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第五章
陽動
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モズ湖の本体に意識を戻した俺は、エリス達に事情を説明してから要塞の移動を開始した。
移動要塞は水を滴らせながら、モズ湖から原生林へと足を踏み入れる。
文字通り足を……
巨大な十本の足を、木と木の間に差し込みながら俺は移動していた。
足を差し込むところに動物がいないかを、鳥分体で確認してから進んで行くのであまり速度は出ないが……
「都を出発したウッド・ゴーレム隊は今ここにいる」
俺はリビングの壁に張り出した地図の一か所に印を点ける。
それを見ているのはエリスとマリカ、河童たち、そして移動要塞に残った親衛隊員の面々。
俺は地図に定規を当てた。
今つけた印と都の間に線を引いて、さらにその延長線を引く。
延長線上にあるのはヒヨ湖。
「ウッド・ゴーレム隊は明らかにヒヨ湖を目指している。そこで、この移動要塞で先回りして迎撃する作戦だ。何か質問は?」
親衛隊員の一人が手を上げる。
「敵はこっち向かっているわけではありません。ワザワザこっちから出向く必要はないのでは?」
もっともな質問だな。
「この作戦の目的は迎撃ではない。我々がヒヨ湖にいると思わせるのが目的です」
「なるほど。我々がヒヨ湖にいると判断したウドウ王子は全軍で攻めてくるでしょうね。それで都にがら空きになっている隙に攻め込もうと言う作戦ですか?」
「そうです。なので、今回の陽動作戦では、皆さんのやる事はないので要塞内で待機してもらいたい」
親衛隊員の顔を見ると不満そうだ。正直、彼らに黙って動き出してもよかったのだが、要塞が移動している事はいずれ分かる。
その時になってどこへ行くのか説明するのも面倒なので、全員をリビングに集めた次第だ。
「それと、誤解のないように言っておくけど、あなた達はこの要塞のゲストであって俺の部下ではない。だから、要塞内待機は俺の命令ではない。これは都にいるレジナルド隊長からの指示だ。俺はそれを伝えたに過ぎない」
「では、レジナルド隊長に伝えて頂きたい。我々にも何か任務をくれ」
「いいでしょう」
十分後、レジナルド隊長から命令を受けた親衛隊員十名がヒヨ湖へ先回りすることになった。
移動要塞は水を滴らせながら、モズ湖から原生林へと足を踏み入れる。
文字通り足を……
巨大な十本の足を、木と木の間に差し込みながら俺は移動していた。
足を差し込むところに動物がいないかを、鳥分体で確認してから進んで行くのであまり速度は出ないが……
「都を出発したウッド・ゴーレム隊は今ここにいる」
俺はリビングの壁に張り出した地図の一か所に印を点ける。
それを見ているのはエリスとマリカ、河童たち、そして移動要塞に残った親衛隊員の面々。
俺は地図に定規を当てた。
今つけた印と都の間に線を引いて、さらにその延長線を引く。
延長線上にあるのはヒヨ湖。
「ウッド・ゴーレム隊は明らかにヒヨ湖を目指している。そこで、この移動要塞で先回りして迎撃する作戦だ。何か質問は?」
親衛隊員の一人が手を上げる。
「敵はこっち向かっているわけではありません。ワザワザこっちから出向く必要はないのでは?」
もっともな質問だな。
「この作戦の目的は迎撃ではない。我々がヒヨ湖にいると思わせるのが目的です」
「なるほど。我々がヒヨ湖にいると判断したウドウ王子は全軍で攻めてくるでしょうね。それで都にがら空きになっている隙に攻め込もうと言う作戦ですか?」
「そうです。なので、今回の陽動作戦では、皆さんのやる事はないので要塞内で待機してもらいたい」
親衛隊員の顔を見ると不満そうだ。正直、彼らに黙って動き出してもよかったのだが、要塞が移動している事はいずれ分かる。
その時になってどこへ行くのか説明するのも面倒なので、全員をリビングに集めた次第だ。
「それと、誤解のないように言っておくけど、あなた達はこの要塞のゲストであって俺の部下ではない。だから、要塞内待機は俺の命令ではない。これは都にいるレジナルド隊長からの指示だ。俺はそれを伝えたに過ぎない」
「では、レジナルド隊長に伝えて頂きたい。我々にも何か任務をくれ」
「いいでしょう」
十分後、レジナルド隊長から命令を受けた親衛隊員十名がヒヨ湖へ先回りすることになった。
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