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今日は殿下が公務の為一日不在らしい。嬉しすぎる。情報源はもちろん本人。「側にいなくても心はずっと君と共にある」と訳の分からないことを昨日言っていた。
なぜかしら。どんどん悪化してる気がする。私の初恋がすっかり黒歴史になった。
「ブリッチェ伯爵令嬢、少しいいかしら」
誰だっけ。確か私の足を引っ掛けて転ばせてきた人だわ。すっごく恥ずかしかったのよね。
「まぁ、謝罪に来てくださったのですか?」
「何を言ってるの?なぜ私が謝罪しなくてはいけないの!」
……変ね。悪い事をしたら謝るのって普通じゃないのかな。この人も魔法のせいだから許してねって人?
「足を引っ掛けて転ばせたのまで魔法のせいだったと言うのですか?たしか廊下で突き飛ばされた事もありましたよね」
「あ、お、覚えてるの?」
「そうですね、嫌な事ほど記憶に残るので」
というか、あなたも覚えてるんじゃない。皆凄いわね。全部なかったことにしようとするのだもの。魔法のせいって言葉自体が最強の呪文のようだわ。
「それで……ごめんなさい、お名前は知らないわ。悪事を覚えているのに謝罪以外のお話がしたい名前も名乗らない無礼な御令嬢は、私にどんな用があるのかしら」
長いな。失礼金髪でいいかな。
「……私はメラニー・ベルツよ。確かに、魔法のせいとはいえ、あなたを転ばせたのは申し訳なかったわ」
いや、全然悪いと思ってなさそうな謝り方ですけど。ベルツ男爵の娘さんなの。私より爵位も低いのに凄い度胸だわ。
「あなたはいつまで殿下を困らせるつもり?確かにあなたも可哀想だったし、最初は仕方がないと思っていたけど。殿下にチヤホヤされるのももう満足したでしょう?モテる女気取りは見苦しいわ。いい加減婚約者に戻りなさいよ」
え?どうしよう。意味がわからない。
私が殿下を許す?なんで?チヤホヤって何?
「……あなたの言っていることが一つも理解できません。まず一つ、まったくの他人であるあなたが口出しする事ではありません。もう一つ。この件はベルツ男爵に抗議します」
「なんでよ!私は殿下の為を思って!」
「それは心の中だけにしておけばよかったのよ。なぜ親しくもない、爵位も下のあなたから侮辱されないといけないの?
そうね、追加で転ばされた事、突き飛ばされた事も伝えておくわ。ではごきげんよう」
なんかまだギャーギャー騒いでるけど知りません。少し遠回りで図書室に行こうかな。ついて来られたら嫌だもの。
「あの、ブリッチェ伯爵令嬢!」
また苦情?もうやだぁ!
嫌々振り向くと、プルプル震える女の子と、その様子を心配そうに見つめる男子生徒がいた。
「……なんでしょうか」
「あの、私はドプナー子爵家のビアンカと申します」
「僕はトレーガー伯爵家のフィデルです。同じクラスだけど分かる?」
「はい、もちろん」
お話ししたことはないけど、確かこの二人は婚約者同士よね。いつも二人でいるから仲良くていいなぁと思っていた。
「「あの、ずっと助ける事ができなくてすみませんでした!」」
まあ。声がぴったり揃ってて面白い……じゃなくて、助けられなくて?
「あの、私はあなた達に意地悪されなかったわ。だから謝る必要なんてないのよ?」
「違うわ!だってクラスメイトなのに、あなたは何も悪い事をしていないのを知ってたのに!怖くて何もできなかったの。本当にごめんなさい!」
「僕もごめん。殿下に目をつけられるのが怖くて何も言えなかった。今頃謝っても遅いのはわかってるけど、謝らないのはもっと駄目だと思って。
本当にごめんなさい!」
どうしよう、うれしい
何もしてないのに謝らせて申し訳ないけど、あの頃のことを謝ってくれたのは初めて。
「二人ともありがとうございます。すごく嬉しいわ。そんなふうに言ってくれたのは初めてなの。皆ね、魔法のせいだから仕方がなかったって、まるで何も無かったかのようにしてるから」
どうしよう、感動して涙が出そう!
やっぱり王子妃は無理よ。こんなにすぐに涙ぐむ子は向いてません!
「どうした、いじめられてるのか?」
え、先輩?顔が怖いよ?
「「いやいやいや!」」
「違うんです!僕達は謝りたかっただけで!」
「そうなんです!助けられなくてごめんなさいって伝えたくて!」
「「ごめんなさい!」」
この二人は息ぴったりで可愛いなあ。
「なんだ、よかったじゃん。なぁ、悪いと思ってるならついでに友達になってやってよ。俺以外の仲間がいないボッチ令嬢だから」
「……先輩、真実は人を傷付けるんですよ。知ってますか!」
ひとりぼっちなのはお互い様じゃない!私は悪くないもん。
「私なんかがいいんですか?あの、お二人ほどお勉強はできませんけど」
「なら今度勉強会でもやるか?俺の去年のノートを貸してやるよ。友達ならな?」
「いや、ご褒美がなくても友達にはなりたいですよ。でもノートはありがたいです、先輩!」
うそ、こんなに簡単に友達ってできちゃうの?
「でも、殿下がまだ絡んでくるけど大丈夫?」
「「だってもう婚約者じゃないし」」
そうよね。普通そうよね!婚約者じゃないのにどうしてまだ翻弄されるのかしら。
でも嬉しい。殿下が留守のおかけでお友達が二人もできたわ!
「私の事は名前で呼んでください!私も二人のこと名前で読んでもいい、かな?」
「「もちろん!」」
ねぇ、なんでそんなに声が揃うの?
なぜかしら。どんどん悪化してる気がする。私の初恋がすっかり黒歴史になった。
「ブリッチェ伯爵令嬢、少しいいかしら」
誰だっけ。確か私の足を引っ掛けて転ばせてきた人だわ。すっごく恥ずかしかったのよね。
「まぁ、謝罪に来てくださったのですか?」
「何を言ってるの?なぜ私が謝罪しなくてはいけないの!」
……変ね。悪い事をしたら謝るのって普通じゃないのかな。この人も魔法のせいだから許してねって人?
「足を引っ掛けて転ばせたのまで魔法のせいだったと言うのですか?たしか廊下で突き飛ばされた事もありましたよね」
「あ、お、覚えてるの?」
「そうですね、嫌な事ほど記憶に残るので」
というか、あなたも覚えてるんじゃない。皆凄いわね。全部なかったことにしようとするのだもの。魔法のせいって言葉自体が最強の呪文のようだわ。
「それで……ごめんなさい、お名前は知らないわ。悪事を覚えているのに謝罪以外のお話がしたい名前も名乗らない無礼な御令嬢は、私にどんな用があるのかしら」
長いな。失礼金髪でいいかな。
「……私はメラニー・ベルツよ。確かに、魔法のせいとはいえ、あなたを転ばせたのは申し訳なかったわ」
いや、全然悪いと思ってなさそうな謝り方ですけど。ベルツ男爵の娘さんなの。私より爵位も低いのに凄い度胸だわ。
「あなたはいつまで殿下を困らせるつもり?確かにあなたも可哀想だったし、最初は仕方がないと思っていたけど。殿下にチヤホヤされるのももう満足したでしょう?モテる女気取りは見苦しいわ。いい加減婚約者に戻りなさいよ」
え?どうしよう。意味がわからない。
私が殿下を許す?なんで?チヤホヤって何?
「……あなたの言っていることが一つも理解できません。まず一つ、まったくの他人であるあなたが口出しする事ではありません。もう一つ。この件はベルツ男爵に抗議します」
「なんでよ!私は殿下の為を思って!」
「それは心の中だけにしておけばよかったのよ。なぜ親しくもない、爵位も下のあなたから侮辱されないといけないの?
そうね、追加で転ばされた事、突き飛ばされた事も伝えておくわ。ではごきげんよう」
なんかまだギャーギャー騒いでるけど知りません。少し遠回りで図書室に行こうかな。ついて来られたら嫌だもの。
「あの、ブリッチェ伯爵令嬢!」
また苦情?もうやだぁ!
嫌々振り向くと、プルプル震える女の子と、その様子を心配そうに見つめる男子生徒がいた。
「……なんでしょうか」
「あの、私はドプナー子爵家のビアンカと申します」
「僕はトレーガー伯爵家のフィデルです。同じクラスだけど分かる?」
「はい、もちろん」
お話ししたことはないけど、確かこの二人は婚約者同士よね。いつも二人でいるから仲良くていいなぁと思っていた。
「「あの、ずっと助ける事ができなくてすみませんでした!」」
まあ。声がぴったり揃ってて面白い……じゃなくて、助けられなくて?
「あの、私はあなた達に意地悪されなかったわ。だから謝る必要なんてないのよ?」
「違うわ!だってクラスメイトなのに、あなたは何も悪い事をしていないのを知ってたのに!怖くて何もできなかったの。本当にごめんなさい!」
「僕もごめん。殿下に目をつけられるのが怖くて何も言えなかった。今頃謝っても遅いのはわかってるけど、謝らないのはもっと駄目だと思って。
本当にごめんなさい!」
どうしよう、うれしい
何もしてないのに謝らせて申し訳ないけど、あの頃のことを謝ってくれたのは初めて。
「二人ともありがとうございます。すごく嬉しいわ。そんなふうに言ってくれたのは初めてなの。皆ね、魔法のせいだから仕方がなかったって、まるで何も無かったかのようにしてるから」
どうしよう、感動して涙が出そう!
やっぱり王子妃は無理よ。こんなにすぐに涙ぐむ子は向いてません!
「どうした、いじめられてるのか?」
え、先輩?顔が怖いよ?
「「いやいやいや!」」
「違うんです!僕達は謝りたかっただけで!」
「そうなんです!助けられなくてごめんなさいって伝えたくて!」
「「ごめんなさい!」」
この二人は息ぴったりで可愛いなあ。
「なんだ、よかったじゃん。なぁ、悪いと思ってるならついでに友達になってやってよ。俺以外の仲間がいないボッチ令嬢だから」
「……先輩、真実は人を傷付けるんですよ。知ってますか!」
ひとりぼっちなのはお互い様じゃない!私は悪くないもん。
「私なんかがいいんですか?あの、お二人ほどお勉強はできませんけど」
「なら今度勉強会でもやるか?俺の去年のノートを貸してやるよ。友達ならな?」
「いや、ご褒美がなくても友達にはなりたいですよ。でもノートはありがたいです、先輩!」
うそ、こんなに簡単に友達ってできちゃうの?
「でも、殿下がまだ絡んでくるけど大丈夫?」
「「だってもう婚約者じゃないし」」
そうよね。普通そうよね!婚約者じゃないのにどうしてまだ翻弄されるのかしら。
でも嬉しい。殿下が留守のおかけでお友達が二人もできたわ!
「私の事は名前で呼んでください!私も二人のこと名前で読んでもいい、かな?」
「「もちろん!」」
ねぇ、なんでそんなに声が揃うの?
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