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43.懐かしい夢(3)
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リオ様に離婚を突き付けた。
不思議なことに、もう悲しいとは思わなかった。
心残りは子供達のことだけ。
大人の身勝手に振り回される子供達に申し訳無さが募る。
だって彼等は道を選ぶ自由すら与えられないのだから。
いつか、ウィリアムやコーデリア様のお腹の子に罵られる日が来るのかもしれない。
それでも、私にはこの道しか選べなかった。
歪であったとしても、子供達を守ってくれる家族と家を残すこと以外、私にはどうしても出来なかったの。
いつか大きくなった貴方達に謝ることが出来るかしら。
この心臓が止まることなく、頑張り続けてくれる未来が来る確率はどれくらい?
「アシュリー様、お疲れ様でした」
「マクレガーさん。私はもう依頼人ではありませんので、そんなにかしこまらなくていいですよ。私の方が年下ですし」
「では、アシュリーと呼んでも?」
「いいですよ」
だって今日で最後だから。
「では、私も名前で呼んでくれ」
「……ジェフリーさん」
「ありがとう、行こうか」
「はい」
ゆっくりと二人で歩く。でも今日は無言だわ。
「……そういえば、子供達の健康診断を提案して下さってありがとうございます」
「ああ、あれはマシューの意見だよ」
あら、名前呼び。いつの間にそんなにも仲良くなったのかしら。
「そうなのですか?」
「私では限界があるから相談したんだ。
医師なら健康状態や虐待の有無、成長異常なども分かると言ってくれてね。彼の友人を紹介してくれたんだ。
伯爵が承諾してくれてよかったよ」
「…リオ様は困った人だけど、悪人ではありませんから」
「悪気がない方が悪辣な場合もあるけどな」
「それでも彼は子供達の父親です。それだけは変えられません」
「……本当にな。それが彼の唯一の功績にならないといいが」
どうやらジェフリーさんは本当にリオ様……いえ、スペンサー伯爵が嫌いみたい。
「子供達が幸せなら何でもいいです」
「……出来れば」
「はい?」
「私の幸せも願ってくれないだろうか」
ジェフリーさんの幸せを私が?
「あの、私はシスターでも何でもありませんよ?」
「アシュリー。君だから頼んでいるんだ」
どうして?私などが願っても意味はないのに。
「……その、祈るだけでいいのなら。
『ジェフリーさんがこれからも幸せでありますように』
……何だか恥ずかしいですね」
何なのかしら。何だか辱められている気がします。
「ありがとう。これで少し勇気が出た」
「お役に立てて光栄です?」
ジェフリーさんは今、幸せではないのでしょうか。
やはり、まだ奥様とお子様を喪った悲しみが癒えないのか。
「アシュリーの願いはいつも優しい」
「…え?」
「願い事とは、現状に不満や不足を感じる時に行うものだろう?
もっと裕福な暮らしがしたい。あれが欲しい、これが嫌だから変えてほしい。
悪く言えば、自分の欲が願いになる。
だが、貴方の願いはいつも自分以外の幸せばかりだ。
家族を喪った夫に幸せな家庭を与えたい。
育ててあげられない子供に出来うる限りの幸せを残してあげたい。
愛に恵まれなかった愛人は、罰だと言いながらも温かい家庭を作れるようにと願い、貴方の不幸を作り上げた前伯爵夫人すら、良き祖母になって欲しいと願う。
それでいて、願って終わりにもしない。
願い事が好きな人って、他力本願な人が多いと思うんだ。
願うだけで行動しない。心の中で唱え続けるだけ。
でも、貴方は願いを叶える為に必死に努力し続けてきた。体を壊す程にね。
……そんな君のことが愛おしいと思った。
そんなに傷付いていても、小さな幸せを見つけて微笑む。そんな貴方とこれからも共にいたいと願うよ。
アシュリー、今度は私の幸せを願ってくれ。
私はそんな君を守りたい。君を幸せにしたい。
君が笑ってくれると、私も幸せになれる。
──君のことが、好きなんだ」
真剣な眼差し。彼が本気だと分かる。
「……ジェフリーさんの気持ちは嬉しいです。
でも、お受けすることは出来ないわ」
こんなにも素敵な方に、いつ死ぬか分からない女を宛行うなんて駄目に決まっている。
「理由を聞いても?」
「…離婚したばかりです」
「もちろん待つよ」
「前の家庭に心を残しています」
「子供に、だろう?それは今後も一緒に考えよう。私は結構役に立つと思うよ」
「……心臓がいつ止まるか分からない」
「それは私も同じだ」
え?ジェフリーもどこか悪いの!?
「なんせ7歳も年上のオジサンだからな。男の方が女性より寿命が短いというから、私の方が先に死ぬ確率は高いよ」
「でも、それとこれとは違うでしょう?」
「マシューは過労からの心臓病なら治る可能性はあると言っていた。
それに何よりも今、君は生きてるじゃないか。
私はね、永遠の幸せが欲しいわけじゃない。
ただ一日。今日一日の幸せを願うよ」
……たった一日だけ?
「今日一日、君と共にあれてよかったと、満足して眠りにつく。
朝起きて、隣で眠る君の顔を眺め、またその一日の幸せを願う。
そうやって一日を大切に生きられるなら、愛するものも無く、無為に過ごす10年より余程尊いものになると思うんだ。
だからアシュリー、そんな小さな幸せを共に願ってくれないだろうか」
「……全然小さくないわ」
「そうかい?普通のことだよ」
……本当にこの人は。いつもさらりと私の不安を拭い去ってしまうのね。
「それにさっきから、私と一緒になるのが嫌だとは言わないじゃないか。
嫌いとか迷惑だとか生理的に無理とか。そんなことを言われたらどうしようかと思っていたのだけどね?」
「っ、それは!」
そうね、そうやってお断りするべきだったのね。
でも、生理的に無理とか言える自信がないわ。
「アシュリーが嘘が苦手でよかったよ」
「……まだ承諾していません」
「うんうん、まだね、まだなんだなあ」
……ぁぁああああああっ!!
勝てない!ジェフリーさんに口で勝てる気がしません!
「知りません!私は断りました!」
「そうだね。いいよ、時間を掛けてじっくりと口説くから。……覚悟してね?」
……じっくりって何。何で大人の色気を振り撒くの。
「もういいです。早くハンナさんのお店に行きましょう」
「そうだな。では、はい」
「はい?」
……何故手を出すの?
「君と手を繋いで歩けたら、さっきの願いが叶いそうなんだが」
さっきの?……あ、幸せになりますようにと願った……
「……繋ぎませんよ」
「どうして?」
「離婚したばかりで他の男と手を繋いで歩いていたら醜聞でしょう!」
「なるほど。では、ひと月後にもう一度お願いしますね」
「もう!どうしてそんなにも強引なんですか!」
「後悔しない為です」
後悔……貴方が?
「事故にあって、人は本当に突然いなくなるのだと知ったよ。
たくさん後悔したんだ。やってあげたかったこと、伝えたかったことが沢山あった。
だからね、今度大切な人が出来たら、ちゃんと思いを伝えようと思った。やりたい事も言いたい事も全部。
しっかりと相手と向き合って、長くなくてもいい。後悔しない人生を送ろうと誓った。
だから貴方も、私のことを少しでも好ましいと思ってくれるなら、命の長さを言い訳にせず、ちゃんと向き合って欲しい」
そう……そうね。ジェフリーは既に一度、大切な人達を喪っているのだわ。
「……喪う悲しさを味わうくらいなら、最初から手にしなければいいとは思わないの?」
私は怖い。いつか私の死が誰かを傷付けることが。
「一人寂しく生きていくより、二人で生きた幸せな思い出がある方がいい。
それにさっきも言っただろう?死とは突然やってくるものだ。そして、それは誰にでも訪れる普通のことだよ。だから今を大切に生きる。それだけだ」
……ああ、好きだな。
もう無理、認めるしかない。
だってジェフリーさんと共に生きたいと思ってしまった。
「ありがとう、ジェフリーさん。
……私も、貴方に惹かれているわ。
でも今すぐは無理。どうしてもウィリアムの事を考えてしまうの。
別れて直ぐに再婚だなんて、嫌いで捨てて行ったと思わせたくない」
どうしてもこれだけは譲れない。
ウィリアムのことを考えると、再婚を考えていいのかも分からないもの。
「勇気を出してくれて嬉しいよ。
ウィリアムのことは一緒に考えよう。今は君の気持ちを知ることが出来ただけで十分だ」
どうしてこんなにも優しいのだろう。私はとてもわがままなことを言っているのに。
「まだ後ろ向きなことを考えてる?」
「……だって」
「いいよ。そんな君だから惚れたのだとこれから信じさせてみせるから」
お手柔らかにお願いします……。
「さて、美味しい食事に出掛けようか」
「……ええ、ハンナさんに遅いと叱られてしまうわね」
「手は?」
「つなぎません!」
そうね。特別なことではないのかもしれない。
こうやって、小さな幸せを──。
不思議なことに、もう悲しいとは思わなかった。
心残りは子供達のことだけ。
大人の身勝手に振り回される子供達に申し訳無さが募る。
だって彼等は道を選ぶ自由すら与えられないのだから。
いつか、ウィリアムやコーデリア様のお腹の子に罵られる日が来るのかもしれない。
それでも、私にはこの道しか選べなかった。
歪であったとしても、子供達を守ってくれる家族と家を残すこと以外、私にはどうしても出来なかったの。
いつか大きくなった貴方達に謝ることが出来るかしら。
この心臓が止まることなく、頑張り続けてくれる未来が来る確率はどれくらい?
「アシュリー様、お疲れ様でした」
「マクレガーさん。私はもう依頼人ではありませんので、そんなにかしこまらなくていいですよ。私の方が年下ですし」
「では、アシュリーと呼んでも?」
「いいですよ」
だって今日で最後だから。
「では、私も名前で呼んでくれ」
「……ジェフリーさん」
「ありがとう、行こうか」
「はい」
ゆっくりと二人で歩く。でも今日は無言だわ。
「……そういえば、子供達の健康診断を提案して下さってありがとうございます」
「ああ、あれはマシューの意見だよ」
あら、名前呼び。いつの間にそんなにも仲良くなったのかしら。
「そうなのですか?」
「私では限界があるから相談したんだ。
医師なら健康状態や虐待の有無、成長異常なども分かると言ってくれてね。彼の友人を紹介してくれたんだ。
伯爵が承諾してくれてよかったよ」
「…リオ様は困った人だけど、悪人ではありませんから」
「悪気がない方が悪辣な場合もあるけどな」
「それでも彼は子供達の父親です。それだけは変えられません」
「……本当にな。それが彼の唯一の功績にならないといいが」
どうやらジェフリーさんは本当にリオ様……いえ、スペンサー伯爵が嫌いみたい。
「子供達が幸せなら何でもいいです」
「……出来れば」
「はい?」
「私の幸せも願ってくれないだろうか」
ジェフリーさんの幸せを私が?
「あの、私はシスターでも何でもありませんよ?」
「アシュリー。君だから頼んでいるんだ」
どうして?私などが願っても意味はないのに。
「……その、祈るだけでいいのなら。
『ジェフリーさんがこれからも幸せでありますように』
……何だか恥ずかしいですね」
何なのかしら。何だか辱められている気がします。
「ありがとう。これで少し勇気が出た」
「お役に立てて光栄です?」
ジェフリーさんは今、幸せではないのでしょうか。
やはり、まだ奥様とお子様を喪った悲しみが癒えないのか。
「アシュリーの願いはいつも優しい」
「…え?」
「願い事とは、現状に不満や不足を感じる時に行うものだろう?
もっと裕福な暮らしがしたい。あれが欲しい、これが嫌だから変えてほしい。
悪く言えば、自分の欲が願いになる。
だが、貴方の願いはいつも自分以外の幸せばかりだ。
家族を喪った夫に幸せな家庭を与えたい。
育ててあげられない子供に出来うる限りの幸せを残してあげたい。
愛に恵まれなかった愛人は、罰だと言いながらも温かい家庭を作れるようにと願い、貴方の不幸を作り上げた前伯爵夫人すら、良き祖母になって欲しいと願う。
それでいて、願って終わりにもしない。
願い事が好きな人って、他力本願な人が多いと思うんだ。
願うだけで行動しない。心の中で唱え続けるだけ。
でも、貴方は願いを叶える為に必死に努力し続けてきた。体を壊す程にね。
……そんな君のことが愛おしいと思った。
そんなに傷付いていても、小さな幸せを見つけて微笑む。そんな貴方とこれからも共にいたいと願うよ。
アシュリー、今度は私の幸せを願ってくれ。
私はそんな君を守りたい。君を幸せにしたい。
君が笑ってくれると、私も幸せになれる。
──君のことが、好きなんだ」
真剣な眼差し。彼が本気だと分かる。
「……ジェフリーさんの気持ちは嬉しいです。
でも、お受けすることは出来ないわ」
こんなにも素敵な方に、いつ死ぬか分からない女を宛行うなんて駄目に決まっている。
「理由を聞いても?」
「…離婚したばかりです」
「もちろん待つよ」
「前の家庭に心を残しています」
「子供に、だろう?それは今後も一緒に考えよう。私は結構役に立つと思うよ」
「……心臓がいつ止まるか分からない」
「それは私も同じだ」
え?ジェフリーもどこか悪いの!?
「なんせ7歳も年上のオジサンだからな。男の方が女性より寿命が短いというから、私の方が先に死ぬ確率は高いよ」
「でも、それとこれとは違うでしょう?」
「マシューは過労からの心臓病なら治る可能性はあると言っていた。
それに何よりも今、君は生きてるじゃないか。
私はね、永遠の幸せが欲しいわけじゃない。
ただ一日。今日一日の幸せを願うよ」
……たった一日だけ?
「今日一日、君と共にあれてよかったと、満足して眠りにつく。
朝起きて、隣で眠る君の顔を眺め、またその一日の幸せを願う。
そうやって一日を大切に生きられるなら、愛するものも無く、無為に過ごす10年より余程尊いものになると思うんだ。
だからアシュリー、そんな小さな幸せを共に願ってくれないだろうか」
「……全然小さくないわ」
「そうかい?普通のことだよ」
……本当にこの人は。いつもさらりと私の不安を拭い去ってしまうのね。
「それにさっきから、私と一緒になるのが嫌だとは言わないじゃないか。
嫌いとか迷惑だとか生理的に無理とか。そんなことを言われたらどうしようかと思っていたのだけどね?」
「っ、それは!」
そうね、そうやってお断りするべきだったのね。
でも、生理的に無理とか言える自信がないわ。
「アシュリーが嘘が苦手でよかったよ」
「……まだ承諾していません」
「うんうん、まだね、まだなんだなあ」
……ぁぁああああああっ!!
勝てない!ジェフリーさんに口で勝てる気がしません!
「知りません!私は断りました!」
「そうだね。いいよ、時間を掛けてじっくりと口説くから。……覚悟してね?」
……じっくりって何。何で大人の色気を振り撒くの。
「もういいです。早くハンナさんのお店に行きましょう」
「そうだな。では、はい」
「はい?」
……何故手を出すの?
「君と手を繋いで歩けたら、さっきの願いが叶いそうなんだが」
さっきの?……あ、幸せになりますようにと願った……
「……繋ぎませんよ」
「どうして?」
「離婚したばかりで他の男と手を繋いで歩いていたら醜聞でしょう!」
「なるほど。では、ひと月後にもう一度お願いしますね」
「もう!どうしてそんなにも強引なんですか!」
「後悔しない為です」
後悔……貴方が?
「事故にあって、人は本当に突然いなくなるのだと知ったよ。
たくさん後悔したんだ。やってあげたかったこと、伝えたかったことが沢山あった。
だからね、今度大切な人が出来たら、ちゃんと思いを伝えようと思った。やりたい事も言いたい事も全部。
しっかりと相手と向き合って、長くなくてもいい。後悔しない人生を送ろうと誓った。
だから貴方も、私のことを少しでも好ましいと思ってくれるなら、命の長さを言い訳にせず、ちゃんと向き合って欲しい」
そう……そうね。ジェフリーは既に一度、大切な人達を喪っているのだわ。
「……喪う悲しさを味わうくらいなら、最初から手にしなければいいとは思わないの?」
私は怖い。いつか私の死が誰かを傷付けることが。
「一人寂しく生きていくより、二人で生きた幸せな思い出がある方がいい。
それにさっきも言っただろう?死とは突然やってくるものだ。そして、それは誰にでも訪れる普通のことだよ。だから今を大切に生きる。それだけだ」
……ああ、好きだな。
もう無理、認めるしかない。
だってジェフリーさんと共に生きたいと思ってしまった。
「ありがとう、ジェフリーさん。
……私も、貴方に惹かれているわ。
でも今すぐは無理。どうしてもウィリアムの事を考えてしまうの。
別れて直ぐに再婚だなんて、嫌いで捨てて行ったと思わせたくない」
どうしてもこれだけは譲れない。
ウィリアムのことを考えると、再婚を考えていいのかも分からないもの。
「勇気を出してくれて嬉しいよ。
ウィリアムのことは一緒に考えよう。今は君の気持ちを知ることが出来ただけで十分だ」
どうしてこんなにも優しいのだろう。私はとてもわがままなことを言っているのに。
「まだ後ろ向きなことを考えてる?」
「……だって」
「いいよ。そんな君だから惚れたのだとこれから信じさせてみせるから」
お手柔らかにお願いします……。
「さて、美味しい食事に出掛けようか」
「……ええ、ハンナさんに遅いと叱られてしまうわね」
「手は?」
「つなぎません!」
そうね。特別なことではないのかもしれない。
こうやって、小さな幸せを──。
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