ごめんなさい、お淑やかじゃないんです。

ましろ

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【番外編】

はじめまして 【後編】

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「遅くなってすまない」
「おかえりなさい、エミディオ様」


真打ち登場って感じだけど。
アベルさんのこと、どう反応するかな?


「ただいま。モニカも久しぶりだな。……そちらの男性は?」
「あの……私の夫よ。結婚したの」


あ、流石に驚いてる。私も驚いたもの!


「……そうか、今幸せか?」
「ええ、もちろん。ただ、少しあなたと顔を合わせづらかったけど」
「なぜだ」
「……だって、一人で生きていけるって偉そうに言ったでしょう。それが2年も経たずに……」
「一人で生きていけるからといって、一人で生きていかなくてはいけないわけでは無いだろう。
人生を共に歩みたいと思える人に出会えたなら、自分の気持ちに素直に従えばいい。
モニカ、結婚おめでとう」
「……ありがとう。あなたも、ウィルフレド様の誕生おめでとう」


うん、こちらは何も問題無いわよね。
問題は──


「はじめまして。エミディオ・バルディ、アリーチェの夫だ」
「はじめまして、モニカの夫のアベルです」
「君は……見かけたことがあるな。憲兵か?」
「凄い記憶力ですね。バルディ伯爵領憲兵副隊長を任されています」


思い出そうとして眉間のシワが深くなったエミディオ様とそもそもが無表情のアベルさんの会話はなんというか、


「悪党の会合……」
「アリーチェ、お口から漏れてるわよ」
「あ」
「……妻が失礼なことを言って申し訳ない」


しまった。流石に失礼だわ。


「ごめんなさい、さっきの怖いかどうかの質問を思い出してつい……」
「いいさ。じゃあ失礼ついでに俺も聞いていいですか?」
「私か?」
「ああ。今のあなたにとってモニカはどんな存在なんだ?」


わ~お、直球で来たっ!


「……そうだな。答える前に一つだけ聞いておこう。君はモニカを疑っているのか?」
「!」
「そういう質問は私の妻にもモニカにも失礼にあたると言うことを覚えておけ」


エミディオ様怒ってるわね。
私達がいない場なら怒らなかっただろうけど。


「申し訳ありません。モニカを疑ってはいません。貴方のことは疑いたくないので聞きました」
「……思い出した。憲兵の狂犬だ」


何その微妙な異名は!まさかの狼vs狂犬!


「やだアベルっ、そんな恥ずかしい二つ名があるの?面白いからネタにしていい?」


モニカさんが大ウケしている。シリアスな空気が台無しだわ。


「ちょっ、酷いですよ!よりによってソレを言うなんて!」
「野生の勘と、一度喰らいついたら絶対に捕まえるまで離さない、だったか?」
「え、執着激しそう。モニカさん大丈夫?」
「あぁ、そうねそんな感じだわ」
「すみません、反省しますから!」


本当に恥ずかしいらしく真っ赤になっている。


「噛み付く相手は選んだほうがいいぞ。アリーチェ、モニカ、どうする?」
「私は面白かったからいいわよ」
「私もエミディオ様が叱ってくれたからもういいです」
「だそうだ。女性陣が優しくてよかったな」
「……感謝します」


すっかり元気が無くなったわ。垂れ耳と尻尾が見える気がする。


「私がモニカをどう思っているか……一番しっくり来るのは戦友だな」
「……意外です」
「そうか?私達は同じ目標を持って戦ってきたからな。その頃の思いは今では懐かしい思い出に変わったが、共に頑張った記憶は鮮明だ。ただの友人では足りないし、家族とも違う。だから戦友が一番合っていると思う」
「……分かりました。ありがとうございます」
「もう一つ忠告だ。モニカを守りたいなら私と敵対しない方がいい。せっかくの権力だ。上手く利用する方が賢い」
「いや、あなたは利用なんてされないでしょう」
「友人夫婦なら助けようと思うぞ」
「……なるほど」


あ、なんだかんだ言いつつもアベルさんのこと気に入ったのね。根性ある人が好きだものね。素直じゃないなぁ。


「やっと終わりましたか?」
「はい、夫人も申し訳ありませんでした」
「アリーチェでいいですよ」
「じゃあ、俺もアベルで」
「それなら私も名前で呼べばいい」


なぜ参戦するの?


「……あなたを?」
「不満か?さっきの元気はどうした」
「狂犬でやり込めたくせに!」


どうやら狼と狂犬は仲良くなったみたいです。








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