強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ

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裏-2

 カーテンの隙間から差し込む陽の光が、すでに朝を過ぎてかなり経つことを教えてくれている。

「ディオン、そろそろ起きなきゃ」

 彼が腕どころか足まで絡ませてるせいで、起きるに起きれない。
 休みのたびにこの様な自堕落な生活をするのは如何なものか。

「……嫌だ。君を放したくない」

 こら、キスをするな。胸を揉むな。
 夜にあれだけ私を貪ったくせにどうしてもう復活してるの?

「だめ。起きましょう」
「ラシェル好きだ可愛い柔らかいいい匂い好き好き好き」
「本当に放して!トイレに行かせてよ!」

 私の膀胱が限界を迎えている。
 私が本気で拒否していることに気付いたのか、渋々と腕を緩めてくれた。

「おはよう、ラシェル。俺の女神」
「おはっんむっ、」

 だから!そこでなぜ濃厚なキス…っ、止めて~~っ!!

「ん、っは、……もう本当にダメだから」
「じゃあ、すぐに戻って来てくれるか。俺はもっとお前と愛し合いたい……」

 甘~~~~いっ!!!
 ちょっとディオン。騎士様に甘い生活は無いのではなかったかしら?

「イチャイチャはご飯を食べて洗濯してからです」
「そんなっ!?」

 打ちひしがれているディオンから抜け出し、ようやく起き上がることが出来ました。

 トイレと洗顔歯磨きをすませスッキリです。
 でも腹ぺこだわ。
 すぐに食べられるものを作ろう。
 にんじん、キャベツ、玉ねぎをベーコンと一緒に軽く炒めてから蓋をして少し蒸す。少ししたらヒタヒタになるくらいにお水をを入れてもうひと煮立ち。塩胡椒で味を整えたら簡単具沢山スープの出来上がり。
 あとはチーズトーストと…、あ、オレンジを貰ったからそれも食べちゃお。
 オレンジを切っていたらようやくディオンが来ました。

「ラシェルがオレンジの妖精になってる」

 いや、語彙力。貴方の表現は間違ってると思います。

「はい、一切れつまみ食い」

 ディオンの口にオレンジを放り込む。

「どう?甘い?」

 感想が聞きたかったのにキスをされました。

「うん、ラシェルは甘い」

 本当に誰これ。亭主関白どこ行った?

「もうさ、ラシェルがいない人生なんて考えられない」

 変ね、妻を一番には出来ないのではなかったかしら。

「本当?」
「ああ。こうして君を抱きしめられて、君の作ってくれた食事を食べることが出来て……その笑顔を向けられるだけでもう……」

 え!?泣くの?!

「こんな小さな幸せを喜んでくれて嬉しいわ」
「……全然小さくない。これ以上のものは絶対に無い」

 ぐっ、気持ちは嬉しいけどそれ以上きつく抱きしめられると内臓が出ちゃう!

「さあ、では幸せをお腹に詰め込まなきゃ。お皿を出してくれる?」
「ん、了解」

 ちゃっかりもう一度キスしやがりましたが、ちゃんとお皿を出してくれるので良しとします。

「おかわりもあるから」
「絶対に食べる」
「ふふ、よろしく。それでは、」

「「いただきます」」

 それにしてもいいお天気。これ以上家でごろごろするのは勿体無いわね。

「ディオン、洗濯が終わったら出掛けない?
 こんなにもいい天気だもの。デートしましょうよ」
「ラシェルからデートのお誘い!?」
「うん。いや?」
「行く。絶対に行くぞ!食器は俺が洗うよ。洗濯も手伝うから」
「ありがとう!」

 よし、これで午後のイチャイチャは無くなるわね。
 せっかくだから買い物もして、重い物を持ってもらおうかな。うん、そうしよう。

「ディオン、あーん」

 とりあえず賄賂としてオレンジをもう一度。

「……ここは天国か……」

 オレンジ一切れでそこまで?
 お手軽な天国があって羨ましいわ。






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