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第240話 第4ダンジョン 救護
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”深淵を覗く者”全員の状態異常が回復したことを確認し、地面に寝かせた。
そして”結界展開の石”で周囲に防御結界を展開した後、”通信の水晶”を取り出した。
「スー、聞こえるか?」
「アルフレッド!どうだった~?」
「全員救助した。そっちは…何やら騒がしいな。戦闘中か?」
「うんっ!だけど…」
「おらぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちょうど今クレアが殲滅完了したよ~」
「そうか。今からこの魔道具越しに俺の元まで道案内する。」
「りょうか~い!」
”構造探知”に基づく道案内のおかげで道に迷うことはなく数分で合流できた。
4人の中に”罠解除”を習得している者はいないため、合流までに罠が再生しなかったのは幸運だった。
「この方々が…」
「ああ。”深淵を覗く者”だ。」
倒れているのはハーフエルフのヴォルガノフと男エルフ1人、女エルフが4人の6人である。
全身鎧でタワーシールドと短剣を持つ女エルフ2人が前衛、軽装備で槍を持つ男エルフが中衛、全身鎧で片手剣を持つヴォルガノフと弓を持つ女エルフ2人が後衛といった構成だろう。
俺達”アルフレッドパーティー”の構成とよく似ている。
「う~ん…」
「どうした?」
「なんか…あんまり強くなさそうだね~」
「ボクも思ったのです。」
「まぁ…ダンジョン攻略でだいぶLv上がったしな。ステータス値はヴォルガノフ以外と互角くらいだ。」
「互角ですか…」
「ああ。まあ戦闘技術は見ないと分からないけどな。」
「ううっ…」
そんな話をしていると、弓使いの女エルフの片方が目を覚ました。
金髪蒼眼で、頬にインクか何かで赤い3本ずつ線を描いている。
もう片方の弓使いも描いているようだが、これはエルフの文化か何かなのだろうか?
「…大丈夫か?」
「…っ!!」
女エルフは意識が覚醒して俺の存在を認知すると、即座に距離を取りつつ弓を構えた。
あくまで警戒しているだけだと分かり切っていたので、俺は反撃態勢を取らずにその場で動かなかった。
「何者ですか!?」
「俺はAランク冒険者のアルフレッドだ。コカトリスとアルラウネからお前たちを救助した。」
女エルフは注意を緩めないまま横目で他の仲間が倒れているのを確認し、再び俺達の方を向いた。
そして俺達に攻撃の意思がないことを理解し、弓を地面に置いて深々と頭を下げた。
どうやら俺の言っている内容が事実だと把握したようだ。
「命の恩人に無礼な行為をしてしまいすみませんでした。」
「気にするな。」
やり取りにひと段落が着いた頃、ちょうど残りの人たちも意識を取り戻し始めた。
流石はSランク冒険者、全員目を覚ますとともに女エルフと全く同じ動きで警戒態勢を取った。
しかし先に起きた女エルフが即座に状況説明をしてくれたおかげですぐさま事態を把握してくれた。
だが、何故かリーダーのヴォルガノフだけ目を覚まさない。
状態異常は完治させたので、幻惑に苛まれているのではない。
ただ何とも気持ちよさそうな表情で眠り続けているだけだ。
「僕はサブリーダーのケインです。寝坊助のリーダーに代わってお礼申し上げます。」
「あいつは見殺しにするか悩んだがな。」
「あはは…昨日は本当にうちのリーダーがすみません…」
「冗談だ。気にするな。」
「ありがとうございます。」
俺達が話している間に、クレア達と女エルフ達はいつの間にか肩を組むほど仲良くなっていた。
仲良くなるのは良いのだが、ここがダンジョン内であることを忘れていないだろうか?
特にクレアと全身鎧のエルフが大きな声で笑いあっている。
「…お互い苦労していますね。」
「そうだな…」
この人とは気が合いそうな気がする。
ケインとの間にシンパシーを感じ合い、俺達もすぐに打ち解けた。
「ところで…半年前攻略した時もあの2体が?」
「いえ…前回はここ113層にアルラウネ、114層にコカトリスがいました。」
「階層移動…っ!!まさか魔物が溢れ始めてるのか!?」
「かもしれませんね…このまま放置すれば近いうちにダンジョンブレイクが起きる可能性が…」
ダンジョンブレイクとは、帝国で言うところの大氾濫である。
魔物征伐と同様、ダンジョンから魔物が溢れてくる現象のことだ。
大量の魔物を指揮するユニーク個体が生まれるかどうかは分からないが、どのみちダンジョンから魔物が溢れるのは何としてでも防がなければならない。
「…ケイン、ここは俺達と共同戦線を組まないか?」
「僕も同じことを考えてました。」
「それは良かった。これからよろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「ううっ…」
握手して同盟を結んだところで、やっとヴォルガノフが意識を取り戻した。
”深淵を覗く者”のパーティーメンバー達が駆け寄り、状況を説明し始めた。
俺を見て嫌そうな顔をしたが、ケインに叱られてしゅんと落ち込んだ。
『…このパーティーの上下関係が分かった気がする。』
ヴォルガノフは全身鎧の女エルフ2人に背中を叩かれると、悪態をつきながらこちらへ寄ってきた。
感謝を言いに来たのだろうが、何ともムカつく態度と表情だ。
「どうやら君に助けられたようだね。…一応感謝しておくよ。」
「礼はケインからもらったから要らん。それより共同戦線を組むことにしたからよろしく頼む。」
「なっ…!?この僕が下手に出てみれば…!!」
「ちょっ、落ち着いてくださいリーダー!」
やはりこの男とは本能的に相容れないようだ。
ヴォルガノフは俺を睨みつけると、ケインに宥められてプイッとそっぽを向いた。
そして”結界展開の石”で周囲に防御結界を展開した後、”通信の水晶”を取り出した。
「スー、聞こえるか?」
「アルフレッド!どうだった~?」
「全員救助した。そっちは…何やら騒がしいな。戦闘中か?」
「うんっ!だけど…」
「おらぁぁぁぁぁ!!!!」
「ちょうど今クレアが殲滅完了したよ~」
「そうか。今からこの魔道具越しに俺の元まで道案内する。」
「りょうか~い!」
”構造探知”に基づく道案内のおかげで道に迷うことはなく数分で合流できた。
4人の中に”罠解除”を習得している者はいないため、合流までに罠が再生しなかったのは幸運だった。
「この方々が…」
「ああ。”深淵を覗く者”だ。」
倒れているのはハーフエルフのヴォルガノフと男エルフ1人、女エルフが4人の6人である。
全身鎧でタワーシールドと短剣を持つ女エルフ2人が前衛、軽装備で槍を持つ男エルフが中衛、全身鎧で片手剣を持つヴォルガノフと弓を持つ女エルフ2人が後衛といった構成だろう。
俺達”アルフレッドパーティー”の構成とよく似ている。
「う~ん…」
「どうした?」
「なんか…あんまり強くなさそうだね~」
「ボクも思ったのです。」
「まぁ…ダンジョン攻略でだいぶLv上がったしな。ステータス値はヴォルガノフ以外と互角くらいだ。」
「互角ですか…」
「ああ。まあ戦闘技術は見ないと分からないけどな。」
「ううっ…」
そんな話をしていると、弓使いの女エルフの片方が目を覚ました。
金髪蒼眼で、頬にインクか何かで赤い3本ずつ線を描いている。
もう片方の弓使いも描いているようだが、これはエルフの文化か何かなのだろうか?
「…大丈夫か?」
「…っ!!」
女エルフは意識が覚醒して俺の存在を認知すると、即座に距離を取りつつ弓を構えた。
あくまで警戒しているだけだと分かり切っていたので、俺は反撃態勢を取らずにその場で動かなかった。
「何者ですか!?」
「俺はAランク冒険者のアルフレッドだ。コカトリスとアルラウネからお前たちを救助した。」
女エルフは注意を緩めないまま横目で他の仲間が倒れているのを確認し、再び俺達の方を向いた。
そして俺達に攻撃の意思がないことを理解し、弓を地面に置いて深々と頭を下げた。
どうやら俺の言っている内容が事実だと把握したようだ。
「命の恩人に無礼な行為をしてしまいすみませんでした。」
「気にするな。」
やり取りにひと段落が着いた頃、ちょうど残りの人たちも意識を取り戻し始めた。
流石はSランク冒険者、全員目を覚ますとともに女エルフと全く同じ動きで警戒態勢を取った。
しかし先に起きた女エルフが即座に状況説明をしてくれたおかげですぐさま事態を把握してくれた。
だが、何故かリーダーのヴォルガノフだけ目を覚まさない。
状態異常は完治させたので、幻惑に苛まれているのではない。
ただ何とも気持ちよさそうな表情で眠り続けているだけだ。
「僕はサブリーダーのケインです。寝坊助のリーダーに代わってお礼申し上げます。」
「あいつは見殺しにするか悩んだがな。」
「あはは…昨日は本当にうちのリーダーがすみません…」
「冗談だ。気にするな。」
「ありがとうございます。」
俺達が話している間に、クレア達と女エルフ達はいつの間にか肩を組むほど仲良くなっていた。
仲良くなるのは良いのだが、ここがダンジョン内であることを忘れていないだろうか?
特にクレアと全身鎧のエルフが大きな声で笑いあっている。
「…お互い苦労していますね。」
「そうだな…」
この人とは気が合いそうな気がする。
ケインとの間にシンパシーを感じ合い、俺達もすぐに打ち解けた。
「ところで…半年前攻略した時もあの2体が?」
「いえ…前回はここ113層にアルラウネ、114層にコカトリスがいました。」
「階層移動…っ!!まさか魔物が溢れ始めてるのか!?」
「かもしれませんね…このまま放置すれば近いうちにダンジョンブレイクが起きる可能性が…」
ダンジョンブレイクとは、帝国で言うところの大氾濫である。
魔物征伐と同様、ダンジョンから魔物が溢れてくる現象のことだ。
大量の魔物を指揮するユニーク個体が生まれるかどうかは分からないが、どのみちダンジョンから魔物が溢れるのは何としてでも防がなければならない。
「…ケイン、ここは俺達と共同戦線を組まないか?」
「僕も同じことを考えてました。」
「それは良かった。これからよろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「ううっ…」
握手して同盟を結んだところで、やっとヴォルガノフが意識を取り戻した。
”深淵を覗く者”のパーティーメンバー達が駆け寄り、状況を説明し始めた。
俺を見て嫌そうな顔をしたが、ケインに叱られてしゅんと落ち込んだ。
『…このパーティーの上下関係が分かった気がする。』
ヴォルガノフは全身鎧の女エルフ2人に背中を叩かれると、悪態をつきながらこちらへ寄ってきた。
感謝を言いに来たのだろうが、何ともムカつく態度と表情だ。
「どうやら君に助けられたようだね。…一応感謝しておくよ。」
「礼はケインからもらったから要らん。それより共同戦線を組むことにしたからよろしく頼む。」
「なっ…!?この僕が下手に出てみれば…!!」
「ちょっ、落ち着いてくださいリーダー!」
やはりこの男とは本能的に相容れないようだ。
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