剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高

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第229話 第4ダンジョン 採掘

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インビジブルマンティスを倒し、俺達は50層記録の扉を登録して51層に進んだ。

ここからは魔物も罠もより強力になり、その上数も多くなるという。

”罠探知”と”魔物探知”を行使すると、確かに今までの1.5倍ほどに増えている。



「…警戒して進むぞ。」



「おう!!」



”構造探知”を行使して最短ルートを導き出してから歩き始めた。

戦闘力的には走りながらの高速戦闘をしても問題ないのだが、俺の罠処理が追い付かない。

いつもは遠距離から罠に矢を放つことで誤作動させて無効化しているが、これからは同時に2つや3つの罠を解除する必要があるのだ。



『即死級の罠はないみたいだが…”闘気操術”で強化した身体でも怪我しそうだな。』



俺やイザベルのDEX値的には軽い怪我で済むだろうが、他4人は大怪我に繋がるだろう。

わざわざ怪我を覚悟で突っ切るほど生き急いでいるわけでもないので、罠を見つけては処理する動作を何十回か繰り返して安全に進んでいく。

何度も魔物と遭遇したが、前衛の2人が全て仕留めて後ろに流れてくることはなかった。



「暇だよ~…あたしも魔物処理に混ざっていい~?」



「いけません。スー様が前に出ると隊列が乱れ、私達後衛が独立してしまいます。」



「ちぇ~…」



ソフィアは知識が豊富なのでサポーターと並行で副指揮官補佐の役を任せてもいいかもしれない。

スーは戦闘中に限って最高の指揮を執るだが、それ以外は適当なのだ。



「…この先右に曲がって直進したら階段だな。」



「長かったですね。」



「早く行こうぜ!」



「ああ。」



最後の罠を解除して52層に上がり、いつも通り”構造探知”を行使した。

そして例の通りに最短ルートを導き出そうとしたところで、現在地周辺に違和感を覚えた。

俺がこの目で見ている構造と”構造探知”で見た構造が一致しないのだ。



「…ん?」



「如何なさいましたか?」



「ああいや…ちょっと待ってくれ。」



「かしこまりました。」



俺達の背後には51層へ続く階段があり、右側は壁があるため行き止まりで左斜め前に道が広がっている。

だが”構造探知”には俺達の右側、つまり壁の先に何やら空間がある。



「皆少し離れていてくれ。」



「お、おう。」



”神鳥弓”から”鬼人剣”に持ち替え、両手剣Lv.5“サイクロン“で壁一面に広範囲攻撃を放った。

すると土壁はボロボロと崩れ落ち、奥に一辺10mほどの空間が現れた。



「隠し部屋なのです!!!」



「さっすが~~!!!」



「私初めて見ました…」



ギルドに52層の隠し部屋情報はなかったので、俺達が見つけたということなのだろう。

”罠探知”と”魔物探知”には反応がないが、”鉱石探知”にはビシバシ反応が来ている。



「ほら、中に入るぞ。」



「おう!!」



隠し部屋の中は1つを除いてダンジョン内と似た作りになっていた。

それは部屋の中央に一辺7mほどある巨大な土塊が置かれている点だ。

この土塊の中から鉱石の反応を大量に感じる。



「ギルドに情報提供して採掘家に任せれば情報提供料と発掘品の6割は貰えるが…皆どうしたい?」



「オレ達で掘ろうぜ!!」



「賛成~!」



「私もせっかくですから採掘をしてみたいです。」



「や、やってみたいけど鉱石に傷つけちゃいそうだから専門家に任せたいのです…」



「私もイザベル様と同様です。」



「…まあ傷ついても研磨すればいいだろうし人生経験だと思って採掘してみるか。」



「おう!!」



全員を”鑑定”してみたが、俺以外に”採掘”スキルを習得している人はいなかった。

ちなみに俺は師匠と修行の旅をしているとき、拠点作りに岩をくり抜いたりしていたので習得している。

とはいえ、採掘Lv.3とまだまだ初心者の域を出ていない。



ひとまず新遺跡か邪神教アジトかどちらで手に入れたのかは忘れたが、”アイテムボックス”からピッケルを6個取り出して1つずつ渡した。

そして師範に教わった知識と経験を必死に思い出し、見本として赤い鉱石を発掘した。

作業自体は素人なのだろうが、”鉱石探知”で鉱石の場所がくっきり分かっているので傷がつくことはなかった。



「…とまあこんな感じだな。俺が指示するから皆やってみてくれ。」



「はいっ!!」



「りょうか~い!!」



5人が作業している間に赤い鉱石を”鑑定”した。

鑑定結果はルビー、この世界でも重宝されている宝石だ。

貴族に人気で、ルビーをはめ込んだ首飾りや腕輪をよく目にする。



「アルフレッド、こんな感じか?」



「上手いな。こっち側に掘ると傷がつかなそうだ。」



「おう!ありがとな!!」



「ああ。」



「アルフレッド様、これはどうすれば…」



「そこからは力を抑えつつ丁寧に掘るんだ。こっち側が良さそうだな。」



「ありがとうございます。」



「ああ。」



何だか体験学習をしている学生の教師をしているような気分だ。

それから一人一人に密着してアドバイスし、全員が鉱石に傷をつけず採掘できた。

周囲の警戒で張りつめていた表情が柔らかくなり、ほのぼのとした雰囲気が広がった。



『…たまにはこういうのも悪くないな。』



全員が楽しく集中して採掘を続けること数時間。

土塊の中にあった何十個もの全ての鉱石を掘り出し、採掘作業を終えた。

Lv.3だった採掘スキルはLv.5まで上がっており、5人もLv.3まで上がった。



「ふぅ…皆お疲れ様。」



「いや~楽しかったね~!!」



「すっごく面白かったのです!!」



「皆様、そろそろ60層へ向かった方がよろしいかと。」



「そうですね。もう17:15ですし。」



「そうだな!!早く攻略して帰ろう!」



採掘で高揚した気分のまま60層までさくっと攻略し、パーティーハウスに帰還した。

ハイテンションで攻略しているところを同業者に見られていたらしく、後日”アルフレッドパーティーは笑顔で魔物を殺す異常者達”という噂が流れた。
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