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プロローグ
3.「よし、やろう! アモル・スキルリンク!」
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「……………………」
「………………――?」
立ちあがった男は、俺を見て、まずは片眉を持ち上げた。緑色の鋭い瞳が訝しげに細められている。
180cm以上はある長身。筋肉質で、まさにジョブ:戦士という体型ではあるが身体は引き締まっている。さらに彼が戦士であることを象徴するように重量のありそうな胸当てとアームガード。肩は可動域を確保しているのか肩当てはしておらずにベルトでアームガードと胸当てを固定している。下半身は動きやすい革のパンツに、革製の黒いロングブーツを履いていた。主な武器は、背中に斜め掛けしている武骨な大剣のようだ。
黒色の短髪を揺らしながら目の前まで近づいてきた。
「よ、よろしく……」
「あ、ああ……よろしく……」
通った鼻筋と堀の深い顔は、強面だな、という印象を与えるが、明らかに動揺している姿を見ると恐怖はない。
彼も初心者なのだろうかとステータス画面を失礼ながら物色させて頂く。
名前は『エルド』というらしい。向こうは、――今度は唖然としている。意外と表情もころころ変わる。いや、俺が変えているのか。
名前『あああああ』だし。
「――冒険者ランキング6位!?」
思わず声を上げてしまった。ステータス画面に現れたチュートリアル用天使曰く、ダンジョン攻略数とか、クエスト攻略数とか、RTAなど、公式で様々に行われているイベントへの参加など、この世界の全てを総括した合計ポイントでランキングが決まるらしい。世界全体ランキング6位のプレイヤーと俺はマッチしてしまったようだ。
言われ慣れているのか、表情を特に変えず、男は説明する。
「チュートリアルのランダムマッチは、基本的に長年やっているプレイヤーと初心者の方がマッチするようになってる」
「ふぅん……」
チュートリアルの案内が『パートナーとアモル・スキルリンクしてはじまりの森に行こう!』に切り替わる。
「や、っとダンジョン行ける……!」
くるっと後ろを向いてギルドに行こうとした俺を、天使が慌てて引き留めた。羽を倍速で羽ばたかせながら、アモルスキルリンクをしよう! と連呼している。エルドに関しては、俺がバトルジャンキーであることを察したのか両腕を組んで呆れていた。
「なあ、聞いてもいいか? あんた、なんでこのゲームを始めたんだ?」
両腕を解き、片腕を差し出してエルドは俺に問いかけた。
「高難易度クエストをクリアするために。歯ごたえがあるんだろ?」
エルドは横目で天使を見た。
「……ダンジョンを攻略したり、クエストを受注するにはアモルスキルリンクを行う必要がある。他のゲームで言う、クエスト前に飯を食べたり、ベッドで休んだり、祭壇に行ってバフのお祈りをしてもらったりするものだ」
「絶対?」
「絶対」
大きく頷かれて、俺はエルドに近づいて目の前に立つ。身長差が20cm以上あるのは、自分が適当にキャラクターメイクをしたとはいえ、なんだか少し悔しかった。
「なに、それ?」
「え゛」
エルドの喉奥からの驚きの声。多分、素の声だ。本気で驚いている。もう一度、エルドは天使を見る。彼の言いたいことは、
「――チュートリアルとか、オープニングムービーって見たか? そもそも、このゲームはこのシステム目当てでプレイする人しかいないと思ってた……は、初めてだな……」
だった。
「アモル・スキルリンク――通称A.S.Lは、ペアを組んだ人と……肉体的な接触をして能力値にダンジョンやクエスト攻略中の永続バフをかけたり、プレイヤー同士の能力値をリンクさせて強力な力を分配したり出来るシステムだ。これがゲームのメインシステム」
「つまり、エルドさんの能力を俺も使うことが出来るってこと?」
「あー……まあ、そうだな。レベル差もあるし、あまりにも条件がキツイんだけど……」
俺TUEEEEEEが出来るってことか。ソウルライク物も好きだが、BattleRiftは快感を味わいまくるのもいいかもしれない。
世界ランキング6位のプレイヤーに巡り合えたことに感謝をしながら、俺は彼の両手を取って、力強く握りしめた。
「よし、やろう! アモル・スキルリンク!」
Affinity Touch -触覚による相性確認-
画面に表示される。ダメージを受けた後の回復速度上昇のバフがついたようだ。
なんで?
まあ気にしない。
俺の勢いに少しだけ怯えた後、エルドは、ふぅ、と息を吐いた。
「……――分かったよ」
彼は、俺のヴェールを手の甲で優しくめくり上げる。こちらからは普通に見ることが出来るから、装備しているのをすっかり忘れていた。
「……ッ」
意外と、すでに、エルドとの距離が近くて困惑する。それが吐息に出てしまう。そして何故かエルドも息を呑んでいて、互いに見つめ合って、少しだけ固まって、
Breath Share -吐息の共鳴- 魔力共鳴率+5%
更にエルドの顔が近づいてくる。
「ぇ、ちょっと、ぅぇあっ!?」
口端に軽く唇が押し付けられた。かさかさとしていて剥けていた皮が肌に刺さって擽ったくて、それが"そういうこと"をされた現実に拍車をかける。
Cheek kiss -接吻による相互関係の確認- 防御+3%
有無を言わさずに抱き寄せられて、ごつごつとした鎧と筋肉に包まれた俺は、がぽりと大きな唇に唇全体を覆われる。社会人になってからすっかりそういった関係から遠かった俺の身体は、久しぶりの行為に嫌でも熱を一気に持つ。嫌悪はある。鳥肌だって立っている。でも、どうしてこんなことになっているか分からなくて、抱きしめられている力はすごく強くて、逃れることが出来ない。
唇に他人の唇の感触が残り、困惑する俺を尻目ににゅるん、と柔らかくてざらざらとして、太くて長いものが咥内に挿しこまれた。
「あんむぅ……んぅ、んん……っ、ふっ、ぁう」
会ったばかりの男に舌が絡むキスをされた。
Deep Kiss -粘膜同士の接触による同調- 攻撃速度+5%
「………………――?」
立ちあがった男は、俺を見て、まずは片眉を持ち上げた。緑色の鋭い瞳が訝しげに細められている。
180cm以上はある長身。筋肉質で、まさにジョブ:戦士という体型ではあるが身体は引き締まっている。さらに彼が戦士であることを象徴するように重量のありそうな胸当てとアームガード。肩は可動域を確保しているのか肩当てはしておらずにベルトでアームガードと胸当てを固定している。下半身は動きやすい革のパンツに、革製の黒いロングブーツを履いていた。主な武器は、背中に斜め掛けしている武骨な大剣のようだ。
黒色の短髪を揺らしながら目の前まで近づいてきた。
「よ、よろしく……」
「あ、ああ……よろしく……」
通った鼻筋と堀の深い顔は、強面だな、という印象を与えるが、明らかに動揺している姿を見ると恐怖はない。
彼も初心者なのだろうかとステータス画面を失礼ながら物色させて頂く。
名前は『エルド』というらしい。向こうは、――今度は唖然としている。意外と表情もころころ変わる。いや、俺が変えているのか。
名前『あああああ』だし。
「――冒険者ランキング6位!?」
思わず声を上げてしまった。ステータス画面に現れたチュートリアル用天使曰く、ダンジョン攻略数とか、クエスト攻略数とか、RTAなど、公式で様々に行われているイベントへの参加など、この世界の全てを総括した合計ポイントでランキングが決まるらしい。世界全体ランキング6位のプレイヤーと俺はマッチしてしまったようだ。
言われ慣れているのか、表情を特に変えず、男は説明する。
「チュートリアルのランダムマッチは、基本的に長年やっているプレイヤーと初心者の方がマッチするようになってる」
「ふぅん……」
チュートリアルの案内が『パートナーとアモル・スキルリンクしてはじまりの森に行こう!』に切り替わる。
「や、っとダンジョン行ける……!」
くるっと後ろを向いてギルドに行こうとした俺を、天使が慌てて引き留めた。羽を倍速で羽ばたかせながら、アモルスキルリンクをしよう! と連呼している。エルドに関しては、俺がバトルジャンキーであることを察したのか両腕を組んで呆れていた。
「なあ、聞いてもいいか? あんた、なんでこのゲームを始めたんだ?」
両腕を解き、片腕を差し出してエルドは俺に問いかけた。
「高難易度クエストをクリアするために。歯ごたえがあるんだろ?」
エルドは横目で天使を見た。
「……ダンジョンを攻略したり、クエストを受注するにはアモルスキルリンクを行う必要がある。他のゲームで言う、クエスト前に飯を食べたり、ベッドで休んだり、祭壇に行ってバフのお祈りをしてもらったりするものだ」
「絶対?」
「絶対」
大きく頷かれて、俺はエルドに近づいて目の前に立つ。身長差が20cm以上あるのは、自分が適当にキャラクターメイクをしたとはいえ、なんだか少し悔しかった。
「なに、それ?」
「え゛」
エルドの喉奥からの驚きの声。多分、素の声だ。本気で驚いている。もう一度、エルドは天使を見る。彼の言いたいことは、
「――チュートリアルとか、オープニングムービーって見たか? そもそも、このゲームはこのシステム目当てでプレイする人しかいないと思ってた……は、初めてだな……」
だった。
「アモル・スキルリンク――通称A.S.Lは、ペアを組んだ人と……肉体的な接触をして能力値にダンジョンやクエスト攻略中の永続バフをかけたり、プレイヤー同士の能力値をリンクさせて強力な力を分配したり出来るシステムだ。これがゲームのメインシステム」
「つまり、エルドさんの能力を俺も使うことが出来るってこと?」
「あー……まあ、そうだな。レベル差もあるし、あまりにも条件がキツイんだけど……」
俺TUEEEEEEが出来るってことか。ソウルライク物も好きだが、BattleRiftは快感を味わいまくるのもいいかもしれない。
世界ランキング6位のプレイヤーに巡り合えたことに感謝をしながら、俺は彼の両手を取って、力強く握りしめた。
「よし、やろう! アモル・スキルリンク!」
Affinity Touch -触覚による相性確認-
画面に表示される。ダメージを受けた後の回復速度上昇のバフがついたようだ。
なんで?
まあ気にしない。
俺の勢いに少しだけ怯えた後、エルドは、ふぅ、と息を吐いた。
「……――分かったよ」
彼は、俺のヴェールを手の甲で優しくめくり上げる。こちらからは普通に見ることが出来るから、装備しているのをすっかり忘れていた。
「……ッ」
意外と、すでに、エルドとの距離が近くて困惑する。それが吐息に出てしまう。そして何故かエルドも息を呑んでいて、互いに見つめ合って、少しだけ固まって、
Breath Share -吐息の共鳴- 魔力共鳴率+5%
更にエルドの顔が近づいてくる。
「ぇ、ちょっと、ぅぇあっ!?」
口端に軽く唇が押し付けられた。かさかさとしていて剥けていた皮が肌に刺さって擽ったくて、それが"そういうこと"をされた現実に拍車をかける。
Cheek kiss -接吻による相互関係の確認- 防御+3%
有無を言わさずに抱き寄せられて、ごつごつとした鎧と筋肉に包まれた俺は、がぽりと大きな唇に唇全体を覆われる。社会人になってからすっかりそういった関係から遠かった俺の身体は、久しぶりの行為に嫌でも熱を一気に持つ。嫌悪はある。鳥肌だって立っている。でも、どうしてこんなことになっているか分からなくて、抱きしめられている力はすごく強くて、逃れることが出来ない。
唇に他人の唇の感触が残り、困惑する俺を尻目ににゅるん、と柔らかくてざらざらとして、太くて長いものが咥内に挿しこまれた。
「あんむぅ……んぅ、んん……っ、ふっ、ぁう」
会ったばかりの男に舌が絡むキスをされた。
Deep Kiss -粘膜同士の接触による同調- 攻撃速度+5%
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