167 / 185
第六章
ウドウ砲3
しおりを挟む
ヒューン!
遠くから風を切る音が近づいてきた。音が聞こえるという事は、ウドウ砲の砲弾は音速を越えていないな。
ガン! ガン! ガン!
続いて移動要塞の方から、固い物がぶつかり合う音。
トドーン!
爆音が鳴り響いた。
という事は、火薬を使っていたのか?
「な……なんだ!?」
今まで、アヘ顔をして地面に横になっていたフィリスが、爆音を聞いて真顔に戻り立ち上がった。
煙に包まれている移動要塞を見て歓喜に震える。
「やったあ! 勝ったぞ! ランドールに勝ったぞ! あははははははは!」
「火薬を開発したのか?」
「ああ。私は黒色火薬の調合割合を暗記したまま転生したからな。硝石と硫黄と木炭を調合して……」
そこでフィリスの笑いが凍り付く。
ギギギっと、壊れた人形のような動きで俺の方をふり向いた。
「ランドール? なぜ?」
「さあ? なぜ俺は生きているのだろうね?」
「いや、別に驚くことではないな。本体の移動要塞は破壊されたが、先に分離していた分体のお前だけが生き残ったという事か。だが、分体だけ生き残ってもどうにもなるまい。移動要塞の中にエリスもいたはず。エリスを失ったお前は、ただの哀れなスライムだ」
「本当にそう思うか?」
「はん! 強がりを。そんな分体一つ残っただけのお前に何ができる?」
「確かにこの分体だけでは何もできない。しかし、俺の本体は生きているよ」
「馬鹿な! あれだけの爆薬を食らって」
「砲弾が貫通していれば危なかったかな。でも……」
その時、煙が晴れて無傷の移動要塞が姿を現した。
「馬鹿な! 砲弾が貫通していなかったというのか?」
「ウドウ砲では、威力不足だったようだな」
まあ、実際にはウドウ砲の威力はじいさんから聞いていたので、移動要塞の装甲はそれに耐えられるように作っておいたのだ。
火薬を使われた時は少し焦ったが、黒色火薬程度だったら、要塞の外で爆発する分にはどうという事ない。
遠くから風を切る音が近づいてきた。音が聞こえるという事は、ウドウ砲の砲弾は音速を越えていないな。
ガン! ガン! ガン!
続いて移動要塞の方から、固い物がぶつかり合う音。
トドーン!
爆音が鳴り響いた。
という事は、火薬を使っていたのか?
「な……なんだ!?」
今まで、アヘ顔をして地面に横になっていたフィリスが、爆音を聞いて真顔に戻り立ち上がった。
煙に包まれている移動要塞を見て歓喜に震える。
「やったあ! 勝ったぞ! ランドールに勝ったぞ! あははははははは!」
「火薬を開発したのか?」
「ああ。私は黒色火薬の調合割合を暗記したまま転生したからな。硝石と硫黄と木炭を調合して……」
そこでフィリスの笑いが凍り付く。
ギギギっと、壊れた人形のような動きで俺の方をふり向いた。
「ランドール? なぜ?」
「さあ? なぜ俺は生きているのだろうね?」
「いや、別に驚くことではないな。本体の移動要塞は破壊されたが、先に分離していた分体のお前だけが生き残ったという事か。だが、分体だけ生き残ってもどうにもなるまい。移動要塞の中にエリスもいたはず。エリスを失ったお前は、ただの哀れなスライムだ」
「本当にそう思うか?」
「はん! 強がりを。そんな分体一つ残っただけのお前に何ができる?」
「確かにこの分体だけでは何もできない。しかし、俺の本体は生きているよ」
「馬鹿な! あれだけの爆薬を食らって」
「砲弾が貫通していれば危なかったかな。でも……」
その時、煙が晴れて無傷の移動要塞が姿を現した。
「馬鹿な! 砲弾が貫通していなかったというのか?」
「ウドウ砲では、威力不足だったようだな」
まあ、実際にはウドウ砲の威力はじいさんから聞いていたので、移動要塞の装甲はそれに耐えられるように作っておいたのだ。
火薬を使われた時は少し焦ったが、黒色火薬程度だったら、要塞の外で爆発する分にはどうという事ない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
293
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる