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22.本当の罪 (祝賀会)
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お父様の情けない顔を見ておもわず笑った。
せっかくエミディオ様と幸せいっぱいだったのに、午後から屑を見なくちゃいけないなんて。
「……何がおかしい……」
「え、顔?」
素直に返事をすると、そばについていた護衛の人が吹き出して、慌てて咳で誤魔化している。
「お前はっ」
「黙れ口を開くな。また蹴られたいか」
よっぽど痛かったらしく、大人しくなる。
エミディオ様は事務方なはずなのにどうしてこんなに強いのか。
「調べる方も面倒なので、勝手な発言は止めてくださいね」
取り調べ担当官がやんわりと窘めた。
ご面倒をお掛けして申し訳ありません。
「まぁですね、誘拐と脅迫は共に拐われた二人の証言もありますし、貴方が作ったお粗末な契約書もあるので間違い無しっと。
身内だからは言い訳になりませんから。彼女はもう伯爵家の人間です。なんせ三人も攫ってますし、内二名は貴族だ。罪は重いですよ。
あ、あと貴方の奥様も共犯だと自白しました。「だってあの娘が悪いのよ!」っと叫んで下さったので簡単でしたね」
……馬鹿の妻はやはり馬鹿。
「で。今日来て頂いたのは誘拐とは別件なんです。ちょっとこの紙に数字を書いていただけますか?0から9まで。あとはアルファベッドもお願いします」
何?誘拐以外にも何かあるの?
まったく分からないけど言われた通りに書いていく。
すると、その紙を別の書類と見比べ始めた。そして、お父様を馬鹿にするように笑った。
「いやぁ、驚きだな。エミディオ君の言っていたことが本当だとは」
「私が嘘を付くはずがないだろう」
「だってコレは彼女が14歳か15歳くらいの年の書類だよ」
そう言って私に見せてくれたのは、子爵家の帳簿だった。
「君がずっと書類仕事をしていたのかい?」
……なぜバレた。これって私が駄目なやつ?
「大丈夫だ。アリーチェに罪はない」
「……本当に?」
「ああ。この男が君を働かせる為に15歳で学校を辞めさせた、所謂虐待の証拠だということだ」
虐待の証拠……
「こいつは娘だ!家の仕事を手伝わせて何が悪い!」
「国への報告書類を子供に作らせる阿呆がいるとはね。娘さんが優秀だったばかりに、発見できなかったのが残念だ。
だいたいね、あなたが元気で他にもまだ彼女より年上の義兄や義姉もいる。それなのになぜ一番年下の彼女だけが学校を辞めて仕事をするんですか?
これを虐待では無いと言える貴方が異常なんですよ。分かりますか?」
こんなことも出来ないのかと殴られたのが14歳の頃。
負けん気の強い私は、馬鹿にされたのが悔しくて、学校の先生に無理を言って教えてもらい、なんとか帳簿付けが出来るようになった。
……その途端に学校を辞めさせられるとは思わなかったのよね。若気の至りだわ。
「お前達の罪はすべて暴いてやるから楽しみにしておけ。アリーチェにしてきた事すべてだ」
エミディオ様が気が付いてくれたの?
「……どうして分かったの?」
「君が帳簿付けが出来ると言っていたからな。中途退学した令嬢が出来るなんておかしいだろう?
その屑が教えるとも思えなかったしな」
「……ありがと……」
まさか虐待の罪を問うことができると思わなかった。あれは罪だと認められるんだ!
「悪かった!私が悪かったよアリーチェ!心を入れ替える!だから許してくれ!」
そう言っていきなり立ち上がろうとするのを押さえつけられている。それでもまだ惨めったらしく助けを求めて来た。
「頼むっ!私達は家族だろうっ?!」
家族……誰が?
「私の家族はエミディオ様よ。屑と身内だった覚えはありません。気持ち悪い」
エミディオ様だけでいい。お前なんていらない!
「そうですね、ハッキリ言って汚物ですよ。
では、これで今日はお終いです。ご協力いただき感謝します」
この人は優しい顔で結構辛辣だ。頼もしいわ。
ゴミ処理よろしくお願いします!
「エミディオ様って本当に凄いわね」
「ん?」
「私が喜ぶことばかりしてくれるもの」
あの人達が捕まったのは嬉しかった。
でも、本当に裁いてほしかったことは誘拐のことじゃなかった。10歳から……ううん、浮気してお母様を苦しめてきたこと含めて全部。あの人達の悪行を裁いて欲しかった。
「私が許せなかったんだ。君にしてきたことも、父親だと名乗ることも」
「……うん大丈夫。だってエミディオ様が私のお父様になってくれたじゃない。そして今は最愛の夫よ?あなたがいればそれだけで幸せよ」
「そうか、それならよかった」
あなた程私を幸せにしてくれる人はいない。
この人とずっと一緒に生きていきたい。
心からそう思えた。
夜、ベッドの上でエミディオ様と触れ合う。
少しだけドキドキするけど、不思議。何かがまた変わった。
恥ずかしい、より、もっと。あなたのすべてが欲しいと思う。私のことも全部あげたい。すべてを預けられる……あなたなら。
「怖くない?」
「貴方だから大丈夫。愛してるわ」
「私もだ。愛してる、アリーチェ」
この日、私達は結ばれることが出来た。
エミディオ様はとっても優しかった。
幸せ……
うん、本当に幸せよ?
ただ……体格差!
あちこち痛い。関節?筋肉痛?なに?
本日は朝から甲斐甲斐しくエミディオ様が付きっきりでお世話をしてくれてる。
久々にご飯まで食べさせてもらった。
ノーラ達が生温かい目で見てくるのが少し恥ずかしい。
これはこれで幸せね。
せっかくエミディオ様と幸せいっぱいだったのに、午後から屑を見なくちゃいけないなんて。
「……何がおかしい……」
「え、顔?」
素直に返事をすると、そばについていた護衛の人が吹き出して、慌てて咳で誤魔化している。
「お前はっ」
「黙れ口を開くな。また蹴られたいか」
よっぽど痛かったらしく、大人しくなる。
エミディオ様は事務方なはずなのにどうしてこんなに強いのか。
「調べる方も面倒なので、勝手な発言は止めてくださいね」
取り調べ担当官がやんわりと窘めた。
ご面倒をお掛けして申し訳ありません。
「まぁですね、誘拐と脅迫は共に拐われた二人の証言もありますし、貴方が作ったお粗末な契約書もあるので間違い無しっと。
身内だからは言い訳になりませんから。彼女はもう伯爵家の人間です。なんせ三人も攫ってますし、内二名は貴族だ。罪は重いですよ。
あ、あと貴方の奥様も共犯だと自白しました。「だってあの娘が悪いのよ!」っと叫んで下さったので簡単でしたね」
……馬鹿の妻はやはり馬鹿。
「で。今日来て頂いたのは誘拐とは別件なんです。ちょっとこの紙に数字を書いていただけますか?0から9まで。あとはアルファベッドもお願いします」
何?誘拐以外にも何かあるの?
まったく分からないけど言われた通りに書いていく。
すると、その紙を別の書類と見比べ始めた。そして、お父様を馬鹿にするように笑った。
「いやぁ、驚きだな。エミディオ君の言っていたことが本当だとは」
「私が嘘を付くはずがないだろう」
「だってコレは彼女が14歳か15歳くらいの年の書類だよ」
そう言って私に見せてくれたのは、子爵家の帳簿だった。
「君がずっと書類仕事をしていたのかい?」
……なぜバレた。これって私が駄目なやつ?
「大丈夫だ。アリーチェに罪はない」
「……本当に?」
「ああ。この男が君を働かせる為に15歳で学校を辞めさせた、所謂虐待の証拠だということだ」
虐待の証拠……
「こいつは娘だ!家の仕事を手伝わせて何が悪い!」
「国への報告書類を子供に作らせる阿呆がいるとはね。娘さんが優秀だったばかりに、発見できなかったのが残念だ。
だいたいね、あなたが元気で他にもまだ彼女より年上の義兄や義姉もいる。それなのになぜ一番年下の彼女だけが学校を辞めて仕事をするんですか?
これを虐待では無いと言える貴方が異常なんですよ。分かりますか?」
こんなことも出来ないのかと殴られたのが14歳の頃。
負けん気の強い私は、馬鹿にされたのが悔しくて、学校の先生に無理を言って教えてもらい、なんとか帳簿付けが出来るようになった。
……その途端に学校を辞めさせられるとは思わなかったのよね。若気の至りだわ。
「お前達の罪はすべて暴いてやるから楽しみにしておけ。アリーチェにしてきた事すべてだ」
エミディオ様が気が付いてくれたの?
「……どうして分かったの?」
「君が帳簿付けが出来ると言っていたからな。中途退学した令嬢が出来るなんておかしいだろう?
その屑が教えるとも思えなかったしな」
「……ありがと……」
まさか虐待の罪を問うことができると思わなかった。あれは罪だと認められるんだ!
「悪かった!私が悪かったよアリーチェ!心を入れ替える!だから許してくれ!」
そう言っていきなり立ち上がろうとするのを押さえつけられている。それでもまだ惨めったらしく助けを求めて来た。
「頼むっ!私達は家族だろうっ?!」
家族……誰が?
「私の家族はエミディオ様よ。屑と身内だった覚えはありません。気持ち悪い」
エミディオ様だけでいい。お前なんていらない!
「そうですね、ハッキリ言って汚物ですよ。
では、これで今日はお終いです。ご協力いただき感謝します」
この人は優しい顔で結構辛辣だ。頼もしいわ。
ゴミ処理よろしくお願いします!
「エミディオ様って本当に凄いわね」
「ん?」
「私が喜ぶことばかりしてくれるもの」
あの人達が捕まったのは嬉しかった。
でも、本当に裁いてほしかったことは誘拐のことじゃなかった。10歳から……ううん、浮気してお母様を苦しめてきたこと含めて全部。あの人達の悪行を裁いて欲しかった。
「私が許せなかったんだ。君にしてきたことも、父親だと名乗ることも」
「……うん大丈夫。だってエミディオ様が私のお父様になってくれたじゃない。そして今は最愛の夫よ?あなたがいればそれだけで幸せよ」
「そうか、それならよかった」
あなた程私を幸せにしてくれる人はいない。
この人とずっと一緒に生きていきたい。
心からそう思えた。
夜、ベッドの上でエミディオ様と触れ合う。
少しだけドキドキするけど、不思議。何かがまた変わった。
恥ずかしい、より、もっと。あなたのすべてが欲しいと思う。私のことも全部あげたい。すべてを預けられる……あなたなら。
「怖くない?」
「貴方だから大丈夫。愛してるわ」
「私もだ。愛してる、アリーチェ」
この日、私達は結ばれることが出来た。
エミディオ様はとっても優しかった。
幸せ……
うん、本当に幸せよ?
ただ……体格差!
あちこち痛い。関節?筋肉痛?なに?
本日は朝から甲斐甲斐しくエミディオ様が付きっきりでお世話をしてくれてる。
久々にご飯まで食べさせてもらった。
ノーラ達が生温かい目で見てくるのが少し恥ずかしい。
これはこれで幸せね。
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