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64.旅立ち
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ダイアナさんが王都に出発する日が来ました。
エイディーさんが補助の為に同乗してくれるので、道中に問題はないでしょう。
彼女は最後にようやく、グレン様に謝罪をしました。
「ずっと貴方を傷付けてばかりだったわ。本当にごめんなさい。貴方がくれる愛を当たり前だと思っていたの。そんなはずないのに……。
こんな私にやり直すチャンスをくれてありがとう。子供達に恥ずかしくない生き方が出来るように頑張るわ」
「私が貴方に会うのはこれで最後です。どうか、後悔の無いように、必死に生きて下さい」
「……ええ。子供達をよろしくね。貴方達の幸せを祈っているわ」
グレン様は許しの言葉は伝えませんでした。
それは、ダイアナ様にとって罰であり、救いにもなるでしょう。
与えてばかりは駄目だと言った私の言葉をちゃんと聞いてくれたのかしら。
そして、意外なことにノーランにまで感謝の言葉を伝えていました。
「貴方の大切なことと誇りを教えてくれてありがとう。私がこれから身につける必要のあることだった。感謝するわ」
「そうですね。貴方は誘惑に弱そうだから。まあ、頑張って下さい。お嬢様達の為に」
「……可愛くないわね。でも、肝に銘じるわ」
ノーランの大切なこととは何かしら。少し気になります。
「ミッシェル、貴方にも謝罪と感謝を。
迷惑をかけてごめんなさい。でも、子供達を守ってくれてありがとう。グレンを癒やしてくれてありがとう。私の話を聞いてくれて嬉しかったわ」
「いいえ。自分の為にやったことです」
「それでもよ。これからもあの子達のこと、よろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げられました。
「もちろんです。私が家族になることを認めて下さってありがとうございました」
ダイアナさんが潔く手放してくれたから。自分の為に縋り付くことをしなかったから。
間違ってしまったけれど、それでも彼女は家族を愛していた。あんなことを言っていたけれど、本当はグレン様のことも愛していたのではないかしら。
でも、それは聞きません。私が触れていいことではありませんから。
「子供達に会わなくていいのですか?」
「……昨日、ちゃんとお別れをしたわ。今、子供達に会ったら、行きたくないっ!って大泣きして駄々を捏ねる自信があるもの」
「美人は泣いても美人ですよ」
「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない?
でも駄目。もう、私は手を離したのだから」
「……分かりました。どうか無理せず、お体に気をつけて下さいね」
「ふふっ、お人好しのミッシェル。あの子達が出会ったのが貴方で本当によかった。どうか幸せに」
優しく抱きしめてくれるダイアナさんは、何だかお母様みたい。
行きとは違い、杖をつきながらゆっくりと、でも自分だけの力で歩いていきます。
貴族として生まれ育ってきたダイアナさんにはかなり辛い生活になるでしょう。それでも。
「応援していますね」
「まかせて。出来る女だって見せてやるわ」
あら格好いいですね。新生ダイアナさんが楽しみです。
馬車に乗り込み、走り出そうとした時、
「まって!」
子供達が息を切らせて走って来ました。
「ダイアナ母さま、いってらっしゃいっ!」
「頑張ってね、応援してるわっ!絶対、会いに行くからっ!」
走りながら大声で叫んでいます。
「…もう、泣いちゃうって言ったじゃない…」
さっきまでの格好いいダイアナさんはすっかり消えて、涙をボロボロと流しています。
泣いちゃう発言は本当だったみたいです。
「だいすきっ、がんばるから!」
それでも、涙を流しながらも笑顔を作り、子供達に応えてから馬車は走り出しました。
「…いっちゃったね…」
「疲れた~っ!こんなに思いっきり走ったのは初めてよ」
「お疲れ様です。中で冷たいものでもいただきましょうか」
「ほんと?アイス!アイスがいいな~」
「私はオレンジジュース!お父様は何がいい?」
「……では、アイスコーヒーで」
「父さま、コーヒーだいすきだね」
子供達はもう泣きませんでした。こうやって悲しみを乗り越えて大人になっていくのでしょうか。
そういえば、ダイアナさんを『ダイアナ母さま』と呼んでいましたね?
……少し嬉しいかも。だって、同じくらいの立ち位置に来られたようで……いやだわ。私ったらダイアナさんにヤキモチを焼いていたみたいです。
「ミッチェ母さまはなにがいい?」
「そうですね、どれも美味しそうで悩んでしまうわ」
「僕のアイスわけてあげるね!」
「あら素敵ね。それならアイスコーヒーにして、アイスを乗せちゃおうかしら」
平和な一日のはじまり。
ダイアナさんという嵐はこうして過ぎ去って行きました。
エイディーさんが補助の為に同乗してくれるので、道中に問題はないでしょう。
彼女は最後にようやく、グレン様に謝罪をしました。
「ずっと貴方を傷付けてばかりだったわ。本当にごめんなさい。貴方がくれる愛を当たり前だと思っていたの。そんなはずないのに……。
こんな私にやり直すチャンスをくれてありがとう。子供達に恥ずかしくない生き方が出来るように頑張るわ」
「私が貴方に会うのはこれで最後です。どうか、後悔の無いように、必死に生きて下さい」
「……ええ。子供達をよろしくね。貴方達の幸せを祈っているわ」
グレン様は許しの言葉は伝えませんでした。
それは、ダイアナ様にとって罰であり、救いにもなるでしょう。
与えてばかりは駄目だと言った私の言葉をちゃんと聞いてくれたのかしら。
そして、意外なことにノーランにまで感謝の言葉を伝えていました。
「貴方の大切なことと誇りを教えてくれてありがとう。私がこれから身につける必要のあることだった。感謝するわ」
「そうですね。貴方は誘惑に弱そうだから。まあ、頑張って下さい。お嬢様達の為に」
「……可愛くないわね。でも、肝に銘じるわ」
ノーランの大切なこととは何かしら。少し気になります。
「ミッシェル、貴方にも謝罪と感謝を。
迷惑をかけてごめんなさい。でも、子供達を守ってくれてありがとう。グレンを癒やしてくれてありがとう。私の話を聞いてくれて嬉しかったわ」
「いいえ。自分の為にやったことです」
「それでもよ。これからもあの子達のこと、よろしくお願いします」
そう言って深々と頭を下げられました。
「もちろんです。私が家族になることを認めて下さってありがとうございました」
ダイアナさんが潔く手放してくれたから。自分の為に縋り付くことをしなかったから。
間違ってしまったけれど、それでも彼女は家族を愛していた。あんなことを言っていたけれど、本当はグレン様のことも愛していたのではないかしら。
でも、それは聞きません。私が触れていいことではありませんから。
「子供達に会わなくていいのですか?」
「……昨日、ちゃんとお別れをしたわ。今、子供達に会ったら、行きたくないっ!って大泣きして駄々を捏ねる自信があるもの」
「美人は泣いても美人ですよ」
「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない?
でも駄目。もう、私は手を離したのだから」
「……分かりました。どうか無理せず、お体に気をつけて下さいね」
「ふふっ、お人好しのミッシェル。あの子達が出会ったのが貴方で本当によかった。どうか幸せに」
優しく抱きしめてくれるダイアナさんは、何だかお母様みたい。
行きとは違い、杖をつきながらゆっくりと、でも自分だけの力で歩いていきます。
貴族として生まれ育ってきたダイアナさんにはかなり辛い生活になるでしょう。それでも。
「応援していますね」
「まかせて。出来る女だって見せてやるわ」
あら格好いいですね。新生ダイアナさんが楽しみです。
馬車に乗り込み、走り出そうとした時、
「まって!」
子供達が息を切らせて走って来ました。
「ダイアナ母さま、いってらっしゃいっ!」
「頑張ってね、応援してるわっ!絶対、会いに行くからっ!」
走りながら大声で叫んでいます。
「…もう、泣いちゃうって言ったじゃない…」
さっきまでの格好いいダイアナさんはすっかり消えて、涙をボロボロと流しています。
泣いちゃう発言は本当だったみたいです。
「だいすきっ、がんばるから!」
それでも、涙を流しながらも笑顔を作り、子供達に応えてから馬車は走り出しました。
「…いっちゃったね…」
「疲れた~っ!こんなに思いっきり走ったのは初めてよ」
「お疲れ様です。中で冷たいものでもいただきましょうか」
「ほんと?アイス!アイスがいいな~」
「私はオレンジジュース!お父様は何がいい?」
「……では、アイスコーヒーで」
「父さま、コーヒーだいすきだね」
子供達はもう泣きませんでした。こうやって悲しみを乗り越えて大人になっていくのでしょうか。
そういえば、ダイアナさんを『ダイアナ母さま』と呼んでいましたね?
……少し嬉しいかも。だって、同じくらいの立ち位置に来られたようで……いやだわ。私ったらダイアナさんにヤキモチを焼いていたみたいです。
「ミッチェ母さまはなにがいい?」
「そうですね、どれも美味しそうで悩んでしまうわ」
「僕のアイスわけてあげるね!」
「あら素敵ね。それならアイスコーヒーにして、アイスを乗せちゃおうかしら」
平和な一日のはじまり。
ダイアナさんという嵐はこうして過ぎ去って行きました。
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