23 / 32
23話 反撃ののろし
しおりを挟む「あン? てめえら、こんなとこでなにやってんだァ?」
肉が砕けた音の正体。
オークの頭部から槍をどけ、リーゼント姿の男性が聞いてくる。
荒々しい口調に驚くところだけど、今は頼もしくて仕方なかった。
「リーゼンさん!」
ノルくんがその名を叫ぶ。
リーゼン=ツッパリー二。
バドさんが言うには、ダンジョン攻略担当の彼。
実際に、大槍を振り回して立ち回る姿は本当に頼もしかった。
ひとりで、いったいどんだけ魔物を倒しちゃうの……?
ただ、この人がひとりでいるっていうことはおかしい。
だって、リーゼンはここにはパーティーで来ているんだもん。
一層、大きな爆発音に破砕音が鳴り響く。
ほら、やっぱり。
「──おおおおおおらああああああ!!」
何重にも重なった裂帛の咆哮とともに迫りくるは、各々武器を携えた荒くれ者の軍団。
ぱっと見ただけだと恐怖を抱くような光景だけど、今の私たちにとっては希望だった。
各々、雄たけびとともに周囲の魔物を攻撃し始めた。
統率が取れてないようなバラバラな動きに見えるけど、ちゃんと息ぴったりな連携をしていた。
強力な魔法で怯ませて、剣や槍で一気に畳みかける。
武器で叩き、魔法でトドメを刺す、なんてこともやってみせた。
時間の経過と一緒に、着実に魔物の数を減らしていく。
本当は、私たちが助けるつもりだったのに……。
ノルくんが信じた人たちは、本当に強い人たちだったみたい。
それもきっと、彼らが絶対的な信頼を置いているこの人のおかげ。
「おうおうおう! てめえら声が小せえぞ! もっとド派手にぶちかませやァ!」
オークの群れを蹴散らし、一気に流れを掴むのは長の声。
士気を高め、補助魔法でフォローする。
この人が後ろにいる、背中を押してくれる。
その感情が、荒くれ者たちの士気を極限まで高めていた。
「よう、アンラッキーモータリティー諸君。また会うことになるとは思わなかったが……。ケガはねえか?」
優しく微笑みかけ、手を差し伸べてくれる姿。
紫髪を揺らす、バド=リードさんの姿がとにかく眩しかった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
217
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる