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「オルティス男爵、どうかお顔を上げてくださいませ」
イメルダ様の声が少し震えている。
「私は父から殿下のお話を聞いた時、父と同じ様に私もいつか殿下のお役に立ちたいと、烏滸がましくもそんな野望を抱いておりましたの。
そんな貴方様に私の覚悟を褒めて頂けるなんて、信じられませんわ。
ずっと……ずっと何も成すことが出来ない、役立たずだと思っておりましたのに」
リカルド様が何か言おうとするのを止める。
まだ。まだ、このままではリカルド様の言葉は届かない。
「なぜ?貴方が役立たずなはずがない」
「ですが」
「ただね、リカルドが格好付けの阿呆だっただけだよ。そうだよね?」
あ、甘やかすだけじゃなかった。
「こいつがね、貴方を守りたいとか、15歳の少女の力を借りるなんてみっともないとか馬鹿な考えをするからいけないんだよ。
無知無能のお姫様じゃないんだから、やるべき仕事を奪われてのんびりしてろと言われても、嬉しいはずがないだろう。
言っておくけど。たぶん領主としての仕事ならイメルダ夫人の方が上だよ」
「え?!」
「夫人、そういった勉強はしているよね。嘘も謙遜も無しで教えてくれる?」
アルは思ったよりも怒っていたみたい。
実際に傷付いている姿を見たら、リカルド様への心配より怒りが上回ったのかな。
「はい。領地運営等は一通り履修済みです」
「ね?だからお前が最初からイメルダ夫人に仕事を任せていたら、もっと楽が出来て自由時間も増えて仲良くもなれたんだよ」
凄いな公爵令嬢。領地運営も習ってるの?
「なぜ彼女がお前の相手に選ばれたと思っているんだ。彼女は王妃教育を終了済みなくらいの教育を受けているよ。昔ベルナルドが自慢してたからね。なんなら兄よりも優秀かもしれないと褒めていた」
「……お父様が、ですか」
「うん。あのベルナルド自慢の娘なんだ。俯いていては駄目だよ」
ベルナルド様のことが本当に好きなのね。子供にそこまで尊敬されるなんて、とても素敵なことだわ。
「イメルダ様、私も少しお話させていただいてもよろしいですか?」
「はい、もちろん」
「お話というより、お願いがあります。
どうか、この国の男尊女卑の考えを変えていきませんか?」
「……男尊女卑……そんなにも他国とは違っていますか」
「そうですね。ウルタードでは女性も職に就いています。私は医療魔法士ですし、私以外にも女性職員は大勢います。城の文官なども女性がいますよ。
もちろん、完全な平等にはまだまだ程遠いところはあります。それでも、男性に意見を言えないなんてことはありません」
「……それはオルティス夫人のお人柄によるものでは無くですか?」
あらら、痛い所を突かれたわ。
「そうですね。私はいまでも両親からお転婆だの気が強いだのと言われていますから、皆さんよりは遠慮なく言ってますね」
「あの、違うのです。貴方様のことは『気高く、何者にも屈しない女神のような人』と聞いていましたの。そんな素晴らしい方だから、皆さんに好かれていて、お話を聞いてもらえるのかと思ったのです」
なに、その恥ずかしい表現は!
「絶対に嘘ですね。私は大勢の男性をハゲ頭にしたせいで怖がられてましたよ?怒らせるとハゲにされるって噂が広まってたからそのせいかも」
「ハゲ頭……生体魔法とはそんな不思議なことが出来るのですね」
なんだかキラキラした目で見られている。
女性には受けがいいのよね。毛根死滅。
「ご希望ならばリカルド様を処置することも出来ますよ?」
「……見てみたい気はしますが我慢します」
意外と乗り気!やっぱり全然か弱くないじゃない。
「こうやって普通に会話が出来ると楽しいですよね。ベルナルド様もご家庭ではそうだったのではありませんか?」
「はい。父は母と私を下に見ることなく、いつも普通にお話して下さいました。でも、それに甘えてはいけないとお母様は仰っていました」
「古から守ってきた伝統を大切にすることは悪い事だとは思いません。でも、それによって辛く、生活がし難いのであれば変えていってもいいと思いませんか?」
男尊女卑なんてあのゴミ屑を喜ばせるだけの考えじゃない。そんなのを守る意味って何よ。
「だいたいね、威張って女を下に見てる最低男だって、その女から生まれているのよ?出産の痛みは男性だとショック死するって言われてるくらいなんだし、もっと私達を敬ってもらったっていいと思わない?」
「そこで区別するから駄目なんじゃないか?男だろうが女だろうが馬鹿な奴も賢いやつもいるんだ」
あら、兄様はいいことを言うわね。
「……変えるだなんて出来るでしょうか」
「すぐには無理ね。何年も何十年もかかることだと思う。でもね、変えようとしない限り一生そのままよ。
貴方はもし娘が生まれたらどうするの?
男性に逆らうな、意見を言うなと育てるの?
自分と同じ思いをする可能性を望むの?」
イメルダ様の声が少し震えている。
「私は父から殿下のお話を聞いた時、父と同じ様に私もいつか殿下のお役に立ちたいと、烏滸がましくもそんな野望を抱いておりましたの。
そんな貴方様に私の覚悟を褒めて頂けるなんて、信じられませんわ。
ずっと……ずっと何も成すことが出来ない、役立たずだと思っておりましたのに」
リカルド様が何か言おうとするのを止める。
まだ。まだ、このままではリカルド様の言葉は届かない。
「なぜ?貴方が役立たずなはずがない」
「ですが」
「ただね、リカルドが格好付けの阿呆だっただけだよ。そうだよね?」
あ、甘やかすだけじゃなかった。
「こいつがね、貴方を守りたいとか、15歳の少女の力を借りるなんてみっともないとか馬鹿な考えをするからいけないんだよ。
無知無能のお姫様じゃないんだから、やるべき仕事を奪われてのんびりしてろと言われても、嬉しいはずがないだろう。
言っておくけど。たぶん領主としての仕事ならイメルダ夫人の方が上だよ」
「え?!」
「夫人、そういった勉強はしているよね。嘘も謙遜も無しで教えてくれる?」
アルは思ったよりも怒っていたみたい。
実際に傷付いている姿を見たら、リカルド様への心配より怒りが上回ったのかな。
「はい。領地運営等は一通り履修済みです」
「ね?だからお前が最初からイメルダ夫人に仕事を任せていたら、もっと楽が出来て自由時間も増えて仲良くもなれたんだよ」
凄いな公爵令嬢。領地運営も習ってるの?
「なぜ彼女がお前の相手に選ばれたと思っているんだ。彼女は王妃教育を終了済みなくらいの教育を受けているよ。昔ベルナルドが自慢してたからね。なんなら兄よりも優秀かもしれないと褒めていた」
「……お父様が、ですか」
「うん。あのベルナルド自慢の娘なんだ。俯いていては駄目だよ」
ベルナルド様のことが本当に好きなのね。子供にそこまで尊敬されるなんて、とても素敵なことだわ。
「イメルダ様、私も少しお話させていただいてもよろしいですか?」
「はい、もちろん」
「お話というより、お願いがあります。
どうか、この国の男尊女卑の考えを変えていきませんか?」
「……男尊女卑……そんなにも他国とは違っていますか」
「そうですね。ウルタードでは女性も職に就いています。私は医療魔法士ですし、私以外にも女性職員は大勢います。城の文官なども女性がいますよ。
もちろん、完全な平等にはまだまだ程遠いところはあります。それでも、男性に意見を言えないなんてことはありません」
「……それはオルティス夫人のお人柄によるものでは無くですか?」
あらら、痛い所を突かれたわ。
「そうですね。私はいまでも両親からお転婆だの気が強いだのと言われていますから、皆さんよりは遠慮なく言ってますね」
「あの、違うのです。貴方様のことは『気高く、何者にも屈しない女神のような人』と聞いていましたの。そんな素晴らしい方だから、皆さんに好かれていて、お話を聞いてもらえるのかと思ったのです」
なに、その恥ずかしい表現は!
「絶対に嘘ですね。私は大勢の男性をハゲ頭にしたせいで怖がられてましたよ?怒らせるとハゲにされるって噂が広まってたからそのせいかも」
「ハゲ頭……生体魔法とはそんな不思議なことが出来るのですね」
なんだかキラキラした目で見られている。
女性には受けがいいのよね。毛根死滅。
「ご希望ならばリカルド様を処置することも出来ますよ?」
「……見てみたい気はしますが我慢します」
意外と乗り気!やっぱり全然か弱くないじゃない。
「こうやって普通に会話が出来ると楽しいですよね。ベルナルド様もご家庭ではそうだったのではありませんか?」
「はい。父は母と私を下に見ることなく、いつも普通にお話して下さいました。でも、それに甘えてはいけないとお母様は仰っていました」
「古から守ってきた伝統を大切にすることは悪い事だとは思いません。でも、それによって辛く、生活がし難いのであれば変えていってもいいと思いませんか?」
男尊女卑なんてあのゴミ屑を喜ばせるだけの考えじゃない。そんなのを守る意味って何よ。
「だいたいね、威張って女を下に見てる最低男だって、その女から生まれているのよ?出産の痛みは男性だとショック死するって言われてるくらいなんだし、もっと私達を敬ってもらったっていいと思わない?」
「そこで区別するから駄目なんじゃないか?男だろうが女だろうが馬鹿な奴も賢いやつもいるんだ」
あら、兄様はいいことを言うわね。
「……変えるだなんて出来るでしょうか」
「すぐには無理ね。何年も何十年もかかることだと思う。でもね、変えようとしない限り一生そのままよ。
貴方はもし娘が生まれたらどうするの?
男性に逆らうな、意見を言うなと育てるの?
自分と同じ思いをする可能性を望むの?」
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