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「えっと、ラングロワの姫って何?」
「後でゆっくり説明するよ。とりあえず、姫は侯爵家に帰らなくていいってこと。お前の嫌がることは絶対にしないと誓う。信じてくれ」
「……うん、分かったわ」


なんだかさっぱり分からないけど、ここに残れるなら何でもいいわ。


「凄いのねアンジェ。そんな狂犬を手懐けるだなんて。そう、あなたはもう帰ってこないの。
残念だわ。でも仕方がないわね、ラングロワが出てきたなら無理ですもの。
さて、それじゃあ帰りましょうかお母様」
「……え?」
「どうなさったの?そんなに驚いて」
「あ、あなた、アンジェを置いて帰るつもりなの?!」
「そうねぇ、アンジェと遊べるのをとても楽しみにしていたけど……仕方がないじゃない?狂犬はいらないし、だからここでお別れね」





……私……捨てられた?


どうして……どうしてこんなに胸が苦しいの。
あんなに逃げたかったじゃない。
解放されたのにどうして……どうして泣きたくなるの!


「……お前は!そんなにあっさりと自分の娘を手放すのか!」
「?おかしなことを言うのですね。手放せと言っていたのは陛下達でしょうに。ラングロワだなんて切り札を出したくせに、手を離したらまた文句をつけるんですの?」


……この人には他人の心の痛みなど感じられないのだろう。だから自分の気分のままに追いつめて遊び、いらなくなったら捨てる。

もういい。それなら、


「私もあなたはいらないわ、お母様」
「ふふ、またいつか遊びましょうねアンジェ」


そうやって、あなたはずっと微笑んで生きていくの?


「失礼致します!国王陛下に面会を求める者が来ております!名前をコレット・レスコーと申しております!」


まさか……お父様と思いを交わしていた子爵令嬢?!


「どうやらまだ帰れそうもないな?せっかくの客人だ。ここに通してくれ」






あの方が、お父様が愛した女性……


「無事だったのだな、レスコー嬢」
「謁見をお許しくださり感謝申し上げます。先程レスコーの姓を名乗りましたが、現在は平民です。ただのコレットにございます」


飾り気のない質素なワンピースに、化粧っ気も無く。それでもそれが逆に清楚な雰囲気に感じられる女性だ。


「さて、どの様な用件で参ったのだ」
「……幼い子供に聞かせる内容ではございません」


チラリとこちらに視線を寄越す。


「アンジェリーク。リリアン嬢にフルール達を紹介してあげたらどうかな?」
「……私はここに残りたいと思います」
「そうか。リリアン嬢、外に子犬がいるぞ。一緒に遊んでおいで」


そう言って、衛兵に連れて行かせた。


「さあ、聞こうか」
「……はい。私の愚かな罪を聞いていただけますか。そして、クロディーヌ・ラシュレの罪も」


そう言って睨みつけてもお母様の微笑みは消えない。


「久しぶりね、コレット。元気そうでよかったわ。もっと早くに会いに来てくれたらよかったのに」
「……あなたは変わらないのね」
「そう?少し老けたと思うけど。変わらないと言ってくれてありがとう」
「変わらないわよ。あの時もそうやって微笑みを浮かべながら私に媚薬を飲ませたわよね」


びやくって……何?
分からなくてジェラールの方を見る。珍しく目を反らした。ちょっと、教えなさいよ。


「……性欲を増進させる薬のことです」


性……確かに子供が聞く話じゃなかった!





♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


【閲覧注意!】
この先は性的な虐めのシーンが出てきます!
読み飛ばしてもいいように、次話にあらすじを載せます。苦手な方はここで閉じて下さい。










「今日のお茶会にアラン殿下もいらっしゃるのですか?!」
「あら、言っていなかったかしら?」
「聞いてません!どうしよう、私なんかが同席していい方ではありません……皆様の仲間に入れて頂けたことすら奇跡なのに!」


だって今日のお茶会はラシュレ侯爵令嬢にマイヤール伯爵令嬢、モンテーニュ侯爵令嬢という豪華メンバーだ。
なぜ私のような貧乏子爵令嬢が混ざっているのか自分でも不思議に思う。


「大丈夫よ。この間あなたのことを見て、可愛らしいって言っていたわよ?」
「そんな、ありえません!」


どうしよう、帰ったら駄目かな……


「落ち着きなさい。ほら、お茶をどうぞ」
「あ、ありがとうございます」


ん、少し変わった香りのお茶だわ。


「本当なのよ……駄目よね、私という婚約者がいるのに」
「……え」
「だからね?少~しだけお仕置きをしようと思ったの。ね、どうかしら。即効性だと言っていたのよ。変化はあるかしら?」


何?即効性って……クロディーヌ様?


「待たせてすまない」
「アラン様!ちょうどいいところに来て下さいましたね。今、お仕置きを始めた所ですのよ?ね、皆様」
「私、使った人を見るのは初めてですわ」
「私もです。ドキドキしますわね」


何…、体が熱い……


「……君達は何を言っているんだ?」
「先週コレットのことを可愛らしいと言ったでしょう?私、不安になってしまって」
「あれは!君が聞いてきたんじゃないか!私は婚約者の友人だから褒めただけだよ」
「そうですわよね、浮気ではないのですよね?」


ガタンッ!


「おい!大丈夫か!」


体を支えていられない。熱くて、体の奥が……


「しっかりしろ」
「あっ!」


何?少し体を触られただけなのに!


「まさか……媚薬を飲ませたのか?!」
「ふふっ、正解です」
「っ、早く解毒剤を出すんだ!」
「ありませんよ?そんな物を用意したら罰にならないではないですか」


罰……何……だめ、だめ、苦しい……


「んぁっ!」
「あらあら、はしたない声だこと」


少し突かれただけで衝撃が走る。神経が剥き出しになっているみたい!
こわい、こわい、なにこれ、たすけて!


「人を呼んで来る、少しだけ待っていてくれ」
「駄目ですよ?人を呼びに行ったら……きっとコレットは恥ずかしさのあまり、窓から身を投げてしまうわね。そうよね、コレット?」
「まさか突き落とすつもりか?!」


クロディーヌ様が私の体を撫でていく。


「あ、やっ!やめ、たすけて、たすけ、っ」
「まぁ辛そう。アラン様、助けて差し上げて?」
「……何を言っている」
「だって。このままでは気が触れてしまいますわよ?発散させてあげなきゃ」
「出来るわけ無いだろう!」
「そう。コレット、あなたは気が狂って死んじゃうみたいよ?」
「クロディーヌ様、仕方がありませんわ。殿下と交わりたいが為に薬を飲んだのですもの」
「まさか自分の使用人に買いに行かせるだなんて。怖いわ~」
「お前達……コレットに罪を着せるつもりか」
「さぁ、人命救助の時間ですよ。間違っても欲情しないでくださいね?そんなことしたら……コレットが死んじゃうかも」



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢





「……死にたいと思いました。皆の前で辱めを受け、アラン様にもあの様なことをさせて……
でも、クロディーヌ様は自殺したら全て私の罪として公表すると脅してきたのです」







───────────────────


臨場感を出す為に過去話を再現しましたが、現実にはアンジェリークも聞いている為、もっと簡潔に性的表現を出来るだけ伏せて説明しています。
ご気分を害した方が見えたら本当に申し訳ありません。



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