですか?」と聞いてみる。
しかし、ほむらさんは静かに首を振った。
そして、辛い現実を俺に告げた。
「君のお父さんとお母さんは、亡くなった。
助かったのは真聡《まさと》君だけだ」
俺はその事実を聞いた瞬間、泣き出してしまった。
嘘だと思いたかった。
でも同じ部屋に居ないことが、ほむらさんの言葉が嘘じゃないって言ってる。
そして俺は。
泣いて。
泣いて。
泣いた。
☆☆☆
どのくらいの時間、泣いていたかはわからない。
だが流石に、俺ももうすぐ中学生。
大人から見たらまだ子供だけど、いつまでも泣いてはいなかった。
そして泣き止んで落ち着いた俺を見て。
ほむらさんが「……今聞くべきではないことは分かってる」と口を開いた。
「だけど、真聡君はあの2人の子供で強い男だと思ったいるからあえて聞く。
君には今、2つの道がある。
1つ目は、お父さんの両親と暮らすこと。
ご両親はいないが、今まで通りの暮らしだ。
2つ目は、両親の遺志を継ぐことだ。
ただ、今までとは違う暮らしになるだろうな」
「お父さんとお母さんの……いし?」
お父さんとお母さんが少し変わった仕事なことは知っていた。
でも、ちゃんとしたことは何も知らなかった。
「難しい話だから、大きくなったら教える」そう言われていた。
「ご両親は、世界を守るための研究をしていたんだ。
その研究していたものは、真聡君なら使えるかも知れない」
「……使えるかも?研究していた物を?
俺も、その研究する人になるとかじゃないんですか?」
俺がそう聞くと、ほむらさんの目が俺から外れた。
そして数秒後。
「……研究所は閉鎖されたんだ」と呟いた。
「ある人は姿を消して、ある人は連絡が取れなくなった。
そしてある夫婦は……」
「……殺されたんですか」
「絶対そうとは言えない。だけど、誰でも信じられる状況じゃないんだ。
研究も、続けていける状態じゃないんだ」
俺はそこで、言葉を失った。
この前まで小学生だった少年には、難しすぎる話だった。
だけど、俺は何もわからないなりに質問をする。
「……俺が継がないと、どうなるんですか」
「真聡君は幸せに暮らせる。
……ただ、遠くない未来に世界は大変なことになるかもしれない」
現実味の無い言葉だった。
だけど、子供は世界の危機とか非日常のモノに憧れ、空想する。
そう言う話を聞いて、何かを想うやつもいると思う。
でも、もうそういう歳でもない。
そんなものが現実的じゃないことぐらいわかってる。
それでも、ほむらさんの言葉にはそれ嘘だとは思えない重みがあった。
子供ながらにそう感じた。
俺は幸せに暮らせる。
幸せがどういう意味かは、まだ分からない。
わからないなりに考えてみる。
俺の、幸せ。
俺には大好きな友達が4人いる。
今は2人が転校してしまって、同じ学校なのは2人だけだけど。
もちろん、その2人とは中学校も同じだ。
同じ学校に行って、また一緒に中学を卒業すると思っていた。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんと暮らせば、その通りに過ごせる。
たぶん、そういう意味だと思う。
でも、それでいいのか。
「『世界が大変なことになるかもしれない』って、どうなるんですか」
「ん~~。具体的に……と聞かれると困るね。
ただ……平和に過ごせなくはなるだろうね」
赤い髪の毛が目立つ頭をかきながら、そう答えてくれた焔さん。
平和に過ごせなくはなる。
「……それは、俺みたいな人が増えるってことですか」
「そう……だね。
『大切な人をある日突然失う』という意味では間違ってないかもね」
……それは、駄目だ。
「人は笑って生きていくべき」
「人は幸せになるために生まれてきている」
「人は他人に迷惑をかけない程度に好きなことをして生きていくべき」
俺はお父さんとお母さんにいろんなことを言われてきた。
だから、自分なりに周りの人たちが笑顔でいられるように行動してきた。
大切な人を突然失う。
そんなことが起きたら、人によっては立ち直れないと思う。
俺だって今、押しつぶされそうだから。
そんな俺に何ができるかわからない。
でも、そんな世の中になるのを俺が防げるなら。
お父さんとお母さんの遺志を継げるなら。
俺は、その道を選びたい。
……もう、4人と会えなくても。
それよりも俺は。
俺みたいな人が、増えて欲しくないから。
「……俺、やります。
俺に何ができるかはわからないです。
でも、できることがしたいです」
「……そうか。じゃあこれから忙しくなるな。通う学校も変わる」
「……どこの学校になるんですか?」
「国立《こくりつ》魔師学院《がくいん》。選ばれたものしか通えない秘密の学校だ」
頭が。
全身が痛い。
頭を触ると包帯が巻かれている。
服も最後に来ていた服じゃない。
部屋は病室みたい。
そして部屋には、俺1人だけ。
そもそも、何でここにいるんだろう。
俺は必死に最後の記憶を思い出す。
確か……小学校卒業祝いでお父さんとお母さんと車で……。
そこまで思い出したとき。
突然、部屋の扉が開いた。
しかし、入ってきたのはお父さんでもお母さんでもなかった。
「良かった。気が付いたんだな」
赤髪の男の人が俺の顔を見て、そう言った。
でも、俺はこの人を知っている。
俺は恐る恐る、記憶の中にある男の人の名前を口にする。
「ほむらさん……?」
「おぉ。覚えてくれてたのか」
ほむらさん。
お父さんとお母さんと同じ仕事の人。
仕事場の研究所に連れて行ってもらったときに会ったことがある。
お父さんとお母さんの、知り合い。
ほむらさんなら、この部屋にいないお父さんとお母さんを知ってるかもしれない。
そう思って俺は「お父さんとお母さんはどこにいるんですか?」と聞いてみる。
しかし、ほむらさんは静かに首を振った。
そして、辛い現実を俺に告げた。
「君のお父さんとお母さんは、亡くなった。
助かったのは真聡《まさと》君だけだ」
俺はその事実を聞いた瞬間、泣き出してしまった。
嘘だと思いたかった。
でも同じ部屋に居ないことが、ほむらさんの言葉が嘘じゃないって言ってる。
そして俺は。
泣いて。
泣いて。
泣いた。
☆☆☆
どのくらいの時間、泣いていたかはわからない。
だが流石に、俺ももうすぐ中学生。
大人から見たらまだ子供だけど、いつまでも泣いてはいなかった。
そして泣き止んで落ち着いた俺を見て。
ほむらさんが「……今聞くべきではないことは分かってる」と口を開いた。
「だけど、真聡君はあの2人の子供で強い男だと思ったいるからあえて聞く。
君には今、2つの道がある。
1つ目は、お父さんの両親と暮らすこと。
ご両親はいないが、今まで通りの暮らしだ。
2つ目は、両親の遺志を継ぐことだ。
ただ、今までとは違う暮らしになるだろうな」
「お父さんとお母さんの……いし?」
お父さんとお母さんが少し変わった仕事なことは知っていた。
でも、ちゃんとしたことは何も知らなかった。
「難しい話だから、大きくなったら教える」そう言われていた。
「ご両親は、世界を守るための研究をしていたんだ。
その研究していたものは、真聡君なら使えるかも知れない」
「……使えるかも?研究していた物を?
俺も、その研究する人になるとかじゃないんですか?」
俺がそう聞くと、ほむらさんの目が俺から外れた。
そして数秒後。
「……研究所は閉鎖されたんだ」と呟いた。
「ある人は姿を消して、ある人は連絡が取れなくなった。
そしてある夫婦は……」
「……殺されたんですか」
「絶対そうとは言えない。だけど、誰でも信じられる状況じゃないんだ。
研究も、続けていける状態じゃないんだ」
俺はそこで、言葉を失った。
この前まで小学生だった少年には、難しすぎる話だった。
だけど、俺は何もわからないなりに質問をする。
「……俺が継がないと、どうなるんですか」
「真聡君は幸せに暮らせる。
……ただ、遠くない未来に世界は大変なことになるかもしれない」
現実味の無い言葉だった。
だけど、子供は世界の危機とか非日常のモノに憧れ、空想する。
そう言う話を聞いて、何かを想うやつもいると思う。
でも、もうそういう歳でもない。
そんなものが現実的じゃないことぐらいわかってる。
それでも、ほむらさんの言葉にはそれ嘘だとは思えない重みがあった。
子供ながらにそう感じた。
俺は幸せに暮らせる。
幸せがどういう意味かは、まだ分からない。
わからないなりに考えてみる。
俺の、幸せ。
俺には大好きな友達が4人いる。
今は2人が転校してしまって、同じ学校なのは2人だけだけど。
もちろん、その2人とは中学校も同じだ。
同じ学校に行って、また一緒に中学を卒業すると思っていた。
お祖父ちゃんとお祖母ちゃんと暮らせば、その通りに過ごせる。
たぶん、そういう意味だと思う。
でも、それでいいのか。
「『世界が大変なことになるかもしれない』って、どうなるんですか」
「ん~~。具体的に……と聞かれると困るね。
ただ……平和に過ごせなくはなるだろうね」
赤い髪の毛が目立つ頭をかきながら、そう答えてくれた焔さん。
平和に過ごせなくはなる。
「……それは、俺みたいな人が増えるってことですか」
「そう……だね。
『大切な人をある日突然失う』という意味では間違ってないかもね」
……それは、駄目だ。
「人は笑って生きていくべき」
「人は幸せになるために生まれてきている」
「人は他人に迷惑をかけない程度に好きなことをして生きていくべき」
俺はお父さんとお母さんにいろんなことを言われてきた。
だから、自分なりに周りの人たちが笑顔でいられるように行動してきた。
大切な人を突然失う。
そんなことが起きたら、人によっては立ち直れないと思う。
俺だって今、押しつぶされそうだから。
そんな俺に何ができるかわからない。
でも、そんな世の中になるのを俺が防げるなら。
お父さんとお母さんの遺志を継げるなら。
俺は、その道を選びたい。
……もう、4人と会えなくても。
それよりも俺は。
俺みたいな人が、増えて欲しくないから。
「……俺、やります。
俺に何ができるかはわからないです。
でも、できることがしたいです」
「……そうか。じゃあこれから忙しくなるな。通う学校も変わる」
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