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40.政略結婚の真相(2)
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何かがおかしいです。心臓がバクバクして来ました。
「……子爵と会える場を作ってもらった。
子供達を大切に育ててくれる女性を希望していること。申し訳ないが、爵位は長男に継がせることが決まっていること。その代わり、持参金は要らないし、弟君が学園に通う3年間は資金援助もするからと話をした。
彼は二つ返事で喜んでいたが……
君の気持ちを聞いていないし、子供達にも会ってみて欲しかったし……」
……駄目です。これ以上、聞いてはいけない気がします……。
「だから、まずはうちに来て、子供と会ってほしい。必要なら、世話人としての給料を払ってもいいからとお願いした。子爵はそんな必要は無いと言っていたが……。
すぐにでも向かわせるから、まずは私が本気だという証明の為に手付金を払うように言われて」
「ストップ!ちょっと待って下さいっ!!」
無理……本当に無理です!
コレってすべて私の父が悪いという話ですか!
要するに、すぐに結婚なんて話じゃなかったのですね?まずは顔見せを兼ねて、世話人として馴染んで欲しいという話で……
門番への伝令は何も間違っていなかったと。
なのに、いきなり嫁だと言って私が押しかけて来たのですか。
……言って下さい。その時に言ってほしかったですっ!お前は間違っているとっ!!
「……私達は子爵に騙されていたようです」
お願いですから、私は共犯ではないと信じて頂けないでしょうか。
「……騙す……とは?」
キョトンとしないで。旦那様は詐欺にあったのですよ。これは結婚詐欺ですわ。
「私は父に結婚が決まったと言われました」
「……は?」
「だから、翌日には出発するようにと言われ、翌朝、本当に追い出されました」
「は!?」
「朝ごはんすら食べれなくて、なんなら、その時にはまだお相手の方のお名前すら聞いていませんでしたわ」
「……」
「3年間の援助の話はそもそも聞いていませんでしたので、弟の為だということも今初めて知りました。
……私は、貴方にお金で買われた、見せかけの妻だと……ずっと思っておりました」
「……だから、お買上げ下さりありがとうございます……なのか」
……言いましたね、そんな嫌味を。
ああ…、今すぐ消えたいです。
「それは……確かに酷い加害者だ」
「……あの、お詫びの仕様もなく……」
もしかして、白い結婚も全部間違いかしら。
食い違っていたのに、何となく会話が成り立ってしまった恐ろしい事態です。
諦めて荒んでいた私と、口下手で嫌われるのに慣れていた旦那様。強欲オヤジの良い様に騙されてしまったようです。
「とりあえず、子爵家への援助は打ち切って下さい」
「……いや、それでは弟君が困るだろう。それはこのままでいい」
「ですが、それでは!」
「突然打ち切れば弟君が学園に通えなくなるかもしれない。そうだろう?」
「それは……」
確かに、資金がなければ学園の授業料も寮費も払えません。もう、退学するしか……
「お話し中失礼致します。少しよろしいでしょうか」
ノーラン?すっかり存在を忘れていましたよ。
「……何だ」
「ホワイト様に相談した方がいいのではありませんか?たぶん、お二人はそういった対処には向いていないように思われます」
「……貴方って人は本当に……」
ええ、そうですね。向いていませんよ。法律とかよく分かりませんもの。でも、言い方というものがあると思うのです。
「……そうだな。子爵家への対応をホワイトに相談して見直そう。弟君の援助は続けたいが、子爵への処罰は必要だ。子爵家を潰さず、彼だけ省けるようにしなくてはな」
何だか殺しそうに聞こえます。気のせいでしょうか。
「……本当に申し訳ありません」
「君のせいじゃない。私が……何かおかしいと思いながらも、そのまま流してしまったことが原因だ」
それは……うん。だいぶおかしいかったですよね。よくスルーしましたね?
だから同居人と言った時、妻だろうと怒っていたのですね。そうだわ。詐欺だと言われもしました。あの時は腹が立ちましたが、本当に詐欺だったなんて……
「すまん。話の続きは明日でもいいだろか。少し、頭の中を整理したい」
そうですね。ちょっと疲れてしまいました。
でも、ひとつだけ。
「旦那様はダイアナ様との再婚をお望みですか?」
「……意地悪だな、君は。それが無理なことは、きっとコンラッドですら気が付いているよ」
「そうですか。でも……ちゃんと確認しないと恐ろしいことが起こると知ったばかりですので」
「ハハッ、確かに」
……笑ったのを初めて見てしまいました。
でも、出来ればそんな泣きそうな笑い顔ではない方が良かった。
「ホワイトには私が話をする」
「では、私はダイアナ様とお話をしてもいいでしょうか」
「……任せる」
「はい。では、おやすみなさい」
「……ああ、おやすみ」
ノーランと二人、無言で廊下を歩きます。
なんだか訳が分かりません。なぜこんなことに。
「……よかったですね」
「何が……」
一体、何がよかったと……
「ミッシェル様は幸せになれますよ」
「……なんですか、それは」
おかしいです。何故か胸がぐちゃぐちゃにされた気分で、なんだか痛いような……切ないような……
「問題はまだありますが、お二人は正式な婚姻だったのです。もう、偽物だと馬鹿にされることもありません。
いえ、既に本当の夫人として認められておりますが」
「……それが私の幸せ?」
「お嬢様達もきっと喜ばれます。最初は多少戸惑ったりなさるでしょうが、今の貴方なら大丈夫ですよ」
……なぜ、突き放された気持ちになるのでしょう。
ノーランはいつも通り、正しい事を言っているだけです。それなのに……
どうしてでしょうか。私は寂しい。そう感じてしまいました。
「……子爵と会える場を作ってもらった。
子供達を大切に育ててくれる女性を希望していること。申し訳ないが、爵位は長男に継がせることが決まっていること。その代わり、持参金は要らないし、弟君が学園に通う3年間は資金援助もするからと話をした。
彼は二つ返事で喜んでいたが……
君の気持ちを聞いていないし、子供達にも会ってみて欲しかったし……」
……駄目です。これ以上、聞いてはいけない気がします……。
「だから、まずはうちに来て、子供と会ってほしい。必要なら、世話人としての給料を払ってもいいからとお願いした。子爵はそんな必要は無いと言っていたが……。
すぐにでも向かわせるから、まずは私が本気だという証明の為に手付金を払うように言われて」
「ストップ!ちょっと待って下さいっ!!」
無理……本当に無理です!
コレってすべて私の父が悪いという話ですか!
要するに、すぐに結婚なんて話じゃなかったのですね?まずは顔見せを兼ねて、世話人として馴染んで欲しいという話で……
門番への伝令は何も間違っていなかったと。
なのに、いきなり嫁だと言って私が押しかけて来たのですか。
……言って下さい。その時に言ってほしかったですっ!お前は間違っているとっ!!
「……私達は子爵に騙されていたようです」
お願いですから、私は共犯ではないと信じて頂けないでしょうか。
「……騙す……とは?」
キョトンとしないで。旦那様は詐欺にあったのですよ。これは結婚詐欺ですわ。
「私は父に結婚が決まったと言われました」
「……は?」
「だから、翌日には出発するようにと言われ、翌朝、本当に追い出されました」
「は!?」
「朝ごはんすら食べれなくて、なんなら、その時にはまだお相手の方のお名前すら聞いていませんでしたわ」
「……」
「3年間の援助の話はそもそも聞いていませんでしたので、弟の為だということも今初めて知りました。
……私は、貴方にお金で買われた、見せかけの妻だと……ずっと思っておりました」
「……だから、お買上げ下さりありがとうございます……なのか」
……言いましたね、そんな嫌味を。
ああ…、今すぐ消えたいです。
「それは……確かに酷い加害者だ」
「……あの、お詫びの仕様もなく……」
もしかして、白い結婚も全部間違いかしら。
食い違っていたのに、何となく会話が成り立ってしまった恐ろしい事態です。
諦めて荒んでいた私と、口下手で嫌われるのに慣れていた旦那様。強欲オヤジの良い様に騙されてしまったようです。
「とりあえず、子爵家への援助は打ち切って下さい」
「……いや、それでは弟君が困るだろう。それはこのままでいい」
「ですが、それでは!」
「突然打ち切れば弟君が学園に通えなくなるかもしれない。そうだろう?」
「それは……」
確かに、資金がなければ学園の授業料も寮費も払えません。もう、退学するしか……
「お話し中失礼致します。少しよろしいでしょうか」
ノーラン?すっかり存在を忘れていましたよ。
「……何だ」
「ホワイト様に相談した方がいいのではありませんか?たぶん、お二人はそういった対処には向いていないように思われます」
「……貴方って人は本当に……」
ええ、そうですね。向いていませんよ。法律とかよく分かりませんもの。でも、言い方というものがあると思うのです。
「……そうだな。子爵家への対応をホワイトに相談して見直そう。弟君の援助は続けたいが、子爵への処罰は必要だ。子爵家を潰さず、彼だけ省けるようにしなくてはな」
何だか殺しそうに聞こえます。気のせいでしょうか。
「……本当に申し訳ありません」
「君のせいじゃない。私が……何かおかしいと思いながらも、そのまま流してしまったことが原因だ」
それは……うん。だいぶおかしいかったですよね。よくスルーしましたね?
だから同居人と言った時、妻だろうと怒っていたのですね。そうだわ。詐欺だと言われもしました。あの時は腹が立ちましたが、本当に詐欺だったなんて……
「すまん。話の続きは明日でもいいだろか。少し、頭の中を整理したい」
そうですね。ちょっと疲れてしまいました。
でも、ひとつだけ。
「旦那様はダイアナ様との再婚をお望みですか?」
「……意地悪だな、君は。それが無理なことは、きっとコンラッドですら気が付いているよ」
「そうですか。でも……ちゃんと確認しないと恐ろしいことが起こると知ったばかりですので」
「ハハッ、確かに」
……笑ったのを初めて見てしまいました。
でも、出来ればそんな泣きそうな笑い顔ではない方が良かった。
「ホワイトには私が話をする」
「では、私はダイアナ様とお話をしてもいいでしょうか」
「……任せる」
「はい。では、おやすみなさい」
「……ああ、おやすみ」
ノーランと二人、無言で廊下を歩きます。
なんだか訳が分かりません。なぜこんなことに。
「……よかったですね」
「何が……」
一体、何がよかったと……
「ミッシェル様は幸せになれますよ」
「……なんですか、それは」
おかしいです。何故か胸がぐちゃぐちゃにされた気分で、なんだか痛いような……切ないような……
「問題はまだありますが、お二人は正式な婚姻だったのです。もう、偽物だと馬鹿にされることもありません。
いえ、既に本当の夫人として認められておりますが」
「……それが私の幸せ?」
「お嬢様達もきっと喜ばれます。最初は多少戸惑ったりなさるでしょうが、今の貴方なら大丈夫ですよ」
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