元社畜の断罪回避計画

クローライ

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始まりの朝

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行動を変えようと決意したはいいものの何から始めるべきだろうか。笑顔で挨拶とかか?多分ギルバートの顔でやると逆に何か企んでいると勘違いされそうである。

一方のユリウスは、さすが攻略対象だけあって王道ど真ん中のイケメンだ。金髪に蒼眼、涼しげな顔立ちはまるで王子の様である。どう考えても女子にモテそうだが、魔力がないため最初バカにされているという設定だったはずだ。

とにかく、まずは記憶を無くしたフリで切り抜けよう。などと考えているうちに部屋の扉がノックされた。

「加減は、いかがでしょうか」  
ユリウスが声をかけてきた。表情がない目を向けられ、ちょっと良心が痛む。

「ああ、大丈夫だ…だが、少し記憶が混乱していてな」  
そう返すと、ユリウスは眉をわずかに寄せ、「それでは、医師をお呼びいたしましょうか」と申し出てきた。思わず頷きそうになったがすんでのところで思い出した。

ここのお抱えの医者はヤブ医者である。というか伯爵家全体が腐敗しており記憶をなくしたとバレたらどう扱われるかわかったものじゃない。

「……いや、問題ない。落ち着いてきている」

そう取り繕うと、ユリウスはそれ以上詮索せず、淡々と朝の支度を進めていった。俺は少し冷たかったかなどとソワソワしているうちに気づけば、髪のセットから着替えまで、すべて終わっていた。

従者としての仕事も完璧だし、剣の腕も高い。なのに、魔力がないだけでギルバートを始め周りから冷遇されている状況だ。もちろんこんなに優秀ではなかったが、なんだか俺の社畜時代を思い出し可哀想に感じてしまう。

「ありがとう」ぼそりと言った俺にユリウスはわずかに目を丸くして、それから小さく首を横に振った。  
「いえ、何も」一見いつもと同じ様子だが、少しだけ表情が和らいだ気がした。
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