私はあなたの何番目ですか?

ましろ

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「お前は勿体無いことをしたな」

部屋に入るなりミゲル殿が呆れたように言った。勿体無いとはやはりイメルダのことだろう。

「お前ってルシアなんかに惚れるくらいだからああいう芯のしっかりした令嬢は好みだと思ったけど違うんだ?」
「いや!……っ、というか、なぜ知っているんだ」

おかしい。私はルシアが好きだと公言はしていないぞ。

「リカルド。お前の気持ちは結構ダダ漏れだ」
「!」
「そうだね。ガランがショックを受けていたよ。リカルドがルシアに振られたって」
「!!」

何という事だ、なぜ、何時からバレて……

「だから夫人も知っていると思うぞ?」
「……まさか……」

いや、別に失恋しただけで付き合っていたわけでも、イメルダと二股を掛けていたわけでもない。だが……私は振られたから仕方がなく結婚に応じた最低な男だと思われているのか?


「……さっきの勿体無いとはどういう意味か教えてもらえるだろうか」

まだ私の知らない出来事があるのか。

「夫人はお前には何も期待していないぞ。最初からもっと大切にしていればこんな事にはならなかっただろうに。勿体無いことをしたなって意味だ」
「期待されていない?」
「どうしてそんなショックを受けているんだ。最初にお前がしたことだろう。何年も自分を必要としてくれない相手に何時までもそれを望むと思うか?」

蔑ろにしたつもりは無かった。ただ、それは私側の気持ちだ。ちゃんと気持ちを伝えることも、聞くこともしてこなかった。

「リカルド。さっき私は言ったはずだ。彼女は無知無能のお姫様ではない。むしろ聡明で立場をわきまえた令嬢だ。
お前の優しさが他の人へ向けるものと大差なく、能力があるとも思われていないし期待もされていない。そして心では別の女性を思っている。だけど今更離婚など出来ない。
それらすべてを分かっているんだよ」

そんなつもりじゃなかった。
……では、どんなつもりだったんだ?

「忙しい忙しいって騒いでる奴は案外その大変さに酔ってるんだよ。だってそれくらい求められる価値ある人間だということだから。
だからこの三年間、大変だけど充実していただろう。
だが、何も与えられない彼女は?すっげぇ長い3年だっただろうな」

ミゲル殿の言葉がこんなにも胸に突き刺さるのは、それが真実だからだろう。
アルフォンソがいなくなって、代わりに頑張らなくてはと必死だった。アイツのやりたかったことを自分が、と……そうか。どこかで慢心していたんだな。

「……だが、それでも解放してはあげられない」

バシッ

「馬鹿か。夫人をどこまで愚弄するんだ」

ミゲルに頭を殴られる。平手なのは目を覚ませと言うことか。

「違う。そうじゃなくて。事実を言ってるんだ」

私達の結婚は絶対に無かったことには出来ない。平和になる象徴のようなものだから。

「離婚できるならさっさと別れさせて俺が貰っていくのにな」
「はっ?!」
「だってすっげぇいい女だろ?たぶんルシアも同じ事を考えてるぜ」
「確かに。ルシアが好きそうだよね。よかったね、絶対に離婚が無理で。ミゲルとルシアとラファが本気で口説いたら絶対にリカルドの負けだよ」

……英雄になれてよかった……大切なもの全部無くなって生きる希望を失うところだった。

「まあ、虐めるのはこれくらいにして。今後のアドバイスを1つだけしてやる。
もとに戻れると思うな。どれだけ謝罪しても心を入れ替えても、お前がやったことは絶対に無かったことにはならない。
全部抱えて、どう向き合っていくのか考えろ」

くそ、本当にこの人は格好良い。
本気を出されたら絶対に勝てない人だ。

「ありがとうございます。よく考えます」
「言ったな。おまえも明日までの宿題な」

それって……

「まさか、みんなの前で?」
「俺様をここまで引っ張り出しておいて、結果も見せずに帰れだと?嫁も持って帰るぞ」
「どういう脅しだよ!」

本気でやりそうで恐い。
信じられん。全員の前で決意表明。

胃に穴が開きそうだ……



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