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第140話 謁見
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「…本当に武闘国家から?」
「ああ。と言っても武闘国家の国民とワシくらいしか知らんがな。ちなみにもう五日くらい経っとるぞ。」
「五日!?これって不敬罪になったりは…?」
「…分からん!まあ急いで行くことだな!!」
「ありがとう!ヴァルハラ帝国移住の件は帰って来た時にまた!」
「ああ!」
やはりヴァルハラは外の情報を得られないのが問題だ。
近いうちにこれも解決策を見つけなければ…
『武闘大会で優勝して、目を付けられたのか…?』
戦争に駆り出されることにはならないで欲しいものだ。
そんなことを願いながら武闘国家の屋敷に”転移”した。
”レーダー”によると、王宮は屋敷を挟んで闘技場の逆側に位置していた。
道理で武闘大会の際に一度も目にしなかったわけだ。
『国王…か。』
以前読んだ本の情報によると、武闘国家の国王はアッシュ=ヴァン=フリードリヒという人で、強大な両手剣の使い手だという。
その両手剣で倒した敵は数知れず、戦王とも呼ばれている。
彼は自分だけでなく他者にも厳しく、粗相をした配下を斬首刑にしたこともあるとか。
『…本当に俺大丈夫か?最悪”転移”で逃亡してヴァルハラに逃げよう…』
緊張するが、俺も一応ヴァルハラ帝国の王だ。
他国の王にびくびくしていたら配下に示しがつかない。
『…でもそれは世間に公表できないからな。”ヴァルハラ帝国国王ダグラス”ではなくあくまで”ただのダグラス”として謁見しよう…』
緊張を沈めながら歩き、ついに門前に着いた。
『…今の服装で大丈夫か?一応鎧は外して軽装にしてあるが…』
「お前!!先程から何をしている!?」
王宮の門番に怪しまれてしまった。
「俺はダグラスという者だ。マルコ=スミスから国王陛下に招集を受けていると聞き、参上いたしました。」
「身元を証明できるものはあるか?」
「ああ。」
俺は門番にギルドカードを渡した。
「…確認をとってくる。そこで待っていろ。」
幼少期に礼儀作法を習っておいて助かった…
出家と同時にアイザックの家名は捨てているが、それでも父さんたちに泥を塗るわけにはいかない。
数分後、門番が大慌てで戻って来た。
「さ、先程は大変失礼いたしました!!王様がお呼びですので玉座に向かってください!案内は向こうにいる執事の方が致しますので!!」
「ありがとう。」
門を開けてもらったのでくぐろうとしたが、門番が何か言いたげにこちらを見ている。
「あ、あの!!」
「…どうした?」
「武闘大会見てました!!僕も頑張ってあなたのように強くなります!!」
「…ありがとう。頑張って。」
「…っ!はい!!」
前世の芸能人はこういった感じだったのだろうか?
ファン(?)にこうも正面から尊敬されるとどこかむずがゆい。
「…どうぞこちらへ。」
「はい。」
執事に連れられ俺は玉座の扉の前に着いた。
「…くれぐれも粗相のないように。」
戦王とはいったいどのような人物なのだろうか。
本の挿絵では屈強な男騎士といった体格で険しい顔をした男だ。
緊張が解け、今は逆に戦王と名高い王に会えることにワクワクしている。
扉を開けた瞬間眩い光が差し込み、光に慣れてから俺は顔を上げた。
すると、目の前には両手で女性二人の尻を揉みしだいている豚のようにブクブクと太った男性がいた。
「よく来たなダグラスよ。」
『…はっ!』
挿絵と違い過ぎて一瞬思考が停止した。
あの挿絵はイメージだったのだろうか…?
それとも代替わりしたのだろうか…?
「…参上が遅れ、誠に申し訳ございません。」
「良い良い!朕は戦死した父アッシュ=ヴァン=フリードリヒに代わって即位したイゴール=ヴァン=フリードリヒである!」
「はっ!」
どうやら後者だったようだ。
「此度お前を招集したのは忌々しき魔法国家を滅ぼすためだ…!!ダグラス、お前には特攻部隊の部隊長を務めてもらう。」
「……」
嫌だと思っていたことが現実になってしまった。
しかし俺は別に武闘国家に籍を置いているわけでも仕えているわけでもない。
この命令に従う必要はあるのだろうか…?
「どうした?朕の命令が聞けないというのか?」
何としても断りたいが、事を荒立てたくはない。
一応逃走に備えて”偽装”で魔法の行使を隠蔽しながら”レーダー”を行使した。
玉座とはいえ魔法使用不可などのデバフはなく、それほど強い衛兵もいないようだ。
…いや、先程案内してもらった執事は少し腕が立つようだ。
とはいってもグレイに遠く及ばないほどだが。
「恐れながら陛下、私はこの国の騎士でも民ございません。それなのにどうしてこの国に命を懸けられましょうか、いや懸けられますまい。」
「お前…朕の命令を断るというのだな…?」
「恐れながら。」
「そうか…わざわざ下手に出てやったというのに…もういい!!殺しても構わん!!この者を捕らえよ!!薬を使って死後も壊れるまで使ってやる!!クハハハハ!!」
「ああ。と言っても武闘国家の国民とワシくらいしか知らんがな。ちなみにもう五日くらい経っとるぞ。」
「五日!?これって不敬罪になったりは…?」
「…分からん!まあ急いで行くことだな!!」
「ありがとう!ヴァルハラ帝国移住の件は帰って来た時にまた!」
「ああ!」
やはりヴァルハラは外の情報を得られないのが問題だ。
近いうちにこれも解決策を見つけなければ…
『武闘大会で優勝して、目を付けられたのか…?』
戦争に駆り出されることにはならないで欲しいものだ。
そんなことを願いながら武闘国家の屋敷に”転移”した。
”レーダー”によると、王宮は屋敷を挟んで闘技場の逆側に位置していた。
道理で武闘大会の際に一度も目にしなかったわけだ。
『国王…か。』
以前読んだ本の情報によると、武闘国家の国王はアッシュ=ヴァン=フリードリヒという人で、強大な両手剣の使い手だという。
その両手剣で倒した敵は数知れず、戦王とも呼ばれている。
彼は自分だけでなく他者にも厳しく、粗相をした配下を斬首刑にしたこともあるとか。
『…本当に俺大丈夫か?最悪”転移”で逃亡してヴァルハラに逃げよう…』
緊張するが、俺も一応ヴァルハラ帝国の王だ。
他国の王にびくびくしていたら配下に示しがつかない。
『…でもそれは世間に公表できないからな。”ヴァルハラ帝国国王ダグラス”ではなくあくまで”ただのダグラス”として謁見しよう…』
緊張を沈めながら歩き、ついに門前に着いた。
『…今の服装で大丈夫か?一応鎧は外して軽装にしてあるが…』
「お前!!先程から何をしている!?」
王宮の門番に怪しまれてしまった。
「俺はダグラスという者だ。マルコ=スミスから国王陛下に招集を受けていると聞き、参上いたしました。」
「身元を証明できるものはあるか?」
「ああ。」
俺は門番にギルドカードを渡した。
「…確認をとってくる。そこで待っていろ。」
幼少期に礼儀作法を習っておいて助かった…
出家と同時にアイザックの家名は捨てているが、それでも父さんたちに泥を塗るわけにはいかない。
数分後、門番が大慌てで戻って来た。
「さ、先程は大変失礼いたしました!!王様がお呼びですので玉座に向かってください!案内は向こうにいる執事の方が致しますので!!」
「ありがとう。」
門を開けてもらったのでくぐろうとしたが、門番が何か言いたげにこちらを見ている。
「あ、あの!!」
「…どうした?」
「武闘大会見てました!!僕も頑張ってあなたのように強くなります!!」
「…ありがとう。頑張って。」
「…っ!はい!!」
前世の芸能人はこういった感じだったのだろうか?
ファン(?)にこうも正面から尊敬されるとどこかむずがゆい。
「…どうぞこちらへ。」
「はい。」
執事に連れられ俺は玉座の扉の前に着いた。
「…くれぐれも粗相のないように。」
戦王とはいったいどのような人物なのだろうか。
本の挿絵では屈強な男騎士といった体格で険しい顔をした男だ。
緊張が解け、今は逆に戦王と名高い王に会えることにワクワクしている。
扉を開けた瞬間眩い光が差し込み、光に慣れてから俺は顔を上げた。
すると、目の前には両手で女性二人の尻を揉みしだいている豚のようにブクブクと太った男性がいた。
「よく来たなダグラスよ。」
『…はっ!』
挿絵と違い過ぎて一瞬思考が停止した。
あの挿絵はイメージだったのだろうか…?
それとも代替わりしたのだろうか…?
「…参上が遅れ、誠に申し訳ございません。」
「良い良い!朕は戦死した父アッシュ=ヴァン=フリードリヒに代わって即位したイゴール=ヴァン=フリードリヒである!」
「はっ!」
どうやら後者だったようだ。
「此度お前を招集したのは忌々しき魔法国家を滅ぼすためだ…!!ダグラス、お前には特攻部隊の部隊長を務めてもらう。」
「……」
嫌だと思っていたことが現実になってしまった。
しかし俺は別に武闘国家に籍を置いているわけでも仕えているわけでもない。
この命令に従う必要はあるのだろうか…?
「どうした?朕の命令が聞けないというのか?」
何としても断りたいが、事を荒立てたくはない。
一応逃走に備えて”偽装”で魔法の行使を隠蔽しながら”レーダー”を行使した。
玉座とはいえ魔法使用不可などのデバフはなく、それほど強い衛兵もいないようだ。
…いや、先程案内してもらった執事は少し腕が立つようだ。
とはいってもグレイに遠く及ばないほどだが。
「恐れながら陛下、私はこの国の騎士でも民ございません。それなのにどうしてこの国に命を懸けられましょうか、いや懸けられますまい。」
「お前…朕の命令を断るというのだな…?」
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