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第90話 武闘大会 第5回戦

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翌朝、回復しきっていなかったMPをポーションで回復しながら闘技場に向かった。



「お前ら熾烈な戦いを見たいかーーー!!!!」



「おおおおおおおおおおおおお!!!!!」



「今残っている選手たちは今回のベスト16だーー!!!皆さん拍手をーー!!!」



(パチパチパチパチパチ)



これでAランク昇格試験に合格だ。

とりあえず一安心した。



「それでは武闘大会5回戦を開始するーーーー!!!!!!」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



周りの選手を見てみると、覚悟が決まった面構えをしていた。



『…これは一筋縄では倒せなさそうだな。』



俺は2試合目なので、そのまま控室に向かった。

1試合目は体術の達人ワン選手が一方的な試合を展開し、勝利を収めた。



「それではダグラス選手とゴルカ選手は入場してください。」



一息つき、万全の状態を整えてから入場した。



「ダグラス選手が入場ーーーーー!!!!!今日もその凄まじい力を発揮できるのかーーー!!!」



「ダグラス選手は試合を重ねるたびにその多大なる能力が垣間見えていますね。」



「そうですねー!!今まで力、素早さの能力がわかっています。」



「さぁ今回はどんな能力を見せてくれるのかーーーーー!!!!」



俺はそんなつもりが全くなかったが、確かにそんな状況になっている。

気にせず全力で戦いたいが、解説の期待を裏切りたくないので困る。



『師匠のポージングはこんな感情でやってたのかな…』



「ゴルカ選手も続いて入場ーーーーー!!!!!!今日も観客の前から姿を消すのか――!!!」



「彼は気配を消すことに特化していますからね。観客からは消えたようにしか見えないとのことです。」



”鑑定”から得られる情報によると、彼は”気配遮断A”と”暗殺A”のスキルを習得している。

昨日の試合でもこのスキルをフル活用して相手を倒していた。



『まあそれ以外に抜き出たスキルはないから気にしなくていいな。』



「それでは両者とも準備が整いました!!!試合開始ーーーーー!!!!!!!!!」



ゴルカ選手が”気配遮断”を行使すると同時に俺は”気配察知S”を行使した。

それにより、俺はゴルカ選手の行動を完全に把握した。



「ゴルカ選手、闘技場から姿を隠しましたーー!!!」



「ダグラス選手は全く動いていませんが居場所を把握しているのでしょうか。」



しかし、俺は相手の居場所がわからず混乱している風を装った。

こうすることで油断して一直線に攻撃してくると踏んだのだ。



「ダグラス選手をもってしてもゴルカ選手の気配を感知できないのかーー!!!」



”暗殺”の特徴からしておそらく背後に回り込んでくるだろう。

俺は敢えて背中に隙を作ってじっと構えた。



しかし、しばらく待っても攻撃が来ない。

ゴルカ選手は俺のことを侮らないようで、ずっと気配を殺して俺の集中力が切れかけたところを1撃で仕留めようという作戦だろう。



「なかなか試合が進みませんーーーー!!!いったい戦況はどうなっているのでしょうかーー!!!」



「ゴルカ選手はダグラス選手を恐れて攻撃しかねているのでしょうか?」



『こうなるとこちらから仕掛けた方がいいか…?』



このまま構え続けたら我慢比べになるだろう。

その場合、おそらく相手が先に仕掛けてくるだろうがあまり自信がない。



『…仕掛けるか。』



俺は闘技場全体に広がるほどの殺気を放ち、ゴルカ選手が怯むと同時に片手剣で薙ぎ払った。

すると、完全に捉えたはずが避けられてしまった。

というよりも、俺の殺気にビビッて尻餅をついたためたまたま当たらなかったのだ。



しかし、避けられたと同時に次の攻撃を展開して斬りかかった。



「こ、降参です…」



「決着ーーーー!!!!!なんと、ダグラス選手がゴルカ選手の気配を鋭く察知し、見事勝利ーーーー!!!」



「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



「最後のダグラス選手の攻撃は見事でしたね。」



「ええ。避けられてから次の攻撃に転じるまでの時間が0に近かった!!」



「これは達人並みの戦闘センスですね。」



この技術は師匠に耳に胼胝ができるほど聞かされ、練習したのだ。



その後俺は残りの試合を観戦して屋敷に帰った。

そして、1人反省会をしていた。



『なんで背中に隙を作ったのに攻撃してこなかったんだ…?』



もしかすると隙があまりにもわざとらしく、罠だと気づかれていたのかもしれない。

または本当にゴルカ選手が俺に怯んでいたのだろうか。



『真実はわからないけど…もっと自然に隙を作るようにしよう。』



そう決意し、俺は眠りについた。
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